第550話 再び仲間になったな
そんな訳で、先ずは女性陣の部屋へと行った。
最初に用意した女性用は俺たちと同じように2人部屋にしていたが、すぐに意気投合して4人部屋になった。
というより、やはり見知らぬ世界で別々に暮らす生活は怖かったのだと思う。
当たり前だが、男は加えてもらえなかったけどね。
そんな訳で今では4人部屋だが、元々4人でも広い部屋だ。小さなセポナが一人増えても問題はないだろう。
レディの部屋なので、ちゃんとドアノッカーを鳴らして中に入る。
鳴らす時に名乗っている事もあって、
わざわざ出迎えなんてしなくても良いのにと思いつつ、嬉しい気持ちになってしまうのはなぜだろう。
二人の様子も、表面上は今までと変わらない。
奥の方で
だが俺の後ろから、ひょこっとセポナが出てきた途端、二人の空気が固まった。
それはすぐさま伝播し、奥の二人も固まっている。いやいや、
「
そう言うと、先輩は問答無用で俺を奥の部屋と引っ張っていた。
というか、ここは部屋というより物置だな。まだ調味料の壺が幾つか置いてある程度だが。
ただ当然のように狭い。そして暗い。
暗さに関してはどうにでもなるが密着した双丘の弾力。そして股間の間にねじ込まれる太腿。
すみません、理性飛ばしていいですか?
……何て訳にはいかない。
間違いなく、
「
本気の涙がぼろぼろと零れ落ちる。
いや待って、マジで待って。
言い訳出来ない点があるのは事実だが、今はとにかく落ち着こう。
こっちの時間軸では、まだ手を出してはいないのだ。
「
「それは申し訳ないと思っている。言い訳はしたくないが、だからと言って
「それは分かっているわ。仕方ないと思っているの」
そういって、シャツのボタンを外し始める。
「なのにどうしてあんな小さな子を選んだの?
まずい、このままだと俺の魂が暴走する。
そして暴発した
阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
というか、間違いなく様子がおかしい。先輩のスキルの悪影響が完全にケアされていない。
この不安定さは、間違いなくそれが原因だ。
今は仕方ない!
そう思い、先輩を思いきり抱き締めた。
「大丈夫です。落ち着いてください。彼女とはそういう関係ではありません」
この世界ではだけどな。
「さあ、冷静になって。先輩は俺よりずっとしっかりした人です。俺があんな小さな子に手を出すはずが無いでしょう」
あくまでこの時間軸での話だけどな。
言っていて心がチクチクと痛む。
だけど誤解されたままだと、
「とにかく信じてください! 今の俺を!」
そう。過去の俺は、今は棚の隅にでも置いておくのだ。
「……そうね、ごめんなさい。確かに落ち着いて考えれば、小学生の、それも低学年くらいの子に手を出すはずがないわよね」
心に刺さった棘は外しておこう。
「それじゃあ、改めて紹介してね」
「ええ」
こうして部屋に戻ったのだが、そこで腕を組んで仁王立ちになっている
それに、
「あ、戻って来た」
「あんな小さな子に悪戯したって本当かしら」
「そうじゃなきゃ、
「うわー」
言いたい放題言われていた。
だけどまあ、
あれは見定めている感じだな。
それも女性として意識してではない。俺がわざわざ連れてきた人間がどんな意味を持つのか思案中という様子だ。
さすがに俺が手を出したとは考えなかったようだ。信じてくれて嬉しいよ。
バレたら殺されるがな。
一方で、セポナの方は本気で怖がっている様子。
何せ今の彼女には、『自分を殺したらこの人も死んじゃいますよ!』という盾がない。
改めて考えても、当時の俺は酷い状況だったんだなあとしみじみ思うわ。
だけどそのおかげで、全力以上の力でセポナを守れたんだと思うけどな。
「お待たせ。ちょっと遅れたが紹介するよ。こちらはセポナ・カム・ラソスさんだ。見た目は小さいが、もうちゃんとした大人だからしっかりと敬意を持って接してくれよ」
先輩が俺の左手をグイッと握るけど、大人ってのはそういう意味ではないのでご安心ください。
本当に言葉通りの意味です。
「俺たちの世界で言うと、大学院生くらいになるのかな。専攻は俺達の言葉と文化。いわば通訳だな」
「通訳? え、成人しているの?」
「はい。これでも22歳です」
「うわっ、ごめんなさい。てっきりその……」
「気にしませんから大丈夫ですよ。これでも地下人の血統が少し入っているんです」
地下人の血統……あれか。
やっぱり外に出て異物となった人間にも、色々な人種があるのだな。
案外、まだ異物となっていない人間もいるかもしれないが……多分全く話は通じないと思うので、会わない方が良いな。
「でもそれは助かります。買い物とか不便だったので」
「
「食料は召喚者街で何とかなるけど、普段着とか困っていたのよねー」
というか
それはさておき、
先輩にひっそりと張り付いていて、他の連中は眼中にないのだろう。
買い物中も含めて、常に4人が一塊でいるとは考えられない。
そんな時、常に先輩の傍にいるのも不自然か。
まあ俯瞰できる位置で見守ってくれているのは助かるな。
「元々は同じ召喚者の
「奴隷!?」
「この世界って奴隷制度があるの?」
「その辺りの歴史的な経緯もセポナから教わると良い。
「「「「セポナ?」」」」
全員の声が重なった。
何か変な事を言ったか、俺。
「本当はどういう関係なの?」
「そもそも引き取った本当の理由は別にあるんじゃないの?」
「今、物凄く自然に名前を言ったよね」
「これは杉駒東校初めての逮捕者が出るか!?」
「だから成人しているって」
考えてみれば、たった今年上だから敬意をとか言ったばっかりだったわ。
確かに距離感が近すぎたな。
当のセポナですらちょっと困った感じだ。こちらは周りの反応に戸惑っているだけだが。
でも当時は年上だったけど、今の感覚だとかなり年下なんだよね。
まあ今はそんな事はどうでもいい。さっさと誤解を解いておかねば。
「
と、今はそういう事にしておこう。
「え?
だから一言多い。
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