新しい家族

 みんなが遊び終わったら、またストリアの街を目指して歩いて行こう。ブランコを作る事になったけれど、どんなブランコを作ろうかなぁ。普通のブランコだと落ちちゃうし……籠みたいなのにしようかなぁ。


 そんなことを考えながら、歩いているとひぃろが立ち止まった。


『ハル、ちょっと遠回りしていくくまよ~』


「うん、わかったよ。どうしたの?」


『何か木の実があるみたいなのくまよ』


「わぁ、それは楽しみ! 行こう行こう~!」


 ひぃろが木の実を見つけてくれたのでついて行ってみると、沢山の粒の実がなっていた。でも何か違う気がする?


「粒の実っぽいけれど、今まで見ている粒の実と何かちょっと違う気がするね」


『そうぴょんね』


 鑑定してみると、待ち望んでいたもち米だった。


「あっ、やったー! もち米だよ、これ!」


『もち米こん?』


「うん、粒の実と似ているけれど、少し違ってもちもちするんだよ~。ご飯にもおやつにもなるんだよ」


『それはたのしみぴよ!』


『いっぱいとっていくぱん!』


 相変わらず木になるお米って不思議だよね~。でも、粒の実は美味しかったし、きっと美味しいはず!

 それにもち米があれば、お餅もおはぎもおこわも色々作れるし嬉しいなぁ。

 

 粒の実と同じで、この実も割ると中からもち米が沢山出てくる。みんなに粒の実を落として貰うと、タルトと私で拾ってアイテムボックスに仕舞っていく。


 沢山採れた所で、少し休憩しよう。飛ぶこたつを出して、モンブランと紅茶を出してお茶にする。やっぱりモンブランは美味しい。


『栗のしっとりしたクリームが美味しいくま~』


『紅茶とのバランスも最高なのぴょん!』


「クリームが甘くて美味しいね」


『美味しいのぱん!』


『生クリームと栗のクリームがとっても美味しいこんっ!』


『ふふっ、おいしいのぴよ~』


 みんなで仲良くお茶をしたら、お片付けをしてまたストリアの街へ向けて歩いて行く。途中でお昼ごはん休憩を挟みながら歩いて、夕方頃にストリアの街へ着いた。


 街に入って冒険者ギルドで依頼を聞いてみたけれど、特に依頼がなかったのでそのまま冒険者ギルドを出て、路地に入りバングルのお部屋に移動する。


 お夕飯は肉じゃがとお味噌汁を作ろう。ご飯の準備が出来たら、テーブルに準備してみんなで食べよう。


『ふふっ、美味しいぴょん!』


『味がしみたじゃがいも美味しいこん』


『ハル、おかわりぱん~!』


『あっ、ぼくもくま!』


『ライチもたべたいぴよ!』


「ふふっ、はいどうぞ」


 みんなで仲良くご飯を食べたら、お風呂に入ってブラッシングをして幸せもふもふタイム~。

 みんなにもふもふっとむぎゅむぎゅっとすりすりってしたらおやすみなさい。




 次の日、準備をしてあさごはんを食べたら、バングルのお部屋を出てストリアの西門へ向かおう。

 西門を出て、氷山に向けて歩いて行く。門の外に出たら、みんなもバングルのお部屋から出て来て、ぽよんぽよんと跳ねて行く。


 少し進んだ所で、寒くなってきた気がする。火山でやったようにシールドの中を今度は温かくしてみようかな。


 シールドの内側を火と風の魔法で温めよう。自分ので試して温かくなったら、みんなの分も温かくしてあげよう。


『ぴよ? あったかくなったぴよ~?』


『本当くまね。温かくなったくま、ハルありがとうくま』


「少し寒くなってきたからね~。シールドの中を温かくしてみたんだよ~」


『ふふっ、ぽかぽかで気持ちがいいぴょん!』


『温かいこん~』


『ぽかぽかで眠くなっちゃうぱんね』


「ふふっ」


 そこから更に歩いて行くと、雪が積もっている。ちょっと歩きにくくなってきたけれど、シールドで温かいからあんまり大変じゃないかな。


 もう少し先に行くと山の入り口に着いた。氷山というだけあって、山の上の方が雪じゃなくて氷みたいだ。


「うん、結構険しい山だね~。途中で難しそうだったら飛んじゃおうね」


『そうぱんね~』


 上の方は氷だけど、下の方は雪がいっぱいなので、ゆっくり登って行こう。雪ばっかりで採取出来なそうだけど、鑑定魔法はしっかりかけておこう。


 少し登った所で、ちょっとお茶にしようかな。バングルのお部屋に入って、温かい紅茶とパウンドケーキを準備して、みんなでお茶の時間だ


『美味しいこんっ!』


『温かい紅茶とパウンドケーキ美味しいぱんね~』


「うんうん、雪と氷を見ていたから気分的に寒くなっちゃったからね。温まったらまた登ろうね」


『そうくまね』


『行くぴょん~』


『雪たのしいぴよー!』


 みんなで仲良くお茶タイムをしたら、バングルのお部屋から出て氷山を登って行こう。

 お茶を終えて、バングルのお部屋を出たらまた氷山を登って行こう。見渡す限りの雪で方向感覚がおかしくなってくるけれど、ひぃろに任せてついて行こう。


 歩いていると、遠くに雪だるまが見えた。少し近づいてみると、雪だるまみたいな魔物がいる。あれがまるゆっきーかな?


「もしかして、あれがまるゆっきー?」


『そうくまよ~』


(まんま雪だるまだね。でも動いているのが不思議だね~)


 ファイアーアローを撃ってみると、ぽふん! とまるゆっきーを倒して、アイテムをドロップした。ドロップ品は討伐記録、レインコートだった。


「ドロップ品はレインコートなのだね。確かに雨とか雪の日に便利だものね」


『そのレインコート、ハルに似合いそうぴょん』


「ふふ、ありがとう」


 それからも登っていると、まるゆっきーが次から次へ出てくるので次々に倒しながら進んで行く。

 まるゆっきーを倒しながら進んでいると、雪から氷になって来た。みんなが滑りながらくるくる回ってるのが可愛い。


『滑るくま~』


『たのしいぴよー』


『きゃー、止まらないぴょん』


「ふふふっ、くるくる滑るの上手だね~」


『目が回るこん~』


『くるくる回ってジャンプも楽しいぱん!』


(タルトったらトリプルアクセルですか!?)


 みんなが氷の上を滑ったり回ったり、楽しんでいるのを眺めていると……なんか……いつの間にか増えてる!?


(あれっ? あの子は誰だろう?)


 ひぃろ達に混ざって、くるくるぴょんぴょんしている子がいる。


「ペン……ギン?」


 全体が青でお腹だけ白い丸っこいペンギンがいる。黄色いクチバシに小さい手も付いている。この子はペンギンなのか……それとも特殊スライムなのか……?


 私が悩んでいると、ひぃろがちょうど近くに来たので、こっそり聞いてみよう。


『ハル、どうしたくま?』


「ねぇ、ひぃろ。あの子は知ってる子?」


『くま?』


 ひぃろがこてんと転がると、飛び起きた。


『あれは特殊スライムくま!』


「あっ、やっぱりそうなのね。いつのまにか増えていて、ちょっとびっくりしてたんだよね」


『ちょっとお話してくるくま~』


「うん、楽しく遊んでおいでね。お茶の準備してるね」


 ひぃろがペンギンさんの所に行ったので、私は飛ぶこたつを出してお茶の準備をしよう。

 周りが氷ばかりで気持ち的に寒いから、ホットチョコレートとポテトチップスにしようかな。ポテトチップスはのり塩味にしよう。


 材料を出して、ポテトチップスを錬金してホットチョコレートを作ろう。準備が出来たら、冷めないようにアイテムボックスに仕舞っておこう。


 少し待っていると、みんなと一緒にペンギンさんも来てくれた。このペンギンさんも毛が少し短めだけど、ふわっとしてる感じで可愛いんだよね。

 ふわっとしていて、地球に居た頃の赤ちゃんペンギンみたいだね。


『ハル、この子も一緒に行くくま~。テイムしてくまよ』


「えぇ!? でも、ペンギンさんって寒い所に居なくて大丈夫なの?」


『寒くて嫌って言ってたぴょん』


「え!? そうなの!?」


 ペンギンって寒い所に良く居るけれど、この子は寒いの嫌なんだ。ちょっとびっくりしちゃったよ。


「私の家族になってくれるの?」


 そうペンギンさんに聞くと、ぽよん! と嬉しそうに弾んでくれた。ペンギンさんが光り、光が収まると可愛い声が聞こえた。


『よろしくぺん!』


(やっぱり語尾はペンなんだね。そして、この短い手がなんとも可愛いです!)


「お名前はある?」


『ないから付けて欲しいぺん』


 うーん……ペンギン……氷……アイス……


「あっ、バニラ! バニラってお名前はどうかな?」


『ぼくはバニラぺん。よろしくぺん』


「ふふっ、よろしくね」


 頭をなでなですると、とっても気持ちよさそうな表情をしている。


「お茶しながら鑑定させて貰って良いかな?」


『もちろんぺん。よろしくぺん』


 バニラにも温かいシールドを掛けてあげよう。


『ぺん? なんだか温かくなったぺん~。気持ちがいいぺん』


「ふふっ、温かいシールドを掛けたからね」


 みんなが温かくなったところで、お茶にしよう。

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