6、
わたしは怯えながらも つぶやきに耳を傾ける
そう この国には古いものにはすべて 神宿る
とるにたらない存在のわたしにも
わたしの心にも 神宿り
そして この国の在り様に心を痛める
神の御心はいかばかりか
風は わたしの涙で濡れた頬を乾かしてくれる
太陽は わたしの心を温めてくれる
空は わたしの髪や顔を照らしてくれる
大地は わたしを励ますように草原を揺らしてくれる
山の大木も わたしを見守るかのように枝を揺らしてくれる
下を見れば土も アリも 私を見上げるように隊列を組んでいる
遠くで海も さざ波をたてて励ましてくれる
わたしは いつもそこにいる
よかった わたし自身は少なくとも 侵略は されていない
まだ いまだに まだ
まだまだ
大事にしたい わたしの暮らし
大事にしたい 日の丸の平和な暮らし
頭の中で 啓示がでた
直き 正しき 真心持ちて、
誠の道を たごうことなかれ
神さまからのご啓示
その言葉はわたしの身体の中で鳴り響く
目を開けると おばあちゃんとわたしが立っている
わたしの背後にある 日の丸に向かって両手をあわせて拝む
拝もう
わたしは信じる この国を
誇り高き この国を
八百万の神宿る この国を
この国の 許容、寛容を尊びつつも
古き良きことも 尊びたいもの
子供たちは正しい歴史を教えられていない
日の丸を教えられていない
日の丸のありようを知らない
過去の歴史を知らない
でもそんなことは すでに言えなくなっている
言えない雰囲気は だれがつくったか
日の丸は どこに行ったか
これからも見えぬ侵略を されるか
それも歴史だと 後世が決めるか
それとも 決められてしまうか
わたしのこわいことが 嗤われるかもしれない
わたしのこわいことが 軽蔑されるかもしれない
わたしのこわいことが 責められるかもしれない
だれも憎みたくはない
ただ こわいだけ
わたし こわい
わたし こわいの
おばあちゃんとわたしは 毎日拝む
心ある人たちと 一緒に
日の丸に 感謝と愛情をこめて
他の世界の国々に向けて 平和を祈るの
祈りは無力ではないから
皆で笑顔で暮らせますようにと
わたしは 世界の平和を祈る
わたしは 日本人
だけどまだ こわい
このこわさは どこから来るの
このこわさは どこへ行くの
わたしは こわいの
とても こわいの
どうしたら いいの
わたし こわいの
本当に こわいの
了
わたし こわいの 鷹鷺鴛鴦 @wrathbird
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