そのVチューバー、ヤンデレ

野口マッハ剛(ごう)

どんどん減って、そして

 ボクは今日も、とあるVチューバーに夢中になっている。いやー、かわいいんだよ。この美少女キャラクターが。パソコンの向こうにその女の子がひとりで話している。コメントはいっぱい流れていく。うーん、ボクも何かコメントをするかな? えーと、今日もかわいいね、とコメントを送信する。

「えへへ☆ ありがとー」

 ボクはその日のライブ配信を観終わって眠りについた。そして、朝になってポストを見る。すると、こんな紙が入っている。なになに? いつも、見ています。とだけ。ボクはうん? となった。いったい誰だろう? まあ、いいや。

「みんな~☆ 今日も来てくれて、ありがとー☆」

 やっぱり、いいなあ、このVチューバー。うーん、それにしても、さっきの紙はなんだったのだろうか? まあ、いいや。コメントを送信する。ボクは今日もその女の子に夢中になっている。ん? なんだろう、これ? ライブ配信者からのコメントメッセージ? ん? どういうわけだ? 開いてみる。そこには、いつも見てくれてありがとー☆ 私もあなたを見ていますよ☆ とあった。ん? えっ! これって、目の前のVチューバーから直接コメントがメッセージとして来たの? まるで夢のようだ。そのVチューバーは何も言わずにニコニコとし始める。ボクはびっくりと嬉しいが半分半分だった。

「また、来てね」

 それからというもの、ボクの夢中なVチューバーは人気がなくなってきたようだ。コメントがそんなに流れることはない。その代わりに、ほとんどボクとパソコンの中のVチューバーとコメントメッセージのやり取りが増えてゆく。ん? なんだか、おかしい。そのライブ配信から抜け出すことが出来ない? あれ? 玄関のベルが鳴った? 誰だろう? すると、パソコンの中のVチューバーからこんなメッセージが。会いに来たよ、と。ボクは心臓がドクンドクンとなった。いやー、そんなまさか! でも、玄関のベルは鳴りやまない。どうしよう、出てみるか? ドアを開けた。

「はーい、誰ですか?」

 目の前に美少女が立っている。その手には包丁が。ボクは慌ててドアを閉めようとするも、無理矢理に中に入ってきた美少女。えっ! どうしよう? えーと、それじゃパソコンの中のVチューバーの中身はいったい誰なんだ!?

「やっと見つけた♡ お兄ちゃん♡」


終わり

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