Seg 37 朱き囃子の禍つ声 -02-
その先に広がるは、
ところどころに建物らしき
びょうびょうと
護石があるとはいえ、空気がピリピリとした熱と
あまりにも
ユウは、また
「……
ユウは、自身を
足元は熱で
木戸に、ここが工場
「ひどいや……」
アヤカシの所業に、今まで自身に
「だからアヤカシって
ロクでもなかったなと、無理やり
それにしても、とユウはあたりをキョロキョロする。
「ミサギ様はすぐ近くにいるはずなのですが……」
ユウの心を読み取ったのか、木戸が話しかける。
みっちゃんは、着ていたベストをユウに
「こんなところ、よう平気でおるわな」
ユウは、みっちゃんが
ふと自分の手を見て、
「なんや? アヤカシでもおったか?」
ふるふると首を横に
「みっちゃん、まだ暑い?」
と、
「ん? お……そういやぁ……暑ぅなくなっとる!」
「ミサギさんのこの石、手をつないでたら効き目があるみたいだ」
「せなんやなあ。ユウどん、ありがとうな!」
ユウは
「あの! 木戸さんもボクと手をつないでください。暑くなくなります」
残る
しかし木戸は
「ユウ様のお
「え?」
「手ぇ
おそらく意味を理解していないであろうユウに説明するみっちゃん。
「あ……う、うん。
……本当に
「はい」
木戸の表情は相変わらず無であったが、その声は
ミサギを
「うぅ……」
その時だ。
ラァー……エェーイァー……
歌のような、
しかし、
「この……鳴き声……!」
ユウは、『鳴き声』と断言した。
ズドォン
足場にしていたパイプ管の束が
ユウたちは体勢を
その
ユウの言った『鳴き声』の正体もすぐ判明した。
ォオールゥールァー……
今ユウのいる場所は、建造物四階ほどの高さがあるだろう。にも
「ア……!」
ユウは、開いた口を手で
油断した。
そのサルの正体を理解し、つい声が
死がまさに目の前に
ルギュアアァァアアアア
サルの口が大きく開く。
「!?」
「マジかいっ……!」
「!」
サルはユウの
木戸はすぐさま
みっちゃんは立ち上がろうとした。
ユウは――
そこには
サルはもごもごと
三人のいた場所を見つめ、満足げに軽く
「……そんなにおいしかったのかい?」
『!?』
理解するのに時間がかかったのは、サルも三人も
ユウがはたと顔を左右にすれば、そこはサルの口内ではなかった。
先ほどいた場所よりも高い建物の屋上で、見下ろしたところにいたのは先ほどのアヤカシ。
近くにはみっちゃんと木戸と――。
「ミサギさんっ……!」
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