【番外編】ある日の一日
今、お店の中がとっても大変な事になってます。
なぜかというと、クラフティア国王様とランタール国王様とカイル様とルリア様がお店に来てるんです。
(こたつに入ってまったりしてますけど……この人達、国王様ですけど……良いんですかね?)
急遽お店を閉店しましたよ、もちろん! しかも突然ですよ、突然!
「せめて事前に連絡しましょうよ?」
「ハル、何を言ってるんだ。そんな事したら面白くないだろ?」
「面白さなんて、いりませんー!」
「はははっ、たまには驚かされるのも良いだろう? 普段は私達が驚かされてばかりなんだから!」
「いやいや、そんな事ないですよ!?」
みんなからのジト目で見られたけれど、気にしないもんっ!
「ハルさん、突然すみません。クラフティア王国に来るんだったら、絶対にハルさんのお店に来たかったんです」
「私も、ハルさんにもみんなにもお会いしたかったのですわ」
「ふふっ、カイル様とルリア様は全然悪くないから良いんですよ~。私もみんなも喜びます!」
「事前に漏れると危ないから黙っていたのもあるのですよ、突然で申し訳ない」
そう謝ってくれたのはランタール王国の王様だ。確かに、狙われたら危ないものね。
「ふふっ、ありがとうございます。確かにそうですね」
「ハル、ハルのお勧めを持ってきて貰って良いか?」
「はい、分かりました」
準備をしようかな。カイル様とルリア様が喜ぶだろうから、みんなにも持って行って貰おう! と思ったら、みんな準備万端だった。みんなもカイル様とルリア様に会えて嬉しいみたいだ。
カイル様とルリア様には厚焼きホットケーキを焼こう。クリームとメープルシロップで食べて貰おう。国王様達には何にしようかな。
甘いのは焼き菓子を持って帰って貰えば良いかな。クラフティア国王様はお料理が好きだから、唐揚げとか作ってあげましょうかね。普通の服を着ているけれど、お付きの騎士さん達も沢山いるしね。
お付きの騎士さん達にはここのお店の周りにシールドを張ったから、安心してのんびりして貰っている。
全部で20名くらいいるので、錬金スキルでさくっと作っちゃいます。そしてカイル様とルリア様とみんなが遊んでいるのを眺めるんだ!
唐揚げ、ポテト、具沢山のお味噌汁、かつ丼にしようかな。カイル様とルリア様にはポテトチップスも出してあげよう。
先にカイル様とルリア様のホットケーキを作って持って行こうとしたら、みんなが自分のクッキーを持って行こうとするので、それはお持ち帰りにして貰おう。じゃないと、みんなのクッキーを全部食べるのは大変だよ?
「わっ、ベリーちゃん。持ってきてくれてありがとう」
『ハルのホットケーキ美味しいから食べてぴょん』
「わぁ、ひぃろちゃん。ありがとう!」
『ふふっ、いっぱい食べるくまよ~』
(ふふっ、やっぱり微笑ましいね~)
錬金スキルで作ると、みんなも運ぶのを手伝ってくれる。重い物も持てるってみんなすごいね。でもちょと……重い物を持たせるのはいじめているみたいで心苦しい。
国王様や騎士さん達にご飯を出すと、私はお茶を入れに行く。緑茶とアイスティーを入れてみんなに出そう。持って行くと、クラフティア国王様に声を掛けられた。
「ハル、このこたつなんだかすっきりするんだが?」
「あっ、そのこたつに靴も入れるといいですよ。クリーン魔法と除菌をしてくれるので、足と靴が綺麗になりますよ~」
「「「「「なにっ!?」」」」
騎士さん達はやっぱり苦労してるんですね~。みなさんすごい食い付きで、急いで靴をこたつの中に入れてました。
お食事はみなさん美味しく食べてくれました。さすがに大人の男性の食べっぷりは見ていてとても気持ちが良かったです。全部綺麗に食べてくれました。
「ハルさん、このこたつやっぱり気持ちが良いですね」
「本当、温かいのがとてもほっこりしますわ」
「こたつは気持ち良いんですよね~。うちの子達もみんなこたつ大好きですよ。ただ、出るのが億劫になりますよね」
「「「「「「確かに……」」」」」」
全員思っていたみたいです。みなさん、思いっきり頷いてます。
そうだ、国王様達とカイル様とルリア様に、シールドが発動する魔道具をプレゼント出来ないかな?
よく考えて鑑定を発動させると、上級の魔石で強いシールドを張る事が出来るみたいだ。ミスリルを使うと更に強力なシールドが出来るって鑑定さんが教えてくれる。
ミスリルのみんなのシルエットのボタンを作って、それに付与しようかな。
「ライチ、ちょっとお手伝いして貰って良い?」
『なにぴよ~?』
ライチに何を作るかを伝えて、ミスリルを出すと一緒に錬金をする。国王様達のはそれぞれの国の紋章を刻印してみる。今日は来ていないけれど、グラセリア王国の国王様の分も作ろう。
それもライチに伝えて一緒に錬金して貰う。
「ハルさん、何を作ってるんですの?」
「ふふっ、このボタンです」
「まあ、可愛いですわ! みんなの姿が刻印されてますわ!」
『ライチもいっしょにやったぴよっ!』
ちょっとえっへん! と胸を張ったライチがとってもかわいいっ! ルリア様もにこにこになってます。
「ライチちゃん、凄いですわ!」
『えへへぴよ~』
カイル様には青いシーブルーサファイア、ルリア様には赤いドラゴニアサファイアを埋め込もう。みんなの刻印の上の方に小さく赤と青の宝石がきらりと光るボタンが出来た。
国王様達の分はドラゴニアサファイアの青い宝石を埋め込んだ。
「これはカイル様、こっちはルリア様に。それと、国王様達の分はこれです。グラセリア王国の国王様の分もお渡しして良いですか?」
「ん? あ、あぁ。これは一体?」
「これは、このボタンを触ってシールド! って言うと、結界の膜が張れるんです。魔物とか危ない時に結界を張って身を守る事が出来ます」
「ハル、ありがとうな。ハル、これは規模はどれくらいまで張れる?」
「少し弱くなるかもしれませんが、広い範囲に張る事も出来ますよ」
「だったら、私の分は広い範囲にして貰っても良いか? 私だけ助かっても仕方ないからな、国民を守れるように街を守れるようにして貰いたい」
「ふふっ、ステキな国王様で嬉しいです! ではそのように変えますね」
「ハルさん、私のもそうして貰っていいでしょうか?」
そうランタール王国の国王様も言い出したので、国王様達の分は街を守れる広範囲のシールドに変えておいた。国民を大事に出来る国王様はとても素敵です。
なので、上級から特級のダイヤモンドで付与して、広範囲に強力なシールドを張れるようにしておきました。
「ハルさん、ぼく達のも少し変えて貰って良いですか?」
「ん? どうしました?」
「国は父が守ってくれるのなら、私は私と私の護衛も守りたいです」
「ぼくも周りの人も守りたいです」
「ふふっ、カイル様もルリア様も素敵です。分かりました、ボタンを中心に半径10メートルのシールドを張れるようにしますね」
「「ありがとうございます」」
錬金し直したボタンをみんなに渡すと、とても嬉しそうだった。いざという時に誰かを守れるというのは心強いのかもしれないね。
確かに、私もみんなにシールド張るもんね。国王様達もそういう考えというのを改めて知って、とても心が温かくなった。
その後も国王様達は1日のんびり過ごしてから帰って行った。みんなもカイル様とルリア様と沢山遊べて嬉しかったみたいだ。
『ふふっ、楽しかったくまね~』
『楽しかったのぴょん!』
『ぼくのクッキーも可愛いって言ってくれたこんっ!』
「ふふっ、みんなのクッキー選べないって困ってたね」
『うれしいぴよ~』
『楽しかったぺんっ!』
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