第3話

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歳三が政宗を制止を振り切ろうともがく最中に近藤が村上に何かを話して二人で盛り上がっている光景が目に止まりジタバタするのをやめる。それに政宗は不思議そうな表情で歳三に話し掛ける。

「どうしたんですか、父親?」

「あぁ、いや、あれを見ろよ。あの二人何か盛り上がっているぞ」

「うんーー?」

政宗は歳三と同じ方向に目を向ける。そして村上の表情に不思議そうになる。

「確かに。なんだろう?」

政宗は抑えるのをやめて、一人、近藤と村上の元に向かい声を掛ける。

「あのーー、局長に村上署長。何を話していたんですか?」

村上は政宗の声でハッとしておどおどしながら前を向いて話す。

「あ・・・あぁ、いや、なんでもないよ」

近藤はおどおどしながら誤魔化そうとする村上の姿に口を左手で押さえながら下を向き笑いを堪える。その姿に目を向ける政宗と一人、ポツンと遠くから近藤が笑いを堪える姿と村上のおどおどする姿を見ていた歳三は気になり近藤に近づき話し掛ける。

「おい、かっちゃん、どうしたんだよ?」

近藤は話し掛けて来た歳三の左肩に自分の右手を置き、笑いを堪えながら話す。

「いや・・・んふふふふっ俺の話しを誤魔化そうとする村上の姿が・・・んふふふふふっ面白くてっんふふふふふ」

近藤の姿を見ていた政宗は再び村上の方を向き、圧を掛けるように村上に自分の顔を近づけて笑顔で優しい口調で問い詰める。

「村上署長、いったい何を聞いたんですか。正直に話して下さい」

村上は笑顔のまま顔を近づけながら優しい口調で話す政宗に恐怖し生唾を飲み込む。そして村上は近藤から聞いた事を全て話す。

政宗は全てを聞いて笑う。

「あはははははははっなんだそんな事ですか」

村上の話しを聞いていた歳三は嫌や表情で近藤を睨む。

「余計な事を言いやがって」

近藤は笑って謝る。

「悪りトシ、つい夢中になっちまって」

政宗は村上に父、歳三を語る。

「確かに父上は今も昔もこんな人ですけど、局長の言う通り父上には他人は無い魅力があるんで手を焼く親ですけど俺は好きなんです」

村上は一瞬、歳三を見て納得する。

「そうだな、何となく分かるよ」

すると近藤が村上に話し掛ける。

「村上署長、お話はそれくらいでそろそろ署に戻らないと会議に遅れますよ」

近藤の言葉にハッとなる村上は内ポケットから時計を取り出し時間を確かめる。時計の針は午後一時五十分を指していた。

「おっと、本当だもうこんな時間か。そろそろ署に戻らないと会議に遅れちまう。それじゃ私はこれで」

「こちらこそわざわざお越し下さって、ありがとうございます」

「では失礼します」

村上は近藤、歳三、政宗に敬礼をして試衛館を後にする。

「さてと俺も行きますか」

「ダメですよ父上」

政宗は歳三の腕を掴んで吉原へ行くのを止める。それに歳三の表情はむすっとする。

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