第33話 ロボ
人間をはじめとする動物たちの感情の
「まあそうね。シロはイヌだし、私はヒトね。これは分かるでしょ。つまりは違いがあるって事よね。それを認めた上で育っていくんだけれど、でもロボ抜きではやってけないってことを含めて、大体同じって事かしら」
「ワンワンワン、ウワンウワン」
「それに私たちは皆この世に投げ出され、転がされたサイコロみたいなものだしね。誰かが言ってたように、時に止まって
「ワン、ワンワン。ワンワンワン、ワンワンワンワンワンワンワン、ハアハア」
「それ、あれだけれど、あなたは1ずつだから余計たいへんよね」
動物の心は身体のセンサやイフェクタと言う脳や神経の
「シロはおっとりしてるわよね。それってとってもいい事よ。抜け目のない犬なんてね、気味が悪くて落ち着かないわよね。でも、私たちは突然の隣国による侵攻みたいなとんでもないことに遭遇したら、自分がどうなるか全くわからないわ。おっとりしてるって言うのは概ね幸せに過ごしてきたと言う証拠よね。ただ、生きる事について大切なことは
「ウワン」
「あとは出会った相手や場所にすぐに適応できて、食べ物や水に適応することね。でも、
「ンワ」
動物の場合には日々或いは時々刻々と変化する体調など体の在りように応じて脳や心の在り方も変化する。こうして育ち
「んね」
「ンワ」
先にも触れた通り、
「それは難しい相談ね。ほんのちょっとした傷でも
「ワン、ワン、ワワン。ブオン、ブオン、オブオン」
「シロ。あんた、結構記憶力いいじゃない。健全だから忘却力や消去力もきっといいはずよ」
「オン、ワオン、オン。ブオン、オブオン」
生物の脳から脳や体に向かって、あるいは骨などの各組織から脳や体の各所に向かって分泌放出される様々な物質が大きな役割を果たしていたらしい。心の
「まあ、赤ん坊にとってのママね。ママの抱っこの温もりやナデナデ、優しく見つめる眼差しによってもたらされる何ものか。そして何よりも幸せなお腹いっぱい感と不可分のおっぱいね」
「ウオン、ウオン。グワン、グワン。ゴワン、ゴワン」
この気分や感情、
情報についてはどのようなオーダーレベルの
「人間の場合はややこしいからね。それに引き換え、シロたちの場合は結構単純かもしれないわね。でも色々見てると、シロたちも結構複雑よね。でも、
「ンワ、ワン。ウワ、ワウ」
人間に一般的な、場合によって脳内部位に対応する身体各所にすら
「そうなのよね。シロ、分かるかな。記憶に基づく感情ね、それに感覚や感情、情緒に粘り強く
「ウー、ワン。ウー、ワン。ワン、ウーワン」
生物システムにおいては基本的に生体は誕生の後には成熟とその後の
ほかにも
人間の場合、心はよい方向にもまた悪くも変化しうる。心の基本的で理想的な在り方に近いと考えられるニュートラルな場合もあれば、そうでない場合もある。いかに過大な入力の
一時的にせよ個々の心にそのような負因が一定期間、ある程度以上の力で圧し掛かれば、場合によって加齢変性の引き金が引かれては異常物質の蓄積や脳そのほかの神経細胞の脱落が
「ンワン、ウワン。ンワワ、ンワワ、ンワン、ンオン。オブオン」
このように、心と言うものの一歩一歩の挙動が刺激感受性や心理規制の介入による制御を含めて全く予測不能で未知数的である上、不況やパンデミックなどの大きな社会状況の変動によって大変複雑な心の総体がどのような変貌を遂げるのかについては全く予測のしようがないとも言える。
振れ幅が大きな場合の心の動態はそれをシステム自体が部分的に破壊することで全体を守って保守すると言う反応も起こりうるのだが、人間などはこれを以て面白みと名付けた向きもあるかも知れず、生物における
そうした予測不能性、不可能性こそは生物とその周囲を彩っている
勿論、
「まあね、逃げるが勝ちよね」
「ワンワン、ワワン、ワワンがワン」
動物その他の生物においては、体と呼ばれる機能的総体の中を場所によって、大きさや組成と構造とを変えながら、どこまでも伸長可能で、ある
生物、生命体を敢えて命を所持したロボと表現するなら、上述のように人間その他の生物たちは気の遠くなるほどに手の込んだロボであると言うことができる。おまけにそれらは単調で単一的な増殖をするものでない限り、
「でも、あんたの5匹の兄弟の真っ黒な子たちは区別がつかなかったわ。どう言う
「ワン、ワン、ワワン。ワワワワワン」
成長のないロボの場合、いかに複雑であるとは言え設計図の作成は容易である。単細胞生物などの微生物たちは光その他のエネルギーを動力源として活動し、死に向かう以外の彼らの目的は人間同様に不明ではあるが、寿命を保つ中で危機回避的に
危機回避における
「ねっ」
「ワン」
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