ティリスの街

 朝起きて準備をしたら、朝ご飯を作ろう。今日はおにぎりとお味噌汁、海苔を巻いた卵焼きにしよう。作って準備をしたら、みんなが起きてくるまでにお家の中のアイテムを仕舞っていこうかな。


 アイテムボックスに全部仕舞っていると、みんなが起きてきたので朝ごはんにしよう。

 みんなで仲良く美味しく食べたら、こたつも仕舞って忘れ物の確認を済ませて、お家を出てまずはアリサさんの所に向かおうかな。今日はみんなを乗せた籠を抱きかかえて歩いて行こう。


「アリサさん、おはようございます」


「あら、ハルちゃん達。まあ、かわいいわっ!」


「ふふっ、今日はみんなも一緒に来たんですよ~」


「小さくなって籠に入っているだなんて、可愛すぎるわっ!」


「ふふっ、これだとみんなと一緒に街を歩けるんです」


 小さくなったみんなをなでなでしてるアリサさんが、凄くにこにこだった。


「バニラちゃんのフード出来てるわよ~」


『やったぺんっ!』


 アリサさんがバニラフードを出してくれると、フードの前部分にクチバシとフードの横に手が付いている。


「か、かわいいっ!」


 とっても可愛いバニラフードで嬉しいです。バニラフードを着てみると、お揃いになってバニラが照れてもじもじしている。バニラをむぎゅーっと抱っこしてなでなでする。


「ふふっ、バニラとお揃いだね~」


『ぺぺんっ! とっても嬉しいぺんっ! アリサさん、ありがとうなのぺん』


「ふふっ、どういたしまして」


 バニラがとっても喜んで可愛いので、今日はこのままバニラフードを着て行こう。


「これからティリスの街へ向かう予定なんです。なのでこれお礼です、受け取って貰えたら嬉しいです」


「まあ! か、かわいいわっ! これは何なのかしら?」


「これはアイシングクッキーと言って、このまま全部食べられるんですよ」


「こ、こんな可愛いみんなを食べられちゃうのね! もったいなくてなかなか食べられなそうだわ」


『くふふ、美味しく食べてくまよ~』


「ハルちゃん達は、ティリスの街でどうするの?」


「出来たらティリスの街でお店を開こうと思ってます」


「まぁ、それはステキね! 絶対に行くわ!」


 少しアリサさんとお話して、挨拶をしてから洋服屋さんを出る。今度は商業ギルドに行こうかな。商業ギルドに行くと、ギルマスのお部屋に通して貰った。


「おう、ハル。今日はどうした?」


「これからティリスの街へ向かおうと思ってご挨拶に来ました。これをみなさんでどうぞ~」


「なんだこれは?」


「お菓子なんです。アイシングクッキーと言ってそのまま全部食べられるんですよ」


「そうなのか。これも店に置くのか?」


「その予定ですよ~」


「なるほど、これは流行りそうだな。ありがとうな、後でみんなに配っておくよ」


「はい、お世話になりました。また何かあったらいつでも言ってくださいね」


「おう。これからもよろしくな!」


「はい!」


 1階の受付に戻ると、お家の解約手続きをして貰って鍵を返してから商業ギルドを出て、冒険者ギルドに向かう。

 冒険者ギルドに入ると、リルさんが居たので声を掛けよう。


「リルさん、こんにちは!」


「ハルちゃん達、こんにちは。今日は籠に入っているのね。とっても可愛いわ!」


「ふふっ、今日はティリスの街へ向かおうと思うので、ご挨拶に来たんです」


「あら、ハルちゃん達はティリスの街に住む事にしたの?」


「はい、それでお店を開こうかと思ってるんです。まだお店があるかが分からないので、どうなるかは分かりませんけどね」


「ふふっ、きっと大丈夫よ。ティリスの街へ行ったら絶対に行くわ!」


「ふふっ、ありがとうございます! それと、これはお礼にどうぞ」


「あら、良いのかしら。まあ! か、かわいいっ!! みんながいるわ!」


「これはクッキーなので、全部食べられるんですよ~」


「えぇ!? 食べちゃうのが勿体ないわね……」


 リルさんと少しお話してから、ギルマスの部屋に案内して貰った。ここでもギルマスに職員さん達用のクッキーを渡してから冒険者ギルドを出る。


 次は食材屋さんのメレさんの所へ向かおうかな。食材屋さんに着くと、メレさんを見つけた。


「メレさん、こんにちは」


「あっ、ハルさん達。こんにちは、今日もみんな可愛いですね!」


 メレさんにも、ティリスの街でお店をやる事やお礼のクッキーを渡してお話をしてから、お店を出る。

 最後は宿屋のステラさんの所へ向かおう。宿屋の中に入ると、ステラさんに声を掛ける。


「ステラさん、こんにちは!」


「あら、ハルちゃん! 今日はどうしたの?」


 ステラさんにもティリスの街でお店をやる事を伝えて、クッキーを渡す。


「ふふっ、ティリスの街へ住む事にしたのね。ちょっと残念で寂しいけれど、ティリスの街へ行ったら絶対に行くわ!」


「ふふっ、ありがとうございます」


 ロールさんにも挨拶を終えたら、東門へ向かおう。とってもお世話になった王都だからちょっと寂しくもなるけれど、またすぐに来られるからまずは自分のお店を頑張ろう!


 東門で手続きをして貰い外に出ると、少し離れた所で飛ぶこたつを出して乗り込もう。お昼ごはんに卵サンドとBLTサンド、アイスティーを出したら、食べながらティリスの街へ向かおう。


『ふふっ、楽しみくまね』


「そうだね~。良い物件が見つかると良いね」


『お店楽しみなのこんっ!』


「こたつカフェにしても良いけれど、みんなずっとこたつから出られなくなりそうだよね」


『ぺぺんっ! こたつカフェ良いぺんっ!』


「ふふっ、バニラも出て来なそうだよ?」


『こたつはステキなのぺん!』


『ふふっ、こたつすきぴよー!』


 みんなこたつ大好きだもんね。もふもふこたつカフェは私も行きたい! みんなをもふもふしてお茶が出来るなんて幸せ過ぎる!


 そんなことを話しながら飛ばしていると、ティリスの街が見えて来た。門の手前で降りると、みんなにはバングルのお部屋に入って、タルトを肩に乗せて門へ向かう。


「こんにちは、手続きお願いします」


「おっ、おかえり!」


 門番さんに見覚えがあった。私が最初に話をした門番さんだ。この門番さんに聞きたい事があったんだよね。


「ただいまです! あの、前に私がここに来た時に証明書がないのに銀貨1枚だったんですけど、本当はもっと高くなかったですか?」


「あぁ、そのことか。実は俺、鑑定魔法が使えるんだよ。何も荷物を持っていないし、不安そうだったから鑑定魔法を使ってみたら、異世界人って出ていたから銀貨1枚にしといたんだよ。宿も安全な所にしといたんだ」


「わっ、そ、そうだったんですね! ありがとうございました! おかげでとても安心して泊まれました」


「ははっ、役に立てて良かったよ。昔から異世界人がたまに来ると話には聞いていたんだが、初めてみたから凄く興奮したんだよな! あっ、でも他の奴には言ってないから安心してくれな」


「はい、本当にありがとうございました。ここに住もうと思っているので、これからもよろしくお願いしますね」


「おっ、そうなのか。本当におかえりだったんだな。これからもよろしく頼むな!」


「はいっ! よろしくお願いしますね!」


 門番さんに挨拶をして中に入ると、懐かしいティリスの街だ。今日はまずはビス亭に行こう!

 タルトを肩に乗せたまま、ビス亭を目指す。キャルさんは覚えていてくれているだろうかとちょっとドキドキするね。


 ビス亭に着いたので、そっとドアを開けるとキャルさんが居た。


「あっ、ハルちゃん! お帰りなさいっ!」


「ふふっ、キャルさん。ただいまです!」


「ふふっ、大きくなったね~」


 キャルさんにむぎゅーっとされて、とってもホッとする。帰ってきて良かったな~と本当に思う。キャルさんに手続きをして貰ったら、まずはお夕飯を食べよう。

 ビスさんのご飯にもお醤油が使われていた。大分調味料が広がったみたいで嬉しいね。


 お夕飯を食べ終わったら、お部屋に入ってクリーン魔法を掛けてのんびりする。


「ふふっ、帰ってきて良かった。覚えてなかったらってちょっとドキドキしちゃったよ」


『ふふっ、大丈夫くまよ』


『明日は商業ギルドに行くぱん?』


「そうだね、明日は商業ギルドと冒険者ギルドにも挨拶に行こうね!」


 みんなももふもふっとむぎゅむぎゅっとしておやすみなさい!

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