Seg 35 影潜む虚ろなる場所 -02-
みっちゃんの手に持つスマホが、
「目的地まで、約百五十キロメートル、所要時間は車で二時間六分、電車で三時間九分、徒歩で二十六時間です。出発しますか?」
と、
目的地は工場地帯を示している。ここは街の中心部なので、目の前には
だがしかし、それでも解決できない問題はあった。
――急いでおります。十分以内にお
木戸からの
「物理的に無理やぁぁあああああん!」
「何やのん! 木戸はんいつからこんな無茶ブリしてくるよぉなったん!? ストレスか? いっつもミサギどんに
みっちゃんは
ユウはというと、やむを得ず食べ残した料理が未練だったらしく、
今からアヤカシを
事態を理解しているのかいないのか。
みっちゃんは、ユウのアヤカシに対する行動を測りかねていた。
自分自身、アヤカシの事件に
大半はミサギが原因でもあったが。
無防備でアヤカシの前に出るのは死に直結する。
それとも、
――いややや、
ミサギどんの場合、ありゃ最強じゃからじゃ
やけんども、ユウどんの場合……
「あー……せめて、今すぐ
その言葉をユウは聞いていたのだろう、顔を上げて、みっちゃんのシャツをくいと引っ張る。
「帰れるよ、
「へっ?」
「
言って、
銀でできた、美しい細工のアンティーク調の
「それやあ!」
「!?」
みっちゃんが頭上で豆電球を光らせる。
「そやったそやった! 木戸はんの
「う、うん」
まくしたてるみっちゃんに
小さなコーヒーショップが
「あそこ、ちょうどいいかも」
通用口と書かれた
ガチャリ、と
「テッテレテッテテーテテー♪」
「……」
ユウは
一方、ユウの顔は
「パクリやないっ!」
みっちゃんは言い切った。
「思ってることはわかる!
けどパクリやないっ!」
「わ、わかったよ……
ていうか、みっちゃんはもらってないのか、
「うむ、
じゃけえ、
「……」
ミサギと木戸に
そういえば、初めて会ったときも
例え、常人が不可能なことでも、みっちゃんならば可能なのだろう。
みっちゃんは、そういう
「えっと、そろそろ行こうか」
「あっ――」
ガツンッ
「へぶぁっ!?」
ユウが開いた
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