お祭りに何を出そう?

 お家に帰ると、タルトがバングルのお部屋からみんなを呼んできてくれた。お茶の錬金ボックスから飲み物を出すと、こたつに入ってお祭りの話をしよう。


「5日後にここグラセリア王都でお祭りがあるんだって。それで、お店を出す手続きをして来たから、お手伝いして貰っても良いかな?」


『任せてくま~』

『やりたいぴょん!』

『お祭り楽しみぱん』


『やってみたいぴよ!』

『ぼくもお手伝いするこん』

『楽しみぺん~』


 みんなもお手伝いを張り切ってくれているので、今度は何を出すかを考えよう。


「何のお店にしようか?」


『うーん、ハルはお料理とお菓子を作るのが上手だから食べ物が良いと思うくま』


「お料理かお菓子か~。どうしようかなぁ」


『お菓子がいいぴょん!』


『おかし好きぴよ~』


『食べたいこん』


『食べたいぱん』


「食べたいになってるよ~?」


『美味しいの好きぺん』


 みんなお菓子が良さそうだから、お菓子を出そうかな。しかし、食べる気満々な子達もいるけれど。でも、クラフティア王国に帰ってお店をやるんだったら、その練習にもなるからお菓子を出してみようかな。


「みんなが食べるわけじゃないのよ?」


 そういうと、がーん! というショックを受けた顔をするタルトとシフォンとライチ。そんな顔されちゃうと、罪悪感が……。


「え、えーっと……味見お願いするね?」


『任せるくま!』

『任せるぴょん!』

『いっぱい味見するぱん!』

『まかせてぴよー!』

『やるこん!』

『ぼくもぺん!』


「ふふっ」


 味見してくれる気満々だけど、いっぱいはやめてー! 

 お菓子を出す事に決まったけれど、どんなお菓子にしようかなぁ。うーん、悩ましいなぁ。

 ふと、ひぃろが目に入る……くま焼き……カステラ?


『く、くまっ!?』


(ベビーカステラに耳を付けて……じー……)


『ハ、ハル? ど、どうしたくま!?』


「ふふっ……絶対可愛い!」


『な、何がくまー!?』


 明石焼きみたいに、片方を平らにして、半円にして耳を付けてお顔を付けたらひぃろとタルトが出来る!


『ぱんっ!? ぼ、ぼくもぱん!?』


「ふふふっ、絶対美味しい!」


『おいしくないぱんー!』



 さすがにベリーのお耳は焼くのが大変そうだし……あっ、ベリーのピンク色のアイスにお耳型に焼いたクッキーを刺したらベリーが出来る!!


『ぴょっ!? な、なにぴょん!?』


「ふふっ、可愛いし、絶対美味しい!」


『食べないでぴょん~!!』


 シフォンもアイスにしようかな。紅茶のアイスにアーモンドのお耳を付けて、しっぽ型に焼いたクッキーを刺して……。


『こんっ!? な、なにこんっ!?』


「ふふっ、美味しそう!」


『食べないでこんー!?』



 ん~、ライチはどうしようかな。アイシングクッキーにしようかな。オレンの香りのクッキーにして、オレンの皮とお汁を使ってアイシングにしたら出来そうだよね。


『ぴよっ!? ライチもぴよー!?』


「ふふっ、絶対可愛い!」


『ほっ、よかった。食べられなかったぴよ~』


「ん? 絶対美味しいよ?」


『ぴよー!?』


 バニラもアイシングクッキーにしようかな。青だけど、ブドウで作っちゃおうかな。ブドウの汁を使ってアイシングにしてみよう。黄色のクチバシはレオンのアイシングかな。


『ぺんっ!? こっちもきたぺんー!!』


「ふふっ、美味しそう」


『たべられるぺんー!!』


 これでみんなの分が出来そうだね。ホッとしてみんなを見ると、なんだかみんな怖がっている。どうしたんだろう?


「あれ? みんなどうしたの?」


『ハルは、ぼく達を食べるくま?』


「えっ? 食べないよ?」


『だって、美味しそうって言ったぴょん!』


『食べられちゃうこんー!!』


「あはは、ごめんね。お祭りのメニューを考えていたんだよ~」


『もう、びっくりしたぱんよ』


「ふふっ、ごめんね」


 一度、錬金スキルで全部作ってみちゃおう。材料を出して、まずはカステラから作ろう。ひぃろとタルトのカステラを良く思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとひぃろとタルトの形のカステラが出来た。


『くまっ!?』


『ぱんっ!?』


「ふふっ、どうかな?」


『ぼくがいるくまー!』


『ぼくもいるぱん!?』


「うん、これは鉄板を作ってその場で焼こうと思うんだけど、どうかな?」


『美味しそうぴょん!』


『おいしそうぴよ!』


『なんか複雑な気分くま?』


『あーっ、ぼくのお耳がっ!』


『美味しいぺん』


 うん、かじっちゃうとやっぱりちょっと可哀そうだけど……。そしてタルト、そんな事言ったら食べにくいよ?


『ふふっ、美味しいこんっ』


 食べるのがちょっと勇気がいるけれど、外がカリっと中がふわっとしていて、とっても美味しい。鉄板でこれが焼けたら素敵です!


 よし、次はベリーを作ろう。ベリー味のピンクのアイスで、耳はクッキーを2枚、それからお顔をチョコで描いたら出来るかな。材料を出して、よく思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、アイスのベリーが出来た。かわいいー!!


『ぴょっ!? 私がいるぴょん!?』


「ふふっ、ベリーのはアイスにしたんだよ~」


『美味しいくま~!』


『あーっ、お耳が食べられたぴょんっ!?』


「ふふっ、アイスとクッキーだからね?」


 みんなが食べている中、ベリーは食べられずに眺めている。やっぱり自分を食べるのは抵抗ある……かな。


 次はアイス繋がりでシフォンを作ろう。紅茶のアイスにアーモンドの耳にクッキーのしっぽ! 材料を出して、良く思い浮かべる。


「錬金!」


『ここんっ!? ぼ、ぼくこん~!?』


「こっちは紅茶のアイスなんだよ~」


『それは美味しそうぺん』


『おいしそうぴよー!』


『た、食べられるこん……』


「ま、まぁまぁ。アイスだからね?」


『ぴょっ!? ハルー!!』


「ベリー、どうしたの!?」


『眺めてたら、溶けてスライムみたいになったぴょん~!』


「そ、そうだ……ね?」


(ベリーもスライムなんじゃ……? そして私、普通のスライム見たことなかった気がするよ?)


 ベリーをなでなでして、慰めてあげる。自分に似たお菓子を作って貰えてうれしかったんだって。それは良かったけれど、まさか溶けてスライムみたいになっちゃったって言われると思わなかったよ?

 みんなはスライムだけどスライムじゃない感じなのかな? スライムは不思議だね~。



 落ち着いた所で、次はライチのアイシングクッキーを作ろう。材料を出して、頭のふよっとした毛の部分も形にして、オレンのアイシングで全体を、クチバシ部分はレオンのアイシングで作ろう。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとライチの形のアイシングクッキーが出来ている。


「きゃー、かわいいっ!」


『ライチがいるぴよー!?』


「ふふっ、これはクッキーなんだよ~」


『た、たべられるぴよ!?』


『食べられるくま!?』


『食べるこんっ!』


『たべられたぴよー』


 最後はバニラのアイシングクッキーだね。ブドウのアイシングと白のアイシングとクチバシはレオンのアイシングを使ってバニラを作ろう。材料を出して、良く思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとバニラのアイシングクッキーが出来ている。


「バニラもかわいいっ!」


『ぼ、ぼくのもあるぺん!?』


「ふふっ、もちろんだよ!」


『嬉しいぺん! でも食べちゃうのもったいないぺんね』


 バニラをなでなでしてあげる。確かに自分のクッキー食べにくいかな……でもかわいいのっ!


「ふふっ、全員分出来たね~。これでどうかなぁ?」


『ふふっ、良いと思うくまよ』


『食べられちゃうけど、いいと思うぴょん!』


『楽しいぱんね』


『おいしかったのぴよ』


『おいしかったぺん~』


「ふふっ、お店にこれを出そうね」


『楽しみくまね』


 後は鉄板を作らなきゃだね。これも錬金スキルで出来るから、明日……は依頼だったから、明後日作ろう。

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