【 3人で 】
第590話 あいつからもらったチケットか
「用件は分かるよね?」
というか、ここのカモフラージュは完璧だ。しかも俺が来るとは分からない。
となると、考えられる可能性は極僅かだ。
最も可能性が高いのは、先輩のエリアサーチで俺の帰還や居場所がばれていた。
そしてそれが
もう一つ
ハッキリとした態度にこそ現わさなかったが、彼女からしても
その事は、彼女が大切に飾っていた写真からでも分かる。
「今ちょっといい?」
良いも何も、ここで
「ああ、大丈夫だ。俺も帰るタイミングを見計らっていたところだったしね。一緒に帰ろう」
「
どうやら納得してくれたようだ。セーフ。
塔の件は、残念ながら俺がいないと進まない。
肝心の魂を特定する手段をまず教えないと、とっかかりが無いからな。
だけどすまない、みんな。俺も命が惜しい。
と言うより、実際俺も少し休みたい。
フランソワとまあ一夜を共にしたが、それだけでは解消できないくらい疲労しているのが分かる。
何かをしただけではない。ただこうして生きているというだけで、それくらい負担がかかるようになってしまったんだ。
もう火の付いた導火線が迫っているような状況だろう。決着の時を早めないと、俺の自滅が先になってしまう。
こうして、久しぶりに自室へと戻った。
まあ正確には
基本的に、休息や
セポナが加わって部屋を拡張した事もあるが、やはり広い方が見栄えが良い。それに何より賑やかだ。
「よう、戻ったか」
「お前も任務からご帰還か。長かったな」
部屋には既に
本体の襲撃では雑魚や眷族相手にパニックを起こした他の召喚者の面倒を見る羽目になり、結局戻りは俺が出かけた数日後だったらしい。
こいつも他の召喚者とは一回りも二回りも違う分、便利に使われているね。
「さて、今日の夕飯はあたし特製のフルコースだよー」
まあ逃がさないが。
別に
セポナに料理を教わるうちに、この世界のすっぱ辛い味付けに慣れてしまったのだ。
そして
ある意味、この世界で最も生きにくい人間だな。
「こっちは召喚者通りでラーメンでも食べたいんだけどね」
こっそりと伝えてくるが、残念ながら却下だ。
食事はみんなで食べないとな。
それにただの偶然だと思うが、前菜からいきなり
海なんて何処にもない。川で捕ったわけもない。
ありゃ
悪いが、地獄は全員で見よう。
そして全員が地獄を見た。
まともに食べられたのが、
俺もクロノス時代は相当に長い事この世界にいたが、ケーシュとロフレが気を使ってくれたからな。
最初の頃こそ試行錯誤があったが、後は双方が合わせて行った。
それだけに、この世界の味付けその物を食べると胃がびっくりしてしまう。
こうして食事も終わると、後は普通に雑談タイム。
だがただ無意味な話という訳ではない。俺がいない間、皆がどんな行動をしたか?
そして何が出来るようになって、今できない事は何か?
俺にとって、最重要は
今はそれに
それでも俺は、今の俺を通したい。
その為に、塔をあそこまで改良……いや、余計な改良がくっついているんだよな。
あれどうするよ。
「考え事?」
無言で考え込んでいたのが気になったのだろう。
うん、可愛い。これだけで生きていける。
「大丈夫。今のだけでも十分に元気が出たよ」
とはいっても、現状を考えれば厳しいのは事実。
既にタイムリミットは迫っている。
それを解消するにはやっぱり
実は最近、セポナでも何とかなりそうな予感はある。
やはり、あの最も苦しい時に支えてくれた想いが俺の中で大きいからだ。
だけどそれをしてしまうと色々とお終いだ。頑張れ俺。
「なら良かった。でも今日はね、サプライズプレゼントもあるの」
「へえ? 意外だな」
何だろう?
誕生日とかじゃないし、任務を終えてきたねぎらいだろうか?
「じゃーん。
チケットは嬉しいのに背筋が凍ったのはなぜだ?
というか、3枚あるぞ。
「全員分貰ったんだけど、話し合った結果ね、それぞれバラバラに行こうって事になったの。今日は
そして耳元で小さく――、
「もちろん、泊りだからね」
と言ってウインクをしたが、いや、それ普通に
どう考えても猛反対から殺し合いに発展する流れなんだけど……おかしい。
「俺も馬鹿じゃない。行ってこい」
なんだと!?
例え地球が滅びようとも決して言わないこの言葉!
まさかこれは……
いや、姿だけコピーした
「茫然としてるんじゃねえよ。お前達は今夜だ。さっさと行ってこい」
気味が悪い。本当に何があったのだろう。
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