Seg 13 あなたの街のお助け機関 -04-

 次の部屋へやでは、ユウが身分証明を出して、受付に確認かくにんしてもらっている最中だった。


「あら、このパソカ、不備があるわ。性別が男性、女性、両方ともにチェックが入ってしまってるわ」

「あー……それは……」

 ユウは言いにくそうに視線をらす。


「みたところ、住所も古い名称めいしょうのままね」

 受付をした女性は、ほんわかした雰囲気ふんいきで説明し、丁寧ていねいな手つきでカードを返す。


「どのライセンスにも言えることなんですけど、パソカに不備があると登録ができないの。魔法士まほうしライセンスの登録は一旦いったん保留にしておくから、先に不備を修正してもらってきてね。すぐそこにエレベーターがあるから、一階の住民課に行ってみて」

 そう言われて、ユウはしずんだ表情でみっちゃんのもとへもどる。


 待ち合いスペースにすわっていたみっちゃんは、話を聞いてうなずいた。

「なんやあ、そいなら急いで修正に行こ、ユウどん!」

 しかし、ユウはうつむいている。

「どした?」

「あの、さ……あー……えーと、どうしてもやらなきゃダメ……だよね」


 歯切れの悪い言葉に、みっちゃんは不思議そうな顔をする。

「なんや、なんかあるんか?」

 ユウはうつむいたままだ。言いたくないのか言えないのか。

 その理由は皆目かいもく検討もつかないが、ライセンス登録するには、この不備を何とかしなければならない。

「うーん……そねぇなら、言の葉屋に行ってみっぺか」

「コトノハヤ?」

「おう! 一旦いったん役所を出よう!」

 みっちゃんに判断をゆだねて、ユウはついていくことにした。

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