第4話
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彦斎は笑顔でゆっくり政宗達に近付き政宗達も構えたままゆっくり後ろに下がる。彦斎は政宗の驚き様に鼻で笑う。
「どうした政宗、幽霊でも見ている様な表情をして」
彦斎の言葉に政宗達は我に返り険しい表情になり政宗はある事を彦斎に問う。
「ああ、そうだな。でもお前は確か戦後に九州で捕縛され打首になったはず⁉︎」
彦斎は襲撃犯の生首を右足で左側へ蹴って答える。
「ああ、そうさ。俺は戦後、九州まで逃げ延びたが結局、捕まった。でもある男のお蔭で俺は脱獄する事が出来た」
政宗は彦斎の答えに声を荒げる。
「ある男、一体何者だ!」
彦斎は政宗の問いに答えず素早い動きで左側の塀に強靭なジャンプで登る。政宗達も駆け足で彦斎に迫る。
「待て彦斎!」
彦斎は政宗達の方に笑顔で振り返る。
「政宗、俺は京都で待っているぜ。どデケエ戦いと共にな」
彦斎はそう言うと柄を乗り越えて政宗達の前から姿を消す。近藤はすかさず歳三に指示を出す。
「トシ、直ぐに何人か引き連れて奴を追え!」
「分かった。総司、永倉、斎藤、島田、来い!」
歳三の指示に沖田達は返事をする。
「はい!」
そして歳三達は駆け足で彦斎の後を追う。近藤が政宗を見ると彼は呆然となり未だに彦斎の存在に驚愕していた。
屯所を逃げて人混みの中を黒い三度笠を被って彦斎はニヤリと笑って立ち止まって振り向く。
「政宗の匂い、幕末の頃と違って俺と同じ匂いがする。血の匂いだ」
彦斎は左腰に提げている日本刀を鞘から少し出す。
「この刀、血に飢えた本当の妖刀村正、蛇龍刀よ。政宗の血が欲しいか?」
彦斎の問いに蛇龍刀はまるで生きているかの様に斬った時に付いた組員の血が一瞬にして消え、彦斎は刀を鞘に戻して再び歩き出す。
「よし、分かった。たっぷり飲ましてやるぜ」
彦斎は不気味な笑顔で京都へと向かう。
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