第56話 ゴーレム討伐依頼1
すっきり起きた! と思ったら、なんだかほっぺと頭がふわふわふにふにで気持ちいい……。
……
「はっ! お、おはよう!」
『おはようくま~』
『ハル、遅いぴょん~』
『お腹すいたぱん~』
「だって、みんながすりすりしてくるから、あまりの気持ち良さに二度寝しちゃったよ」
『ふふ、寝かしつけちゃったぴょん』
「とっても気持ち良くて寝かしつけられました」
『それだけ疲れていたぱんよ~』
『たまにはゆっくり寝ると良いと思うくま。でもお腹は空いたくま』
「ふふ、みんなありがとう。おかげですっきりしたよ。でも、お腹空かせちゃってごめんね」
『いいくまよ~』
『良いぴょん』
『良いのぱん~』
急いで着替えて準備をして、食堂へ行って朝ごはんを食べる。朝ごはんにお魚が出てびっくりした。しかも干物みたいだった。リンツから1日くらいだから干物だったら運べるのかな。
「ん~~~~! お魚美味しい!」
『お魚も美味しいくま~』
『ちょっとしょっぱいのが良いぴょん』
『お魚も好きぱん~』
久しぶりのお魚は、とってもとっても美味しかったです。リンツへ行くのがとても楽しみになった。お刺身も食べたいけれど、こっちの世界は生で食べるのかなぁ……。
お魚を堪能した後は、冒険者ギルドへ行って依頼を見に行く。宿を出て、冒険者ギルドへ着くと、依頼ボードを見に行く。何か良い依頼ないかなぁ。
ふと、目についた依頼があったのでよく見てみると、東の森の鉱山に現れたゴーレムの討伐だった。鉱山なんてあるんだね、ちょっと行ってみたいな。
「ねぇ、この依頼受けてみたいんだけど、どうかな?」
『ゴーレムくま? いいと思うくま~』
『ゴーレムぴょん? どんなのか良く分からないけど良いぴょん』
『大丈夫だと思うぱん』
大丈夫そうなので、この依頼を受ける事にした。受付に依頼票とギルドカードを持って行き、お姉さんに声を掛ける。
「おはようございます、この依頼をお願いします」
「おはようございます、こちらの依頼の受付をしますね。一緒に鉱石の採取の依頼もありますがいかがですか?」
「あっ、それもお願いします」
「気を付けて行ってきてくださいね」
「はい、行ってきます」
『くまっ!』
『ぴょん!』
『ぱん!』
冒険者ギルドを出て、東門を目指す。東門の門番さんに手続きをしてもらい、門の外にでる。今日は歩いて鉱山に向かって、帰りは飛ぶこたつで帰ろう。
「今日は歩いて鉱山に向かって帰りに飛んで帰ろうと思うんだけど、どうかな?」
『それで良いくま~』
『ぴょんぴょんするのも楽しいから良いぴょん』
『ぼくもみんなでぴょんぴょんするの好きだから良いぱん~』
飛んでいる時に便利だったので、文字が出る鑑定を発動させて歩いて行く。これだと採取した事がない物が分かりやすくて良い。
しかも、歩いて行くととっても良い事がある! みんながぽよんぽよんしている後ろ姿を眺めて癒される事はとっても重要なのです! ぽよんぽよんするたびに揺れるしっぽも最高なのです!
これがあるだけで、歩く価値があるのです!!
と、おかしな脳内会議をして、目の前のしっぽに癒されながら歩いて行く。
2時間くらい歩くと、鉱山の入り口に到着した。まずは軽い食事とお茶をしよう。鉱山の中ではご飯食べられるか分からないからね。
「軽くご飯とお茶してから鉱山に入ろうね。何が食べたいかな?」
『ぼくは~……おにぎりとお味噌汁くま~』
(ひぃろ、珍しくお肉じゃないな)
『あっ! 私もおにぎり食べたいぴょん!』
『ぼく、焼きおにぎり食べたいぱん~』
「じゃぁ、おにぎりとお味噌汁作ろうね」
塩むすびと焼きおにぎりは醤油と味噌、具沢山のお味噌汁にしよう。
ご飯は錬金でささっと炊いておにぎりにする。お味噌汁は、オーク肉、ごぼう、玉ねぎ、人参、じゃがいも、連根にした。美味しい具材が増えて嬉しいなぁ。具沢山のお味噌汁、とっても好きなんだよね。
お味噌汁を作っている間に、焼きおにぎりを作っていく。焼きながら、ひぃろ達を見たら……じーっとこっちを見ていた。
(あっ、みんな涎が……早く出してあげよう)
ささっと仕上げをして、ご飯の準備をしてあげて、ご挨拶をして食べ始める。お味噌汁はやっぱり食べるとなんだかホッとするね。
『焼きおにぎり美味しいくま~』
『お味噌汁も具がいっぱいで嬉しいぴょん』
『美味しいぱん~』
ご飯を食べたら、お片付けをして鉱山へ入る。鉱山の中は……一応灯りは付いているけれど暗かった。普通に歩いていたら転びそう。
「あっ、大変。灯りを持ってくるの忘れてた! どうしよう」
『ハル?』
『どうしたぴょん?』
「薄暗くてあんまり見えないよー」
『ハル、魔法はどうしたぱん?』
「えっ? あっ……わ、忘れてたー!」
(恥ずかしい……忘れてパニックになってしまった)
「え、えっと、ライト!」
ライトの魔法で明るくなって見えやすくなった。今まで暗い所で歩いていなかったからすっかり忘れてた。
『ハル、可愛いくま~』
『可愛かったぴょん』
『ふふ、ハル可愛いぱん~』
「うぅ、まさか可愛いみんなに言われるだなんて……」
気を取り直して、明るくなったので先に進もう。ここではゴーレムの討伐と鉱石の採取だ。鑑定をしっかり発動させておく。
「みんな、ゴーレムがいるらしいから気を付けてね」
『くまっ!』
『ぴょん!』
『ぱん!』
少し進むと、ひぃろが止まった。
『ハル、この先に岩喰魚がいるくま!』
「いわな? ここ鉱山だよ?」
『岩を喰う魚で“いわな”くま~』
「えぇぇ?! 岩を食べるの?! イワナってそんなだっけ……いやいや、違うし」
『くま?』
『岩喰魚は土の中を泳ぐのぴょん~』
『泳いでいる時は透明になってるから分かりにくいのぱん。危ないから気を付けてぱん』
(わわっ、そんなに危ない魚なんだ)
「そ、そうなんだ。それは気を付けないとだね」
みんなにシールドをしっかり掛けて怪我をしないようにしておく。どうやって倒したら良いのかな。
『ハル! 危ないぱん!』
「えっ? きゃぁっ」
あっという間に私の周りに魚が飛び交っている。ベリーがアタックして倒そうとしてくれるのだけど、避けられている。ひぃろも土魔法で倒そうとしてくれているけれど、なかなか倒せていない。
『ハル、大丈夫くま?』
『ハル、当たらないぴょん!』
当たらないベリーが悔しくて更に早く突進して倒そうとしているけれど、なかなか当たらない。
「どうしたら……あっ! ベリー危ないっ!」
どしーーん!!!! グラグラ……
「ベリーっ!?」
『ベリー大丈夫くま?!』
『大丈夫ぱん?!』
ベリーが大きな岩に激突して、なんだかちょっと揺れてる……。
『びっくりしたぴょん』
「ベリー、大丈夫?」
『大丈夫ぴょん!』
『ハル、あれくま!』
見てみると、ぷかっという感じで岩喰魚が地面の上に浮かんで来た。そして地面に浮かぶとぽふん! とドロップ品が出た。もしかして、ベリーが壁に当たった振動で脳震盪起こした?
『ドロップいっぱいなのぱん』
「そ、そうだね。でもこの倒し方じゃ危ないね。何か考えないとだね」
ドロップ品はアイテムボックスに仕舞う事にした。ドロップ品が腐った鉱石という名前でびっくりしてよく見てみると、岩喰魚は岩を主に食べる。食べた岩に含まれている鉱石が固まって出来るのが腐った鉱石だそうだ。腐った鉱石は加工が出来ないので、何も出来ないみたいで残念だ。
腐った鉱石はとりあえず、アイテムボックスに仕舞って、他のドロップ品を見てみると、小さいけれど宝石もあったので、アイテムボックスに仕舞っていく。
岩喰魚は怖い魚だった。どうやって倒したら良いのか、全然分からないから困ってしまう。
落ち着いたら、先に進もう。
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