第59話 リンツの街
昨日早く寝たので、みんな朝早くだけどすっきり目が覚めた。
「みんなおはよう。今日はリンツへ向けて出発だね。今日中に着けると良いかな~と思うから、途中から少し飛ぶかもしれないよ~」
『分かったくま~』
『分かったぴょん』
『分かったぱん~』
宿の朝ご飯を食べてから、手続きをして宿を出た。リンツへ行くには南門から出ないとなので、南門へ向かう。南門を出たら、平原の先に森が広がっていた。平原は飛ぶこたつで進む事にした。
飛ぶこたつで上空から見てみると、森もそんなに広くないみたいだったので、ここの森は上空を飛ぶ事にした。次の森はだいぶ奥までありそうなので、歩いて行く事にする。
森の手前で飛ぶこたつから降りて歩いて行く。みんなはぽよんぽよん跳ねて行く。何か面白い物があるといいなと思い鑑定をしっかり発動させる。
「ここの森は何かお料理に使える物があるといいね~」
『美味しい物食べたいくま~』
『美味しい物あるといいぴょん』
『お腹空いたぱん~』
「ふふ、タルトはもうお腹空いちゃったのね。じゃぁ、お茶にしようか」
『やったくまー。ポテトチップスが良いくま~』
『やったぴょん! アイスハニーフルーツティーが飲みたいぴょん!』
『やったぱん~。クッキーが食べたいぱん』
「ふふ、いいよ。じゃぁ準備しちゃうね」
ひぃろ達がお茶する場所を探してくれたので、お茶の準備をしよう。今日はまだ先があるので、全部錬金で作っちゃおう。ささっと作って、飛ぶこたつの上にお茶の準備をする。せっかくなので、飛ぶこたつを上空に浮かべて、お空の上でお茶する事にした。
『お空の上でのお茶は気持ちがいいくま~』
『浮いているだけでも楽しいぴょん』
『甘くて冷たいお茶もどれも美味しいぱん~』
「うん、浮いているだけでも気分が違って楽しいね」
お茶が終わったら、また下に降りて先に進む。ここの森は少し木が少な目なのか、普通の森よりも少し明るい気がする。歩いていても気持ちが良い。
ひぃろ達に着いてのんびり歩いて行くと、視界の端にまだ採ったことがない物があったみたいだ。
「ひぃろ、あっちに何かあるみたいなのだけど、採ってきても良いかな?」
『じゃぁ、一緒に行くくま~』
「ありがとう」
近づいて鑑定してみると。
バニラの実(別名:罠の実):実を割ると、バニラオイルが入っています。甘~い香りに誘われて舐めるととても苦いので罠の実とも言われています。気を付けてくださいね
「わぁ! バニラオイルだ!」
『くま? ばにらおいるくま?』
『ばにらおいるぴょん?』
『ばにらおいるってなにぱん?』
コロンと転がるひぃろ達。
「これはね、お菓子に使えるんだよ。とっても甘~い良い香りがするの」
バニラの実に近づく3人。
『本当くま~。とっても甘くて美味しそうな匂いがするくま~』
『とっても良い香りぴょん~』
『美味しそうだぱん~』
「あっ! でも、これはとても甘い香りがするけれど……」
『くまっ!?』
『ぴょっ!?』
『ぱんっ?!』
(あぁっ……注意する前に舐めちゃった)
苦くてゴロゴロ転がるひぃろ達。急いでアイスティーを出してあげる。
「大丈夫? ごめんね、先にちゃんと説明したら良かったね。これはね、別名罠の実といって、甘い香りだけど舐めるととても苦いの」
3人にうるうるの涙目で見上げられて、思わずなでなでしてチョコレートをお口に入れてあげる。
『うぅ、ハル~苦いくまぁ』
『にがにがなのぴょん~』
『苦いぱん~』
しかし、バニラオイルが入っているってとっても便利だわ。焼き菓子にも使えるし嬉しいな。
『ハル、これお菓子に入れちゃだめくま!』
『苦いお菓子いやぴょん!』
『美味しいのが食べたいぱん!』
「ふふ、お菓子に入れるのは1滴とか2滴だから苦くならないんだよ。良い香りを付けてさらに美味しくなるんだよ」
『本当くま?』
『本当ぴょん?』
『本当なのぱん?』
「うん、後で何か作ろうね」
バニラの実を少し採って、アイテムボックスに仕舞っておいた。これはいっぱいあっても使いきれない気がするけれど、みんなが採るのを手伝ってくれたので、沢山アイテムボックスに入っている。
採取が終わったら、またリンツへ向けて歩き出す。
バニラオイルが手に入ったので、バニラアイス、プリン、焼き菓子、ケーキが美味しくなるな。何から作るか迷っちゃうな~。まずはお昼の後にバニラアイスを作ろうかな。
でも、その前にお昼ご飯何を作ろうかな。食後にアイスがあるし、簡単にパンにしようかな。お肉を焼いてパンに挟んで食べちゃおう。
『ハル~、お腹空いてきたくま~』
「そろそろお昼ご飯を食べようか。場所を探して貰って良いかな?」
『任せるくまー』
『任せるぴょん』
『任せるぱん』
ひぃろ達に場所を探して貰い、飛ぶこたつを出してお昼ご飯の準備をする。お茶はアールグレイ風のアイスティーにする。みんなでご挨拶をして食べ始める。
食べ終わった後は、バニラアイスクリームを錬金で作って出してあげる。
『さっきのバニラの実のあま~い良い香りがするくま』
『でも、苦くなくて美味しいぴょん!』
『良い香りがして美味しくなった気がするぱん』
食べた後は、また歩いて出発する。ひぃろが言うにはもうすぐ森を抜けるみたいだ。
少し歩くと、森を抜けて平原に出た。平原には白いふわふわした実が生っている花畑が広がっていた。
「わぁ、凄いね。これ何だろう?」
わたの実:ふわふわを錬金すると綺麗な綿になります。
「ワタだったんだね。これで飛ぶこたつが快適になる~ふふふ」
『ハル? わたってなにくま?』
『美味しいぱん?』
「ふふ、食べられないんだけど欲しかったんだ。よし、綿を集めちゃおうか。そしたら錬金して見せるね」
『わかったくま~』
『わかったぴょん』
『分かったぱん~』
みんなも手伝ってくれたので、綿が沢山採れた。採れた綿と飛ぶこたつを出して、毛皮の下がふわふわになるように思い浮かべて錬金する。
「錬金!」
光が収まると、床がふわふわの飛ぶこたつが出来た。一回座ってみよう。
「みんなも乗ってみてね」
『ふわふわくま!』
『ふわふわするぴょん』
『気持ちが良いぱん~』
「これだとみんなも転がりにくくなるかなと思ったんだけど、どうかな。私もお尻が痛くならないかな
」
『それはいいくまね』
『大事なのぴょん』
『良かったぱん』
わたの実も沢山採れたので、そろそろ飛ぶこたつで飛んで向かおうかと思う。こたつの上にお茶の準備をする。おやつはささっと出せるマカロンと温かい紅茶にする。空の上は少し寒いからね。
少し飛んでいると、遠くに海が見えた。海の手前に街がある、あれがリンツの街かな。
「わぁ、海が見えてきたよ!」
『あの青いキラキラくま?』
「そうだよ、あれぜーんぶ海でお水なんだよ~」
『広いのぴょん』
「うん、海は広いんだよ~」
『お水なのぱん?』
「お水だけど、私が知っている海は海水って言ってお塩が沢山入っているお水だよ。だからとってもしょっぱいんだよ」
『そうなのぱん?!』
みんなは海をあまり知らなかったようで、キラキラ光る海を見て楽しそうだ。知っていても高い所から見るなんてなかなかないものね。
もう少し飛ぶとリンツの街も大きく見えてきた。少し手前で飛ぶこたつを降りて、歩いてリンツの街へ入る事にする。
「こんにちは、手続きお願いします」
門番さんにギルドカードを渡して手続きをしてもらう。
「はい、ありがとうございます。カードお返ししますね。ようこそ、リンツの街へ!」
「あの、初めてなのですがお勧めの宿はありますか?」
「それだったら、リック亭がお勧めかな。この先の通りにあるよ」
「はい、ありがとうございます。行ってみますね」
門番さんに挨拶をして、リンツの街へ入る。ここリンツの街は港町なので、海の香りがしている。まずは宿に向かおう。ここでは色々探したいから5日くらいお世話になろうかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます