2、
わたしは三才ぐらいにもどったらしい
……木造の築百年を超えた平屋にわたしとおばあちゃんが住んでいる
この広い家には同じく広い縁側があってわたしたちはそこにいる
日が照っているときは縁側のろう下はほんのりあたたかで
わたしはごろんと寝転がって庭の木や青空を眺めるの
まだ見える まだ見えている
ああ ありがたい
おばあちゃんは畑の仕事が一段落したら縁側にやってくる
夕食用にざるいっぱいに摘んできた菜っ葉をきれいにしている
小さな縮れた葉や根っこのヒゲを土に落としていく
落としたものはニワトリたちがコッコッコとつぶやきながら食べてくれる
菜っ葉のそうじが終わればこんどはさやから豆を取り出すの
いそがしいけど、楽しいね
わたしは歌いながらおばあちゃんの仕事を手伝うの
歌わないときは、おばあちゃんと口を動かさずに会話をするの
それがおかっぱ頭のわたし、過去のわたし
過去に戻るときは、わたしはその過去の持ち主よ
わたしはその能力を持っている
皆が持っているはずよ、同じ能力よ
おばあさんが何かをわたしに教えているよ
過去に戻った今、もう一度きちんと聞いてみよう
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