異世界召喚されたのに与えられたスキルが『ハズレ』だったので追放されましたが、実は最強スキルだったので復讐して必ずこの世界を脱出してやるよ
ばたっちゅ
【 第一部 誓い 】
第1話 絶対に死なない そして絶対に許さない
まるで苔むした鍾乳洞の様な場所を、ただひたすら走る。
始めて来た時、「ここは貴方がたにとってはゲームの様な世界です」と言われていた。
ああ、確かに鍾乳洞全体が光っているようで、その幻想的な風景はまるで現実感が無い。
だけど今は、そんな風景など楽しんではいられない。
「〇△〇※! 〇△〇※!」
「追え! 追いかけて必ず殺せ!」
「◆※●〇□ △※〇!」
「ハズレ野郎! あんな最低な奴だったとはな!」
背後から聞こえてくる罵声。現地人の兵士達。だけどそれに混ざって知っている声も聞こえてくる。
あいつらの言っている事は冗談じゃない。捕まれば、俺は必ず殺される。
そう、死ぬんだ。この世界で。なのにあいつらは知らない。まだゲーム的な、危険のない世界だと信じていやがる。
現地の連中はどうなんだ? 何処まで知っているんだ?
だけどどうでも良い。知っていようが、知っていまいが変わらない。
奴らが追ってくることも、俺が逃げることも。
「
あの声は
そうか、あの人も来ているんだな。
だけど死ぬわけにはいかない。
あいつらの仇を取るまで。そして真実を暴くまで。
だけど今は無理だ。逃げるしかない。
「見つか……い。もう……なに遠くへ?」
「ハズレ……め。逃げ足だ……早いな!」
段々と声が遠くなってくる。
どうやら
まあ……俺はもう色々と違うしな。
「準備は出来ていますよ。でもその様子だと失敗しました?」
澄んだ小鳥のような声が聞いて来る。
ピンクの髪をした小柄な少女だ。
「召喚者が先陣をきっていますが、現地人の兵士も多いですね」
少し落ち着いた、生真面目さを感じさせる声が状況を説明する。
こちらは黒のレオタードにガーターベルト。それに手に持った茨の鞭。口調と服装がまるで釣り合っていない。
「予想通りだよ。それにしても、現地の連中は随分とやる気だな。普段はあんなに元気に迷宮になんて入らないと聞いているが」
「召喚者が先導していますからね。それに――」
視線は自然と俺の腰に行く。
「ああ、言わんとしている事は分かっているよ。だけどまあ、仕方ないだろう」
「失礼しました。それで、迎撃いたしますか?」
「いや、逃げる。今は戦えるような気分じゃないんだ」
「それで良いの? 会えたの?」
「ああ、だから今はこれでいい。次の機会は必ずあるさ」
そう言って、二人の女性を抱えて縦穴に飛び込んだ。
――必ず次の機会はある。必ず救って見せる。頼むから、それまで絶対に死なないでくれよ。
何処までも落ちていくような感覚を味わいながら、俺は次の手を考えていた。
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