Seg 36 朱き囃子の禍つ声 -01-
「
木戸が
「タイミング……ばっちりやぁん……」
「みっちゃん…………
「それにしても、なして木戸はんが? わしらがここ居るん何でわかったん?」
今度はそっと入ってきた木戸。
スーツの内ポケットから保冷
――わぁお……保冷
木戸は
「ユウ様、
「居場所がわかるって……すごい……そんなこともできるんだ!」
「いえ……
「そうだっ! ミサギさんは!? 木戸さん、みっちゃんにメールをくれて、それでヘルプが朝ごはんで行こうとしたら
「まてまてまてユウどん! 説明が説明になっとらんで」
「だってお
「逆ギレすなやっ!」
「ユウ様は
木戸は、スーツの内ポケットを
「わあ、クッキー! 木戸さんの手作り!?」
「はい」
「いざという時のために、用意しておいてよかったです」
「いやなんでどうやって入ってんねん! しかも
「
表情はサングラスで分からないのに、ドヤ顔しているように見えたのは、みっちゃんの気のせいだろうか。
ユウは
ふと、ここでみっちゃんは、以前自分が肉まんごと手を食べられたことを思い出す。
あわよくば、木戸が
――いけ! 手までかぶりつけ!
ユウがクッキーに食いついた。
木戸の手は、シュッと
みっちゃんの
時間が
クッキーのサイズが規格外のせいで、ユウの食べ方はさながらリスがクッキーをかじっている
みっちゃんの
「っぷはぁ~、元気チャージ
「さっきまでの朝ごはん、どこに消えたのん……」
大量の食事でも
「それで、ユウ様とミシェル
「うん、そう! それで
「いや
折れていてもツッコミを
「てか、ワッシさっきからツッコんでばかりやんっ! ボケ
「ユウ様が
ここから現場へ直接参ります。アヤカシのいる
「ちょ……ちょお待ちぃ! ユウどんまで連れてくんか?」
「はい、ミサギ様のご希望です」
「ゴキボウて……言うても、ユウどんにミサギどんの現場は、キツいなんてモンやないで」
ユウがみっちゃんの
「いざとなったら、みっちゃんが何とかしてくれるんでしょっ? 『オトナ』の力、
「……うぅ~」
「
木戸もみっちゃんの
「ヌシさんはわっしと
……アカン、また
ぬうぅ……と
「あー! もうこなったらドンと来いじゃっ!」
意を決して
「では、参ります」
木戸は
「!?」
ユウは、扉が開かれた瞬間、その先を見る間もなく、顔を背けた。
炎が、熱と痛みをめいっぱいに叩きつけてくる。
腕で顔を覆っても、目を閉じても痛みが襲う。皮膚から口から体内へと滑り込もうとしていた。
少し空気を吸い込むだけで喉が痛み、言葉の代わりに針を吐き出している錯覚に陥る。
ユウは咄嗟に息を止めた。
しかしそれでも吹きつけてくる痛みに耐えられず、身体は自然としゃがみ込み、身を守るように丸く縮こまっていく。
「大丈夫かっ?」
「一度、戻りますか?」
二人の声が心配そうにする。
すぐ近くにいるのはわかっているのに、声が遠い。
ユウが答えらえずにいると、首元が淡く光り出した。
「? あれ?」
急に痛みが和らぎ、ユウは自身を見回した。
「なんだ? 楽になった……?」
光のもとを辿って首元に手をやると、ミサギからもらった石が指先にあたる。
「それは、ミサギ様の護石ですね。アヤカシの脅威から身を守るものです」
「ミサギさんの――」
意図せず、ユウの顔がほころぶ。
「……ありがとう、ございます」
「近くにおらんでも、ミサギどんは頼りになるのぅ」
「うん」
「ユウ様、このまま参りますか?」
「もちろん」
ユウは立ち上がった。
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