第25話 ロンボボボッ
「わかる、分かる。ホントに難しかったの。実は何でもそうなのよ。何かの折にロボの動きに伴って、喜びや悲哀を表出させてみよう試みると分かるのよね」
「ワンワンワン。クウウン、クウン、クワワワン」
生命の営みにおける複合的な時間空間的経験が織り成し、時に発動される、それらの個別的な差異的複雑性の機能的集約であるペルソナリテと言うべきものがある。動物たちにはこれが自他の差異化を
生命体が本来的に備える
「そうそう。こころ、ころころ。こころ、ころ」
「ワウワウ、ワウウ。ワワウ、ワウワウ」
あらゆる共同作業における複数の構成員の価値観の
さらに生きもの一般に見られる自己感や意識と言ったものの不思議もあり、これが発現しない場合やそれを抜きにしてのオートパイロット的なオートマタ的ロボ作出不可能性が
「まあね。だから、もし、その元となりそうなものさえ発出させられれば、色んなものがそこから派生して出て来るって言う、そんな発想は当然あったのだけれど」
「ワン。ワンワワ」
時間軸とでも言うものの上に
ロボには生命体におけるが如き不断の変化としての
こうして、発生に始まり成長や死に至る連綿たる経過としての老化が
「ふふっ、ふふふっ。ロボはね、年を取らないの。赤ちゃんでも子供でもなければ、青壮年でも、老人でもないのよ。もちろん古びはあるわ。でも、時間自体が謎なのよね」
「ギュワン、ギュワン、ギュワワワワン」
動物におけるが如き心身両面での双方向性の入出力特性のある機構を持つ小さな
「ま、そう言う事よ。動物には出力系の効果器である筋肉や腱の中にもその伸び縮みを感知する紡錘と言う感覚器が内蔵されているの。自身の出力特性を感知しつつ、それを制御しているの。出して入れつつ、また出すの。
「フオン、フウン、フワオン」
そのためには何よりもまず人間の五感に相当するインプットのためのセンサが必要とされた。さらにはセンスしたものを解析しながら分析総合する機能も必要であった。その分析内容を記憶した上で出力しながら制御能を次第に高めていくフィードバック、フィードフォワードループのための、やや複雑なスループット的サーキットを上流に配したアウトプットのためのイフェクタ機能も必要となる。動物においては反射と呼ばれる感覚と運動とを取り持つ
「そうそう。ニャンコの場合、最高のセンサである髭を
動物の赤ちゃんの場合は
「ワンワンワン、ワンウーワン」
「対象を名付けて言語に変換して記憶したり、
そう考えると、動物って生きてる間は出会ったものとの対話だから、記憶の中の古いものとの照合をしたり、新しい事は覚えなきゃなんなくって、つまりはずっと学習なんだよね。あんただってたくさんのことが出来るし、もう既にとても多くのものを知っているよね。ねっ、ケンタウルシロ」
「ワンワン、ワワン。ワンワン、ワワン」
「だからさ、ロボ作るの結構大変なのよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます