パルムの街と海晶石の採取

 朝、気持ち良く目が覚めた。そぉっと起きて着替えてから、朝ごはんの準備を始める。今日はすぐにパルムの街へ着くので、簡単に食べておこうかな……屋台が楽しみだし!



 今日の朝ご飯はパンケーキ、ソーセージ、サラダにしよう。ささっと生地を作ってパンケーキを焼いていく。ソーセージを焼いて、サラダを作ったら完成!


 美味しそうな匂いにつられてみんなが起きてきた。


「みんなおはよう!」


『おはようくま~』

『おはようぴょん』

『おはよ……ぱん』

『おはようぴよ~!』


「ふふ、タルトはまだ眠そうね。でも、朝ごはんが出来たよ~」


 そういうと、タルトの目がきらんっ! と光って起きた。


(ふふっ、ご飯には勝てないみたいね)


 みんなでご挨拶をして食べ始める。お食事パンケーキも美味しい!


「今日はパルムの街に着くね。今日は海で遊ぶか依頼を受けるかどっちが良いかな?」


『依頼受けたいぴよ!』


 海で遊ぶのかと思ったら、ライチが依頼を受けたいというので依頼を受けようかな。


「うん、いいよ。じゃぁ、冒険者ギルドに行ってみようね」


『やったぴよー!』


『楽しい依頼あるといいくまね』


「そうだねぇ。シュロマの街では面白そうな依頼がなかったものね~」


『そうなのぴょん。だから楽しみだぴょん!』


『後は海の宝石も探さないとぱんね』


「それもあるね!」


 今日の予定が決まったので、お片付けをしてさっそくパルムの街へ向かう。


 パルムの西門に着いたら、門番さんに手続きをして貰い中に入る。やっぱり港町だからか、活気に溢れている感じがするね。


 さっそく冒険者ギルドに行ってみよう。冒険者ギルドの中に入って依頼票を見てみる。どんな依頼があるのか楽しみだなぁ。


 依頼票を見てみると、変わった依頼がいくつかあった。海晶石の採取、シーモールの討伐、水宝石の採取とか聞いたことのない名前がいっぱいでわくわくする。


「なんだか聞いたことのない名前が多くて分からないけれど、楽しそうで……どれから受けようかなぁ」


『ハルはどれが気になるくま?』


「ここらへんかなぁ」


『そうくまね~』


『だったら、気になったのから行ってみるといいぱんよ』


「あっ、そうだね。じゃぁ、今日は海晶石の採取にしようか」


『いいぴょんよ~』


『いいぴよー!』


 受付のお姉さんに、依頼票とギルドカードを渡して手続きをお願いする。


 海晶石は、東の海岸沿いを南に下っていくと洞窟があって、そこで採れるそうだ。楽しそうな依頼でわくわくしちゃうね。


 冒険者ギルドを出てから、東門に向かっていく。東門で手続きをして貰い外に出ると、海岸にでた。海を見ながら南へ向かっていくと、先の方に洞窟が見えた。


『今日はあそこに行くくまね~』


「きっとそうだね。海晶石ってどんな物なんだろうね、とっても楽しみ!」


『特に危険とも出ていないぱんね』


「タルト、ありがとう」


『たのしみぴょん!』


『たのしみぴよ~!』


 洞窟に着くと、シールドと鑑定を発動させる。海晶石がどんな形なのか分からないので、鑑定スキルさんにお願いして、矢印と色を変えて貰っている。


 洞窟に入ると、前に行った海ダンジョンみたいに海の中にいるような、青い洞窟だった。


「わぁ、綺麗だねぇ」


『そうくまね~』


『ハル、危ないぱんよ?』


「あっ、そうだね」


『でも、とっても綺麗ぴょんね~』


『きれーぴよっ!』


 相変わらず、ライチは小さい子みたいで可愛い。産まれたばかりだと言っていたから、こんな感じなのかな。どれくらいで大きくなるんだろうなぁ。今の大きさのライチが、ひぃろ達の頭の上に乗ってるのを見るのが好きだから、大きくなったらびっくりしちゃいそうだ。


 あまりの綺麗な洞窟の景色に見とれてしまうけれど、洞窟内でぽやっとしていると危ないから気を付けよう。周りを見てみるけど、今の所特に何もなさそうだ。


 洞窟を先に進んでみると、水が溜まっていた。でも、とても透明度が高くて綺麗な水だ。


「とっても綺麗な水だね」


『そうぴょんね~。洞窟の中もキラキラして綺麗なのぴょん!』


『ハル、あそこにキラキラしてるのがみえるぴよ!』


 ライチが水の底を覗き込みながら言うので、見てみると水の底にキラキラ光る物が見えた。


「わぁ、本当だね。水の底にキラキラ光る物が沢山あるね。もしかして海晶石ってあれなのかな?」


『そうかもしれないくまね』


「うーん、深そうだしどうやって行こうか?」


『ぼくが行ってみるくまよ~』


 そういうとひぃろは水の中にぱしゃん! と入って行った。


「わっ、大丈夫かなぁ?」


 心配そうに見ていると、ひぃろはすいすいーっとそこに向かって泳いでいく。息続くのかな?


「ひぃろ、苦しくないのかな?」


 私がそう言うと、みんなは首をかしげてコロリンと転がった。


『ハル、ぼく達ハルみたいに息して無いから、苦しくないぱんよ?』


「えぇぇ?! そ、そうなの!?」


『だって、スライムなのぴょん』


 スライムってそういうものだったんだね。みんながもっふもふだから忘れちゃうけれど、息しなくても平気だなんて思わなかった……。


『だから、ぼくたちに任せるといいぱんよ~』


「えぇー!? でもそれじゃ大変だよ?」


『ハルに何かあったらいやぱん!』


『それはだめぴょん!』

『それはだめぴよー!』


「ふふ、みんなありがとう。いつもとっても助けて貰っていて嬉しいよ、ありがとう」


『それに、ハルにはおやつ作って待っててほしいぱん!』


『あっ、それがいいぴょん!』


『ライチもぴよー!』


「あはは、もう食いしん坊さんなんだから~」


 そんな話をしていたら、ひぃろが戻って来てお口からぽんっと石を吐き出した。


『ハル、ただいまくま~。これがあったくまよ』


 海晶石:海が結晶化した物と言われている。しかし実際は岩塩です。海の中でゆっくり結晶化した塩の塊なので、ミネラルたっぷりで美味しいです!


「お塩っ?! ま、まさかのお塩だった」


『くまっ?!』

『ぴょっ?!』

『ぱん?!』

『ぴよよっ?!』


「しかも、海の中でゆっくり結晶化したお塩だからミネラルたっぷりで美味しいって!」


 そう言った途端、みんなの目がキュピーン! と光った。これはまた張り切っちゃうパターン?!


 そんなに大量にはいらないよ? って言おうとした時にはみんなもういなかった。


「えっ、はやっ!?」


 みんなはすいすいーっと水の底に潜って行った。こうなったら仕方ないので、私は私に出来る事をしよう。おやつとお茶の準備だよね。


 土魔法で作業台を出して、お昼ごはんの準備をしよう。今日は何を作ろうかなぁ。錬金スキルを使って、ハンバーガーとポテト作ろうかな。


 材料を出して、ハンバーガーとポテトを良く思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとハンバーガーとポテトが出来ていた。うん、美味しそう! 冷めないようにアイテムボックスに仕舞って、お茶の準備をしよう。今日はアイスティーにしようかなぁ。


 準備をしていると、みんなが水から上がってきた。


「みんなお疲れ様」


『ハル、いっぱいあったくまよー!』


『いっぱい採って来たぴょん!』


『みてぱん~!』


『ライチもがんばったのぴよー!』



「みんな、沢山採ってきてくれてありがとう。とっても助かっちゃったよ。お昼ご飯を食べようか?」


『ここで食べるぴょん?』


「うん、なんだかここキレイで神秘的だから、ここで食べてもいいかなと思って……どうかな?」


『いいくまね』


『準備するぱん~』


 飛ぶこたつを出してみんなにクリーンを掛けて、テーブルに乗せてあげる。料理を出して準備をして、みんなで食べ始める。



 この洞窟内の光は一体どこから来ているんだろうなぁ。こんなにキラキラして見えるって事は、どこか明るい場所があると思うんだけど不思議だなぁ。


『これなにぴよー?』


「今日はハンバーグを間に入れたハンバーガーと、じゃがいもを揚げたポテトだよ」


『ハンバーガー好きくま!』

『おいしいのぱん』

『アイスティーとも良く合うぴょんね』

『ふふふ、美味しくてもっと食べたいぴよー!』


 みんな気に入ってくれて良かった。ライチにもう少しお代わりで私のを分けてあげる。そろそろもう少し大きめにしないと足りないかな?


「いっぱい採れたから、食べた後はどうしようか?」


『海で遊ぶぴょん!』


「あっ、それ良いね!」


『くるくるするぱん~』


 相変わらず海でくるくるするのが好きなんだね。じゃぁ、お片付けをして海に行ってみよう!

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