宝石の花

 みんなで仲良くお茶をした後は、また歩き始める。


「平原なのに宝石が採れるだなんてびっくりだったね」


『そうくまね』


「また何か面白い発見があるかもしれないから、ゆっくり歩いて行ってみようね」


『そうぱんね。何かあったら教えるのぱんよ~』


「うん、タルトありがとうね」


 みんなはぽよんぽよん跳ねて進んで行く。ライチがぽよんぽよん跳ねる度に、頭の上のちょこんとした毛がふよふよ揺れるのが見ていて和む。


(ふふふっ、ふよふよ揺れるの可愛いなぁ)


 途中、平原の先にきらりと光った気がした。


「ん? 何か光ったかな?」


『どこくま?』


「少し先の方で何かが光った気がするんだよね」


『行ってみるぴょん!』


『いくぴよー!』


 少し先に進んでさっき光った場所を探しに行くと、一輪のお花が咲いていた。


『あっ、ハル! さっきのお花これくまよ!』


『同じお花ぱん!』


「わぁ、このお花だったんだね。とっても綺麗だね」


『すごくきれいぴょん!』

『きらきらなのぴよー!』


 いつまででも見ていられそうなほど、とてもきれいなお花だった。ピンクの花びらの中心にピンクの宝石が入っている。


『ハル、これ取っちゃうぴよ?』


「綺麗だからこのままにしておこうか。私達にはさっきひぃろとタルトが取ってきてくれた宝石が沢山あるものね」


『そうぴょんね』


『よかったぴよ~』


 綺麗な宝石のお花を見つけたので、そのまま立ち去るのもなんだか寂しいので……ここでお昼にしようかな。


「今日はこのお花を見ながらお昼ごはんを食べようか?」


『くま!』

『ぴょん!』

『ぱん!』

『ぴよっ!』


 ピクニックっぽく、お弁当みたいにしよう。土魔法で作業台を出して、コンロ台も作ってコンロを置く。おにぎり、ソーセージ、卵焼き、野菜の肉巻きを作ろう。


 ご飯はささっと錬金スキルで炊いてから、他のおかずを作っていく。おかずを作っている間にご飯がちょうどいい温度になったので、おにぎりを握っていく。


 ご飯の準備が出来たら、ブランケットを敷いてその上にお皿を置いて食べる準備をする。


『ハル、今日は下で食べるくま?』


「うん、せっかく綺麗だからお花と一緒の高さの方が楽しいかなって」


『それはいいぴょんね』


 準備が出来たらみんなにクリーンを掛けて、ブランケットに乗せてあげてご飯を食べ始める。やっぱりピクニックにはお弁当だよね。おにぎり美味しい。


 みんなでご飯を食べた後は、また歩いてパルマの街へ向かって歩き出す。2~3時間歩いて、少しおやつ休憩にする。


「そろそろ休憩しようか?」


『そうくまね』


『大分進んだぱんね~』


「そうだね」


 今日はお天気が良いから、今度は飛ぶこたつをだして座ろうかな。今日のおやつはたい焼きと緑茶にしよう。錬金スキルでささっとたい焼きを作ってからお茶を入れる。


 みんなに出してあげて、こたつに入って食べ始める。ひぃろは頭からぱくん! と食べている。他の子はどうかな?


 ベリーはしっぽからぱくん。タルトはお腹をぱくり! ライチは背中をぱくぱくっとしている。


(タルトとライチは珍しい所から食べるんだね)


 私は頭からぱくぱくっと食べちゃう。たい焼きは外側がカリっとして中の餡子が甘くって美味しい。


『今日はお天気がいいからたのしいぴょん!』


「そうだね~」


 ぽかぽか温かくて、ついついのんびりしちゃう。でも、そろそろ出発しないともうすぐ夕方になっちゃうね。


 お片付けをして出発する。今日もバングルのお部屋に泊まる事になりそうだなぁ。


 バングルのお部屋にもう1つお部屋を作って、お風呂を作りたいなぁ。もう一度錬金してみて作れないか試してみようかな。


 今のお部屋の隣に、小さなお部屋を作れればお風呂にしたい。でも排水とかお水とかどうしたら良いんだろう? とりあえず、錬金スキルさんにお願いしてみよう。



 歩きながらバングルのお部屋にお風呂を作れないか考えてみる。お風呂とシャワーと排水がきちんと出来る日本のお風呂を思い浮かべてみると、そのまま追加の材料がなくても錬金出来そうだ。歩いている最中だけど、作っちゃおう!


「錬金!」


『くまっ?!』

『ぴょっ!?』

『ぱんっ!?」

『ぴよよっ!?』


「わぁ、ごめんね! 驚かせちゃったね、バングルのお部屋にお風呂を作りたかったの」


『出来たくま?』


「うん、多分出来たよ」


『今日、お風呂入れるぴょん?』


「うん、まだ見てないから分からないけれど、出来たと思うからお風呂も入れるよ」


『これがあれば、宿に泊まらなくても大丈夫そうな気がするぱんね』


「た、確かに……」


 いつでもどこでもバングルのお部屋に入れるなら、確かに宿に泊まらなくても大丈夫な感じだね。それにお風呂も作ったし……お風呂がどういう風に出来たか見るのが楽しみだなぁ。

 


 それから1時間くらい歩いて行くと、海が見えてきた。


『わぁ、海が見えたぴょん!』


「本当だね、海のきらきらが見えてきたね」


『海たのしみぴよー!』


『海で遊びたいくまね~』


『くるくる遊びたいぱん!』


 海が見えてきたので、パルムの街まで後少しだね。今日はバングルのお部屋に泊まって、明日パルムの街へ入ろう。とっても楽しみだなぁ。


「もう少し歩いたら、バングルのお部屋に泊まってからパルムの街に行こうか」


『そうくまね~』


『ハル、ブラッシングもして欲しいぴょん!』


「うん、いいよ」


『ライチもぴよー!』


「うん、もちろん。みんなブラッシングしようね」


 1時間くらい歩いて、パルムの街が大分大きく見えてきた。そろそろバングルのお部屋に行こうかな。みんなにクリーンを掛けてバングルのお部屋に入る。


 みんなはこたつに一直線。まだ温かくないんだよ?


(悲しそうな顔で見つめないで~)


 すぐにこたつの中を叩いて温かくしてあげる。本当にみんなこたつがお気に入りだね。でも、こたつからちょこんと顔を出すみんなが可愛くて可愛くて……。



 お風呂をちょっと見てみよう。キッチンの先に錬金スキルで部屋が作られている。お部屋を覗いてみると、日本みたいな湯舟があって、洗い場もきちんとあるお風呂が出来ている。さらに、シャワーまで付いていて、とっても素敵なお風呂が出来ている。


 さすが錬金スキルさんです。いつもありがとうございます! こんな素敵なお風呂、とっても幸せです。



 今日はみんなに何を作ってあげようかなぁ。最近作っていなかったから、豚肉もあるしジーン焼きにしようかな。お味噌汁とご飯、お野菜は何にしようかな。キャベツがあるからやっぱり千切りにして食べようかなぁ。後は、きんぴらごぼう作ろう。久しぶりに食べたい!



 材料を準備して作り始める。まずはご飯とお味噌汁の準備しよう。お味噌汁の具は玉ねぎと人参とじゃがいもにしようかな。ささっと具材を切って煮始める。次はきんぴらごぼう作ろう。きんぴらごぼうも少し多めに作っておこう。


 今度、細かく切ってご飯に混ぜておにぎりにしてもいいなぁ。きんぴらごぼうが出来たらジーン焼きを焼いていこう。


 後はジーン焼きを焼いたら完成っ! ん~、ジーンの良い香りがして美味しそう。テーブルに準備をしてから、みんなを呼ぶ。


 普段こたつからなかなか出てこられないみんなだけど、食事の時は別でぽよん! っと飛んでくる。


 みんなにクリーンを掛けてテーブルの上の椅子に乗せてあげると、ご挨拶をしてみんなで食べ始める。


『ジーン焼きはやっぱり美味しいくまね』


『キャベツを一緒に食べると更においしいぴょん!』


「そうだよね、ジーン焼きとキャベツはよく合うんだよね! 私も一緒に食べるの好きなんだぁ」


『このジーン焼きのタレで食べるキャベツが美味しくて好きぱん!』


「うんうん!」


『ハル、もっと食べたいぴよー!』


 ライチに私のを少し分けてあげる。今日もみんな美味しそうに食べてくれるのでとても嬉しくなる。ご飯を美味しく食べたら、お風呂に入ろう。


 お風呂にあるボタンを押すと一瞬でお水が入り、すぐに適温にしてくれる。魔法って素敵。


『ふふふ、いつでもお風呂に入れるの良いくまね~』


「うんうん、宿だとお風呂がない所が多かったから嬉しいね」


『入るぴょん!』


「よし、みんなで入ろう!」


 まずはシャワーでみんなを濡らしてわしゃわしゃと洗ってあげる。いつ洗っても触り心地がステキ! 気持ち良くて幸せな気分になりながら洗うという不思議な感覚だ。


 1人ずつ洗っては湯舟に入れてを繰り返して、それから自分を洗ってから湯舟に入る。やっぱり日本人としては、毎日お風呂に浸かれる幸せ。


 お風呂から上がったら、みんなをドライヤー魔法で乾かしてふわっふわにしてあげる。それからお布団の上でみんなをブラッシングしてあげると、更にふわっふわのもふっもふになる。


(お風呂とブラシのダブル使いだと、さらにふわっふわになって幸せ~!)


 みんなをブラッシングしてあげると、更にふわふわの気持ち良いもふもふになりました。みんなをブラッシングしてもふもふするのがとても幸せで、毎日もふもふのステキ生活です。


『突撃くまー!』

『突撃ぴょん~!』

『行くぱん!』

『行くぴよー!』


「きゃ~! もふもふだぁ」


 みんなできゃーきゃー遊んで、みんなをひたすらもふもふすりすりして、おやすみなさーい!

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