第501話 本当の悪夢はまだ続いているんだな
俺が見た限り、
だが同時に、接した限りではかなりまともな部類だと思った。まああの4人の中ではだが。
この矛盾がどうにも気になっていた。
だがまともかという点に関しては、
俺に見る目が無いのか?
いや違う。
「それはお前が来たからだな」
原因はやっぱり俺か。
そこまでの影響力は……なんかありそうなんだよな。
4人の中で最古。クロノスをよく知っている。寝室を共にする関係。
はい、相当深い仲ですね。
「彼女がどうなるかはお前次第だ。いつかの大人しい彼女になるか、自暴自棄になって殺戮の限りを尽くすか……その時に私がいるとは限らない。むしろいないだろう。精々ご機嫌を取ってくれ」
それは俺に死ねと言っている事に気が付かないのか!?
あ、でもフランソワもどうしよう。
今更誤魔化しようが無いけれど、
しかし今更だが、色々な女性と関係を持ってしまったものだ。
ひたちさんに彼氏がいた事に関しては、心臓にナイフを突き立てられたかのような感覚を味わった。
けれどあれは仕方がない。元々、そういった計画だったのだ。未練は素直に断ち切ろう。
だけどセポナや
というか、どうやったら
ただでさえ先輩と
でもまあ、今はまだまだ先を聞く方が優先か。
「話はまだ途中だったな。そこから先のこと教えてくれ」
「そうだな。まだ肝心な事を話していなかったか」
クロノスが消えた経緯は分かった。
だがそこからダークネスさんになるまでの経緯。それに、現在までの状況だ。
「計画書は見ただろう」
「ああ、確かに目は通したが……」
計画と違う点が多すぎてどれをどう答えて良いのかが分からん。
「確かにこれでは曖昧過ぎるか。ただこちらもあの年月を語るには難しくてな……まあいい。整理しながら順番に話そう。分からない事があったら聞くといい」
「そうさせてもらうとするよ」
「先ずはそちらの話は聞かせてもらったが、こちらのペースが遅いとは思わなかったか?」
「確かにそうだな……」
ラーセットが襲われてからかなり忙しく働いた自覚はある。
そりゃあ最初は召喚という行為に対して嫌悪もあったし悩みもした。
だけど地球の結末やクロノスとなって知った事、そして奴を倒すという使命。
手探りではあったが、やる事は次第に加速していった。
途中第5期の同士討ちによる全滅や
そして
奴との最終決戦に入ったのが185年。そこから今に至る時間遡行が開始された。
ここを決戦の時と定めたのには幾つか理由がある。
奴が時計を手に入れてしまったであろう事。
大量の人間を召喚し、尚且つ十分な戦力を蓄えておける広大なセーフゾーンが発見された事。
それに、長くこの世界に留まっている人間の不安定さが常に気になっていたからだ。
特にキーである
幸い恐れていた事態は起きなかったが、そこから僅か14年か……。
だけど年数だけでは測れないな。
この世界に
だけど俺がクロノスであった時は、
やはり
だがそういったもろもろを考えても――、
「確かにペースが遅すぎるように感じる。確か今は254年だったな。なぜここまでかかったんだ?」
「お前のせいだ」
随分ストレートに言われてしまった。
「計画書を思い出してみろ」
そう言えば気になる表記があったな。
記憶だけでも問題無いが、あえてもう一度そのページに目を通す。
そこには、『多少の誤差はあっても、150年までには新たな自分が召喚されてくる。そこからの猶予は状況によって変わるが、30年程の育成と説明を目途に帰還させる』と書いてある……が、
「これはこれで早すぎるんじゃないのか?」
「それが事実だ。今まではそれが基本だったのだろう。なぜそうなるかの理由は不明だが、その辺りの年代で召喚されると信じてクロノスも動いていた。だが――お前はいつまで経っても来なかった」
「俺の時もそんなに早くには来なかったよ。というより、俺は俺が召喚される前に決着を付けようとしたからな」
それでも185年になっても俺は召喚されていない。
知り合いという意味では143年に
というか
本来なら、俺はもう召喚されていてもおかしくは無かったのか。
面倒な事にならなくて良かった。
「……別に責めたわけでは無い。そんなもの、お前が決められるわけでは無いからな。だがクロノスは焦っていた。召喚するペースも増えたし、死者も比例して増加した」
「それが最初に言っていた亀裂ってやつか」
「そうだ。だがそうするしか無かった。お前は
そう言えば俺は状況的にそうだと思って発言したが、そんな曖昧な理由で口に出す事か?
違うな。確信があった。理由も想像がつく――奴とのつながりだ。
だけど俺以外にそんなものは無い。
「そこからはひたすら召喚し、失敗すれば減らした。召喚者を殺し合うように仕向けたのも私だ。危険な思想を持つ者を監視し始末する体制も私が確立した。全てはお前と
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