装備品ダンジョン1

 朝起きて、お着替えをして朝ごはんを準備する。おにぎり、お味噌汁、卵焼きを作ろうかな。後、メロンパンを錬金スキルで作っちゃおうかな。


 パンの材料とクッキーの材料を準備して、メロンパンを思い浮かべる。


「錬金!」


 メロンパンが沢山出来たので、アイテムボックスに仕舞っておく。おいしそうだなぁ……。なんか後ろから圧力が……。そぉっと振り返ると、みんながきらーん! と目を輝かせて見ている。


「わわっ、みんな起きてたのね」


『ハルが美味しそうな物を作ったのは知っているのくまっ!』


『食べたいのぱんっ!』


『甘い良い香りがしたぴょん!』


『美味しそうだったぴよー!』


『ぼくも食べたいこん~!』


「うっ……可愛い子がいっぱい。えーっと、メロンパンも味見しようね」


 可愛く見つめられたら断れません! 本当にうちの子達は可愛いなぁ。メロンパンを切り分けてみんなの前に置いてあげると、やっぱり大喜びだった。


『ふふ、あまくっておいしいぴよ~』


「これはメロンパンって言うんだよ。さくさくふわふわで私も好きなんだ」


『美味しかったぴょん!』


「ダンジョンの中で食べようと思って作ったから、今日のお昼ごはんの時に食べようか」


『やったこん!』


 朝ごはんも食べ終わったので、お片付けをしてお家を出る。今日はダンジョンに行くぞ~! 西門へ着くと門番さんに手続きをして貰い、外に出る。少し歩くとダンジョンの入り口があった。そこでも手続きをして貰ってからダンジョンに入る。


 ダンジョンの床を鑑定してみると、ここのダンジョンは30階まであるみたいだ。20階までは冒険者達が行っているみたいなので、そこまではさくさくっと進んじゃおう!


 飛ぶこたつでびゅーんと飛ばして、5階ごとにいるボスもさくっと倒して進むと、お昼には19階の階段前に着いた。階段を下りるとボスだと思うので、ここでお昼ごはんを食べてから行こうかな。


 階段近くの安全エリアに行って、ご飯を食べる準備をする。今朝作ったメロンパンだからアイスティーにしようかな。


 安全エリアの中で飛ぶこたつに座りながら、メロンパンをもぐもぐ食べる。みんなで美味しく食べた後は、飛ぶこたつを仕舞ってきちんとシールドを掛けて雷を纏わせてから階段を下りよう。


 20階に下りても何も見当たらなかった。


「何もいないのかな?」


『ハル、いるくま!』


『いるぱんよ。中央が危険って出てるぱん!』


「わわっ、そうなんだね」


 よく見ても特に魔物は見当たらなかった。そぉっと近づいていると、土が盛り上がって見える。


(あの盛り上がり方はもしかして……)


 さらにもう少し近づくと突然地面が盛り上がった。そこには大きな大きなもぐらがいた。


「やっぱりもぐらなのね! っていうか大きすぎでしょっ!?」


 巨大なもぐらが爪で引っ掻こうとしてくる。シールドが合って本当によかった。2階立てのお家くらいありそうなほど大きなもぐらだ。


『倒すぴょんー!』

『ライチも行くぴよっ!』

『ぼくも行ってくるくま!』

『ぼくもがんばるこんっ!』


「うん、気を付けてね。ってシフォンは攻撃スキルなかったんじゃ!?」


『ぼくには溶解スキルがあるこんよ!』


「き、気を付けるんだよ?」


 よし、私も攻撃に参加しよう。今日は海の中じゃないからライチも攻撃に参加できるから、ファイアアローで攻撃をしている。ベリーは高速回転付きのびりびりアタックで攻撃して、シフォンも溶解スキルで頑張っている。ひぃろはそんな3人のサポートをしつつ、攻撃もたまにしている。


 私もエアーカッターとファイアアローで攻撃をしていく。たまに地面に潜ってしまう時は水魔法で穴に水を流して外に出させる。


 20分ほど戦うと、ぽふん! とアイテムをドロップして倒れた。


「なんとか勝てて良かったね」


『そうぱんね』


「みんな、怪我はない?」


『大丈夫くま』

『大丈夫ぴょん』

『だいじょうぶぴよー!』

『大丈夫なのこん』


「みんなに怪我がなくて良かったよ。お疲れ様」


 みんなとお話をしている間にタルトがドロップ品を持ってきてくれた。巨大もぐらのドロップ品は、討伐記録、魔石、ミスリルの籠手だった。


「おぉ、本当に装備品が出るんだねぇ」


『そうくまね』


「これから先は他に冒険者達もいないだろうから、がんばって進もう~!」


『くまっ!』

『ぴょんっ!』

『ぱん』

『ぴよ!』

『こんっ!』


 巨大もぐらを倒した所に階段があったので、21階に下りる。21階に下りると、ボスよりは小さめだけど、もぐらが沢山いた。


「もぐらだらけだねぇ……」


『そうくまね~』


『ハル、倒してくるぴょん~!』


「うん、分かったよ~」


『ライチもぴよー!』


『ぼくもいくこん!』


「いってらっしゃい」


 しかし、シフォンは溶解スキルと変化しかないのによく戦ってるなぁ。まぁ、あの火山に居たくらいだしね。


 みんな暴れたいみたいだし、サンダーレインはしないでファイアアローで倒して行こうかな。みんなで次々に大きなもぐらを倒していくけど、みんな楽しそうだね。


「ふふっ、みんな楽しそうだね~」


『そうぱんね~』


 思わず攻撃を忘れて見ちゃうほど、みんなは次々に倒していっている。


「なんか私が倒さなくても大丈夫そうだから、アイテムを拾って行こうか」


『ふふっ、そうぱんね』


 みんなが楽しく倒してくれているので、タルトと私はアイテムを拾ってアイテムボックスに仕舞っていく。ドロップ品は討伐記録と色々な籠手だった。


 しかし、よく考えると凄いね。特殊だけどスライムがあんな大きな魔物を倒していくっていう……。スライムって強いんだなぁ。


「スライムって強いんだね~」


『ハル、違うぱんよ?』


「えっ?!」


『普通のスライムは勝てないぱんよ! ハルにテイムして貰ったから更に強くなってるだけぱん』


「えっ!? そうなの?!」


『そうぱんよ。気が付いていなかったぱんね。ぼく達はテイムして貰うともっと強くなるのぱん』


「そうなんだぁ。不思議なんだね」


『ハルがぼく達を守ってくれるように、ぼく達もハルを守りたいのぱんよ』


「えへへ、それはなんだか嬉しいね。お礼に後でむぎゅむぎゅしちゃう!」


『ふふっ、それはハルがしたいだけじゃ……?』


「えっ! タルトはむぎゅむぎゅいらないの? そっかぁ……」


『あっ、だめぱん! いるぱん~!!』


「ふふっ、可愛いなぁ」


 なでなでしてから、またドロップ品をアイテムボックスに仕舞って行く。みんなも倒し終わってからアイテムを集めるのを手伝ってくれた。


「よし、次の階へ行ってみよう~!」


 階段を下りて22階へ着くと、またもぐらがいる。でも他にもいるみたい?


「なんかもぐらの他にもいるよね? ん??? 岩が動いてない?」


『本当くま! あれは岩に擬態しているパイワイトくまね』


「パイワイト?? えっ、もしかしてそれって……鉱石のパイライトじゃなのかな?!」


『違うぱん。パイワイトぱんよ?』


「そ、そうなんだ……なんだかまたあれな気がする……?」


 さて、今度はどうしようか?


「今度はどうする? サンダーレインするかみんなが倒すかどっちがいい?」


『さっきいっぱい遊んだからハルお願いぴょん』


「うん、分かったよ~。サンダーレイン!」


 フロアに雷がいくつも落ちると、ぽふんぽふん! とアイテムをドロップしていく。


『ここのフロアは全部倒したみたいくまね』


「そうだね~。今回は風魔法で中央に集めようか」


 水魔法でやったみたいに、風魔法で外側から段々中央に集めて行く。イメージは大きな洗濯機だ。中央に集まった所で、みんなでアイテムを集めてアイテムボックスに仕舞って行く。


 今回のドロップで、やっぱり鉱石のパイライトがあった。金属の光沢があるキレイな石なんだよね。しかし、またこのパターンなのね~。


 階段の近くの安全エリアで少し休憩をしようかな。バングルのお部屋に入って、錬金ボックスでおやつと飲み物を出して休憩しよう。


 みんなでお部屋に移動して、こたつを温かくする。


「みんなお疲れ様。ちょっと休憩しようね」


『そうくまね』


 みんなの分もおやつとお茶を運んで一緒に食べ始める。ダンジョンの中でものんびりお茶出来るのは良いね。


『ハル、ごめんなのこん……』


「えっ、シフォンどうしたの?」


『ぼく、戦えないから役に立てないこん……』


 そう言ってしょんぼりするシフォン。なでなでしてあげながらお話をする。


「えぇ! 何言ってるの。私はシフォンが大好きだよ! それにシフォンの良い所は、このふわっふわのもふっもふでしょ!」


『あはは、ハルらしいくま』


「えっ、だって大事なのよ! シフォンは一番ふわっふわなんだから!」


『それにぼくだって戦えないぱん』


『でも、タルトはアイテムボックスが使えるこん』


「だから今日は溶解スキルで頑張ってたのかな?」


『こん……』


 シフォンを抱っこしてむぎゅむぎゅする。


「私はみんなに家族になって欲しいだけで、戦って欲しいわけじゃないよ。怪我しそうで今でもドキドキするし……でも楽しそうだから行っておいでって言ってるだけだよ?」


『こん』


「みんなが楽しい事をそれぞれやったら良いんだよ。シフォンの楽しい事も探そうね」


『ありがとこん』


「みんなの事大好きだから、役に立つとか立たないとか関係ないんだよ。楽しく過ごしてくれたらそれで嬉しいよ」


 シフォンをむぎゅーっと抱っこして抱きしめる。みんなの目がきらーん! としたので、みんなも抱っこしてむぎゅーっとして大好きって伝える。


 そうすると、やっとシフォンはにっこり笑顔になったからホッとした。後から入ったからきっと疎外感もあったのかもしれないね。これからもっと仲良くなれると良いな。

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