第58話 ピクニック

 昨日ひぃろ達とむぎゅむぎゅ癒されて寝たので、今日はすっきりっ!

 今日は西の平原にピクニックだ。出かける準備をして、みんなで食堂へ向かう。


「おはようございます」


『おはようくま~』

『おはようぴょん』

『おはようぱん~』


「ハルちゃん達おはよう。今ご飯持ってくるわね」


 今日の朝ごはんもみんなで美味しく食べて、ご挨拶をしてから宿を出て西門へ向かう。


 今日はピクニックなので、歩いてお散歩する。危なくないように、いつもみたいにひぃろ達が先に歩いてくれる。ついでに鑑定も発動させているけれど、でも依頼はないのでのんびりだ。


 少し進んだ所に川があったみたいなので、そこら辺でお昼ご飯を食べる予定だ。

 たまにはこんなお出掛けも楽しいね。


「たまにはこんなお散歩も良いね。みんなと一緒だったらどこでも楽しいけれど、坑道みたいに薄暗くないしね」


『そうくまね~。昨日のハルの緊張がなくなってて良い感じなのくま~』


『今日は危なかったら私が頑張るぴょん!』


『ぼくも危なかったら教えるぱん~』


「ふふ、いつもとっても助かってるよ、ありがとうね。沢山楽しい事もしようね」


 みんなのぽよんぽよんについて歩いていると、視界の端に動く物が見えた。


「ん? 何か動いた?」


『あれはウサギくま~』


『でも額に角が付いている角うさぎだったら気を付けないと危ないぱん』


「角が付いているのもいるのだね、気を付けるね」


『そうなのぴょん。角があるのは突進してくるんだぴょん』


 突進してくるんだ、それは怖いね……しかも角痛そうだし。きっとひぃろとタルトが教えてくれるはず! ということでシールドだけ張って気にしない事にした。


 また少し歩いて行くと川が見えてきた。そういえばこの世界の魚ってどんなのだろう? 川に着いたらひぃろ達に聞いてみようかな~。


「ねぇ、川にいる魚ってどんなのがいるの?」


『魚くま? 美味しいくま~』


『えっ? 美味しいのぴょん?』


『そうくま。前に食べたら美味しかったくま~』


『食べたいぴょん!』

『ぼくも食べたことないぱん!』


(これはお魚を何としても捕まえなくては!)


 でもどうやって捕まえたら良いだろう。というか、そもそもどんなお魚? ひぃろったら美味しいしか言わないんだもの。網を作ったら捕まえられるかなぁ。


「普通に網とかで捕まえられるのかな?」


『網? 無理だと思うくま。飛んでくるくまよ?』


「えぇっ!? 飛ぶの!?」


 また不思議魚だ。 あっ、飛んで来た所にベリーのびりびりアタックみたいにシールドにみんなに雷纏わせてれば倒せそうじゃない? よし、やってみよう!


「みんなのシールドに雷纏わせておけば、飛んで来たお魚をびりびりで倒せるんじゃないかなと思うんだけど、どうかな?」


『ハル! それは良さそうくま!』

『やってみるぴょん』

『ぼくもびりびりやってみたいぱん~!』


(ふふ、タルトもやってみたかったのね)


 全員のシールドに雷を纏わせる


「よし、準備オッケーだよ。川の近くに行ってみようか」


『突撃くまー!』

『突撃だぴょん!』

『突撃なのぱん!』


(ふふ、みんなノリノリだね)


 川に近づいてみると、ひゅん! と何かが飛んで来た。思わず目を瞑ると……びりっ! と音がした。


 そ~っと目を開けてみると、目の前に魚が落ちていた。みんなの方を見ると、びりっ! と音がしたらぽふん! とお魚がドロップされている。


(そうか、このお魚も魔物なのね。網で捕まえられる訳ないね)


 でも、みんな待っているだけで倒せるのでとても楽しそうだ。わざわざ当たりに行っているくらいに楽しいみたい。


 川の方を向いてみると、凄い数のお魚が飛んで来ているのが見えた。絶対100匹以上いる……。さすがにあの数はちょっと……。


 あまりの数に驚いてひぃろ達の方を見てみたら、いなかった。


「えっ? ひぃろ? ベリー? タルト?」


 きょろきょろ周りを見てみると、ひぃろ達はあの大群に突っ込んで行っていた。突っ込んで行った先々でお魚がぽふんぽふん! とドロップされていた。

 さらにひぃろ達がぽよんぽよん飛び跳ねると、もっとお魚がドロップされていく。


(楽しそうだなぁ。でも、この大量のお魚はどうしたら……?)


 とりあえず、アイテムボックスに仕舞っていこう。しかし、川がこんなに危険だなんて思わなかった。ついつい魔物がいる世界だという事を忘れてしまう。


 ふと気が付くと、お魚じゃないのが落ちている。何かと思ったら、一角うさぎの角とお肉があった。いつのまに攻撃されたんだろうか……全然気が付かなかった。


「みんな、お疲れ様。楽しかったかな?」


『楽しかったくまー』

『いっぱいびりびりして、楽しかったぴょん!』

『ぼくもびりびりとても楽しかったぱん~』


「ふふふ、楽しいのは良い事だよね~」


 少し安全な所まで下がってからお昼ご飯の準備をしようかな。ひぃろ達に場所を探して貰おう。


「そろそろお昼ご飯の準備をしたいから、どこか安全な所を探して貰って良いかな?」


『任せてくま!』

『任せるぴょん!』

『任せるぱん!』


 みんなが探してくれるので、後に付いて歩いて行く。川から少し離れた所に、みんなが納得する場所があったみたいなので、そこでお昼を作って食べる事にした。


 今日はピクニックなので、おにぎり、唐揚げ、卵焼き、ソーセージの定番お弁当を作る。彩にトマトも入れよう。なんだかこういうのもいつもと違ってとても楽しい。


 ひぃろ達は今日はそこら辺をウロウロしてくるって言っていた。良い香りがしてくるとソワソワしちゃうんだって。


 沢山、遊んで(お魚討伐だけど)疲れただろうから、ささっと作ってご飯にしてあげよう。ソワソワしてるしね。


 お料理が出来たら、ひぃろ達を呼んでお昼ご飯にする。テーブルは飛ぶこたつでのんびりお昼にする。お茶はまずはさっぱりとアイスティーにした。みんなでご挨拶をして食べ始める。


『なんだか今日のご飯は楽しくなるご飯くま~』

『カラフルで元気が出るぴょん』

『いつもより沢山食べられちゃいそうぱん~』


「ふふ、今日はピクニックだから、うきうきしちゃうご飯だよね~。後で食後のおやつも食べようと思うから食べ過ぎないようにね~」


『わかったくま~』

『分かったぴょん』

『分かったのぱん~』


 みんなでご飯を食べ終えた後は、少しのんびりしてからお茶の時間だ。今日のおやつは何にしようかな。ロールケーキにしようかな。

 材料は卵、小麦粉、砂糖、オイル、牛乳、フルーツはブドウ、オレン、マンゴーを準備して、美味しいふわふわロールケーキを思い浮かべる。


「錬金!」


 材料が光り、光が収まるとロールケーキの完成。切り分けて、お茶は温かい紅茶を入れて準備する。


『ハル、これは何くま?』


「今日のおやつはロールケーキだよ」


『くるくるで可愛いぴょん』


『フルーツもいっぱいで美味しそうぱん』


 みんなで仲良くご挨拶をして食べ始める。久しぶりに食べるけれど、とっても美味しい。


『ふわふわで美味しいくま~』

『ふわふわしっとりが良いぴょん』

『クリームとフルーツが一緒なのが美味しいぱん~』


 気に入ってくれて良かった。美味しく食べた後はお片付けをして、フォンダンの街へ帰る事にする。ピクニックなので、帰りも歩いて帰る事にした。帰りには途中角うさぎがいたけれど、さくっと討伐して街に向かう。


 フォンダンの街も見て回るけれど、特に新しい食材とかはなくて残念だった。明日はリンツへ向かおう。リンツへは1日で着くみたいなので、途中から飛ぶこたつに乗れば明日中に着くかもしれない。


 フォンダンの街を見て回った後は、宿に帰る。宿でご飯を食べてから、お部屋でのんびりする。明日は朝早く出ようと思うので、早めに寝る事にする。


 ひぃろ達ともふもふーっとむぎゅむぎゅーっとなでなでーっとしていたらぐっすりだ。

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