第2話・ジノ・チャージと泊まり
1号が読み取り台の終了に触れると左上に置いてある硬い板を取り上げ俺に手渡す。薄い板にはコンビニ・スズキ会員カード・NO.1・ジノの文字が、浮き彫りで書いてある。
「こちらがお客さまカードです。チャージ残高に応じ店内の商品が、購入できます。残高不足の時は新たにチャージをお願いいたします。ではこちらにカードを」
1号は左側の追加チャージ・買取と表示されている台の左上を示す。俺は言われるままカードを置いた。黒い板に俺の名前と残高500pと表示される。
「腕輪は必要ですか?不要であれば買取いたします。台に置いてください」
2年間俺を縛り付けていた隷属の腕輪を台の上に置いた。
登録と同じ光の筋が、上下左右から腕輪を照らしピッと音がする。
目の前の板に中古隷属の腕輪・買取100.000 買取?中止?の文字が表示され戸惑っている俺に「買取でよければ、買取の文字に触れてください」言われまま買取に触れると腕輪は台に消え黒い板に買取・中古隷属の腕輪100.000p・残高100.500pになった。
進められるまま錆びた片手剣も乗せ買取り・残高104.500pが、表示され言われるままに終了を押した。
カードを取り・台から離れるとありがとうございましたと台から声がした。カウンターにも自動人形がいるようだ。この店の自動人形は、複雑な魔法陣が内包しているようだ。どこかの貴族か魔導師が、関わっているのだろう。
知らない方が、良いと言うものだ。権力者に関わり良かった事など無かった。
普通は簡単な作業に受け答えをするだけだが、高度な魔導術者がいるものだ。
「お買い物はいたしますか?コンビニエンスストアは、手軽にお買い物が、出来き~お弁当・パンから日用品まで多々取り揃えております」
パンと聞いて腹が鳴る。奴隷になってから2年・飯は、奴隷商や警備・使用人の食べ残しが、貰えれば良いほうで、クズ野菜の薄いスープと硬いパンが、日に一度あれば良く・俺達犯罪奴隷は、何時 死んでも構わない使い棄て奴隷だった。
店内の色鮮やかな商品と品数に驚きながらソーセージが、挟まったパンと透明なボトルに入っている水を買い外に出た。
短い草の上に座り外を眺めながら久しぶりのソーセージを噛みしめ食べる。まだ諦めない狼達が、こちらを草影から伺っているが、店の敷地には侵入出来ないらしい。
鳥の声が聞こえ そよ風が吹くのどかな景色と逆にこれからどうすべきか悩む。ここから出ればすぐ狼に食われるだろう。武器は売ったしどうするか悩んでいると後ろから声を掛けられた。
1号よりコロリと太めな深緑色の自動人形が、揉み手をしながら近付いて来て自己紹介をする。「湯屋すずき・番頭のアキンドと申します。」 どこかで見た様な~そうだ。来る途中に居た水売りの自動人形だ。
「お客さま~疲労回復にポーション湯をご用意いたしましょう。旅の汚れと疲れを風呂でゆっくり落としベッドで休めばお体の傷も癒えましょう」
俺の体には奴隷商の息子が、暇潰しに奴隷達をムチ打った痕や草原を走り逃げた時に草で切った無数の傷が、付いていた。
「いかがでしょうか。今なら初回特典に通常は貸し出しの部屋着・スエット上下に下着にサンダルもお付けして1泊3500ポイントですが」
アキンドの横では、すらりとした桃色の自動人形が、部屋着を広げ見せ・足元では、丸く平たい自動人形が、サンダルと下着を乗せお泊まり・お泊まりと騒いでいる。店の入口を見れば・女店員と1号が、横並びにある湯屋の方を指差し・お泊まりどうぞと手を振っていた。
風が吹き止まると自分の臭さが、辺りに広がる。まずは風呂だ。
「泊めてくれ」
はい~喜んで~の声に迎えられ俺は湯屋に向かった。
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