商品を作ろう!
朝目が覚めると、みんなちゃんとベッドの上に寝ている。やっぱりクッションで壁を作ったのが良かったみたいだ。硬い床で寝てると可哀そうだし良かった。
今日の朝ごはんは、オーブンを使ってみたいしスコーンを焼いてみよう。材料を出して、バターと小麦粉を風魔法でボウルの中をフードプロセッサーみたいにかき混ぜる。
(ベリーが起きていたらベリーの高速回転に任せるんだけどね~)
牛乳をさっくり混ぜて生地を作ったら丸く型で抜いて、牛乳を塗ったらオーブンで焼いてみよう。後は、ブドウのジャムを作ろう。それと生クリームを泡立てて準備完了!
スコーンを焼いていると、みんなが起きて来た。テーブルに準備をして、熱々の焼き立てスコーンをお皿に盛ってみんなで食べ始める。
『ブドウの甘酸っぱいジャムと生クリームでとっても美味しいくまね』
「うん、さっぱりと美味しいね~」
『甘酸っぱくて美味しいぺん!』
朝ごはんのスコーンを美味しくみんなで食べた後は、私はお店の商品を作ろう。みんなには好きな所で遊んでいて貰おう。
私は1階のお店に移動すると、商品を作ろう。生地とかボタン、金属類と革も出して考えよう。まずは下級の付与が出来る宝石がたっくさんあるから……ボタンに付与してみようかな。
付与は、運が少し上がる、速さが少し上がる、力が少し上がる、魔力が少し上がる、体力が少し上がるのにしようかな。
材料を出して、どんどん付与していく。クルミボタンが沢山あるから、それに付与して効果を書いたタグを付けておく。
後は髪留めを作ろう。これはライチと一緒に作ろうかな。バレッタと付与の宝石を飾りにしたヘアピンにしようかな。これにはどんな付与を付けようか。女性が使う物だから女性が喜ぶもの……うーん……。
(女性が喜ぶのってやっぱり美容系? あっ、髪が綺麗になる? 肌がきれいになる?)
でも、下級の付与だからそこまで効果はないかもしれないけれど、気持ちだよね!
女性は少しでも綺麗になれるなら嬉しいはず! よし、作ろう~!
「ライチ~、少し手伝って貰って良い~?」
『ぴよ? お手伝いするぴよよっ!』
ぱたぱたと手を動かしながら、急いてぽよぽよと跳ねてきてくれるライチが可愛い! 手を動かしても飛べないとか、もうすっごくかわいいっ!
ライチに作りたい物を伝えて、一緒に錬金していく。一緒に錬金するのって、なんだかちょっと楽しいんだよね。
ついでに、ポーションも錬金しておこう。上級ポーションをいくつか作っておく。いざという時のエリクサーも作っておいた。
たくさん髪留めが出来たので、ライチにはまた遊んでいて貰おう。
「ライチ、ありがとう。とっても助かったよ!」
『またおてつだいするぴよよ~』
「うん、ありがとうね!」
これも付与をしたらタグを付けて、何の付与があるのか忘れないように記入しておく。
次は~……バッグを作ろうかな。これには出来たらアイテムボックスを付けたいんだよね。だけど、あんまり効果が良いのはいくらになるのか全然検討が付かないし……。
少し多く入るバッグだと、下級の付与から出来るみたい。時間停止になると上級からじゃないと作れないんだね。
中級の付与で、結構大きな物まで入れられるようになるみたいだ。時間停止は出来ないけれど、時間をゆっくりにする事なら出来そうだ。
下級と中級のアイテムボックスを付与しちゃおう!
時間停止とか容量無制限にしてないから、きっと怒られないよね?
ふふっ、私はちゃんと学習するのですよ!
バッグは厚手の生地があったから、それを使おうかな。あっ、でもみんな防具をしてるからバッグだと使いにくいかな?
だったら、アイテムボックスはやっぱりボタンみたいな小さい物の方が使いやすいかな? 何にでも付けられるしね。
うーん、でもバッグも作りたい……あっ、両方作れば良いか!
楽しく色々作っていたら、タルトが来た。タルトは私が作っている沢山のボタンとバッグを見てぽつりとつぶやいた。
『ハル……自重って知ってるぱん?』
「えぇぇ!? 自重したよ?」
『えぇ~……』
タルトにジト目で見つめられた……おかしいな?
「ちゃ、ちゃんと少し容量が入るのとか、たくさん容量が入って時間がゆっくりになるのしか作らなかったんだよ?」
タルトに付与の内容を伝えると、やっぱりって言われた……なぜ!?
『ぱん……それは凄い値段になるぱんね』
「えぇ!? だって、下級と中級の宝石だよ? 上級の宝石は使わなかったのに?」
『ハル、自重しろって怒られるぱんよ?』
「自重したのにー! 本当は時間停止、容量無制限にしたかったんだよ~?」
『さすがにそれはダメぱん』
「うん、だよね。だから時間の経過はゆっくりにしたんだけど、おかしいなぁ」
『まぁ、ハルだから仕方ないぱんね~』
おかしい……自重したはずなのにー! でも、売っちゃダメって言われなかったから、良いかな。ハルだからって言われるのは腑に落ちないけれど……。
「楽しくて、つい色々付与しまくっちゃったよ」
『いっぱいぱんね。でも下級の付与にしたぱん?』
「うん、そうだよ。少し効果があるくらいのものばかりだよ」
『そこはちゃんと自重したぱんね~』
タルトに褒められた! そうだよ、ちゃんと自重したんだよ~!
作った物に値段を付けて棚に並べて、残りはアイテムボックスに仕舞っておく。
値段はもちろん、タルトと相談しました。だって私だと安く付けちゃうから、とってもダメ出しをされたんだよ!?
そろそろお昼ごはんにしようかな。お昼ごはんの錬金ボックスを使ってみよう。何が出るか分からないのがちょっと楽しいんだよね。
みんなを呼んで、今日はお店のこたつを使ってお昼にする。こたつの浄化とクリーン機能を試してみたかったんだよね。
こたつに入ると、クリーンされたのが分かるくらいすっきりする。これは良い感じだね。
今日の私のご飯は、焼きおにぎりが出て来た。おにぎりの子には緑茶、パンの子には紅茶を出して、みんなでご飯を食べよう。
みんなで美味しくお昼ごはんを食べたら、午後は何を作ろうかな。
午後はみんなのクッキーを作って行こうかな。お店のキッチンの作業台で材料を出して、次から次へとみんなの可愛いアイシングクッキーを作っていく。
今回は前回の建国祭の時みたいに数が決まってないから、とっても気が楽だ。それでも100個ずつ作っていくから、大量に可愛いみんなのクッキーが出来て、すごく幸せな気分になるんだけどね。
みんなのクッキーが出来たら、今度はアイス用のシフォンのしっぽとベリーの耳クッキーを作る。その後はマドレーヌとかフィナンシェを作っていく。
沢山美味しそうなお菓子を作っていると、後ろから凄い圧が……ちらっと後ろを見ると、みんながキラキラの上目遣いでお菓子を見ている。
「ふふっ、お茶にしようか?」
『するぴよー!』
『食べたいぺん!』
みんなの飲み物も持ってからこたつに移動して、お茶にしよう。みんなも楽しそうにお店の中をぽよんぽよんしているから、お店を借りて良かったなと思う。
『やっぱりハルのお菓子は美味しいこんっ!』
『美味しいぴょんね!』
少しのんびりとみんなとこたつに入っていたら、コンコンとドアがノックされた。
ドアを開けてみると、商業ギルドのマリーさんだった。中に入って貰い、こたつに案内するとやっぱり凄く驚かれた。
「靴を脱ぐのにびっくりしたけれど、このこたつは凄く気持ちが良いですね~!」
「ふふっ、温かいから気持ちいいですよね。そしてのんびりできるのですよ~」
「それに靴も綺麗にしてくれるなんて素敵です!」
マリーさんにもお茶とお菓子を出して、お話をする。今日はどうしたのかと思ったら、オープンの日を聞きに来てくれたんだそう。
お店の前を通る人達がうちのお店が気になって、商業ギルドに何人か聞きに来ているのだって。確かに、通りから見える所でこたつに入ってのんびりしてたら、気になるよね。
マリーさんに4日後にオープン予定だと伝えると、凄く驚いていた。錬金スキルを多用しているから、お店が出来るの凄く早かったしね。だから余計にびっくりしたみたいだ……。
他にも色々とお話をしてから、マリーさんが帰ろうとすると……。
「ハルちゃん……これはダメだわ」
「どうしました?」
「気持ち良すぎて出るのが辛いわっ」
「ふふっ、そうですよね~。こたつは出るのが大変なんですよね」
「あー、出たくないわ~」
マリーさんは大分気合を入れてからこたつを出て、商業ギルドに帰って行った。きっとお店に来てくれた人もそうなるんだろうな~と思うとちょっと面白いね。
回転率の悪いお店になりそうだけど、のんびりと楽しそうだ。
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