第8話 先輩も龍平もとても良いスキルだった
詠唱が起こり光の膜が現れ…………。
「おめでとうございます。貴方のスキルは
そう言われると、両手で1メートルほどの杖を抱えて先輩が戻って来た。
恥ずかしそうな小走りだけど、なんか顔がにやけている。レアスキルという響きが気に入ったのだろうか?
「
弾むようにそう報告する先輩を見て、やっぱりと思う。
優等生と言う仮面に隠れているが、実は結構なゲーマーだ。
「それでどんなスキルなんです?」
「えっとね――」
手にしていたあまり飾りっ気のない杖を掲げて目を閉じる。
すると微かにポンっという音が聞こえたかと思うと、見えない何かが俺の中を通り過ぎたような感覚に襲われた。
「それでどうなるの?」
「えへへ。今のはね、
「ああ、それで俺だけが気付いたんだ。ん? 今の技量?」
「うん、スキルを手に入れた時に色々と分かるの。理解したっていうのかな? 今まで忘れていた事を急に思い出した感じ。これも練習を繰り返すと、もっと広範囲にしたり、対象を複数にも出来るのよ。ただ問題は、知らないものは探しようが無い事かな」
「へえ、それは便利だ」
迷宮は危険な場所だという。ゲームという名称を先人が付けたのだとしたら、俺らの知っているような怪物が居るかもしれない。
そういった奴の場所を事前に知れたら、実に心強い。
それに貨幣や宝石、あと確か鉱石なんかも探すとか言っていた。これも一度原石さえ見せてもらえば探し放題。埋もれていたって、掘れる距離にあるなら手に入れるのも容易だろう。かなりのチートスキルなんじゃないのか?
そのあと3人の順番が終わった。2人はかなり喜んでいる様子だが、1人の落胆が激しい。
役に立たないスキルだったら帰還……早くもその片鱗を見た気がする。
自分がそうだったらと思うと不安で不快だが、だけど結局は向こうに戻ったら全部忘れるわけだ。
なら、気にしてもしょうがないか。
「よっしゃ、いよいよ俺の番だ!」
気合満点の
ここからはドキドキの見守りタイム。ただもう周りの声がうるさすぎて、当人同士の会話までは聞き取れない。
出来ればいいスキルを引いてくれよ。最低限、即帰還なんてのじゃないやつを。
「いやっほぉーう!」
右手を掲げてジャンプ。あれは相当良いスキルだったに違いない。
あ、走ってこっちに来た。もう待ちきれない感じだ。
「俺は肉体強化だったぞ!」
「そのまま言葉通りに受け取っても良いのか?」
「多分そうじゃね? 腕力とか脚力とか、そういったのが強くなるんだ。極めると胃腸や血管なんかも強化できるみたいだぞ」
一見すると後半は馬鹿っぽいが、考えようによっては食中毒や毒耐性とも取れるのか。
こちらも戦いが避けられないと考えるなら、超有効なスキルだ。
それこそ、パーティーに最低限1人は欲しい戦闘係。
いや、それだけじゃないな。ゲームの世界ではあまり再現されないが、力が強いというのはそれだけでとてつもないアドバンテージになるんだ。
「じゃあ行ってくるね」
そう言いながら小さくガッツポーズをすると、いよいよ
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