第55話 フォンダンの街に到着
「みんな、おはよう」
『おはようくま~』
『おはようぴょん』
『おはようぱん~』
今日はこのメルヴィユの街を出て、フォンダンへ向かう。まずは食堂へ行って、朝ごはんだ。今日の朝ご飯は何かな。
「ロレーヌさん、おはようございます」
「ハルちゃん達おはよう。今朝食持ってくるわね」
「はい、お願いします」
今日の朝ごはんはオークベーコン、サラダ、スープ、パンだった。今日もみんなで美味しく頂いた。
ロレーヌさんに今日からまた旅に出る事を伝えて、手続きをしてから宿を出る。宿を出て、お店を見ながら南門へ向かう。
途中雑貨屋さんがあったので、少し見ていく事にする。
「おはようございます、獣魔のスライムもいるのですが、大丈夫ですか?」
「おはようございます。大丈夫ですよ、ごゆっくりどうぞ」
色々見てみると、こたつに掛けるお布団に良さそうなブランケットを見つけたので即購入した。後は、お皿とかカトラリー類も素敵なのを見つけたので買っておいた。食事が更に楽しくなりそうだ。
雑貨屋さんを出た後、食材屋さんも見つけたので寄っていく事にする。何か新しい物があればと思ったけれど、特に目新しい物はなくてちょっと残念だった。
南門へ着いたので、門番さんに手続きをして貰ってから外に出た。門を出て、少し離れた所で飛ぶこたつを出した。みんなにクリーンを掛けてから毛皮の上に乗った。さっきブランケットを買ってきたので、ベリーが貸してくれた毛布を返してブランケットをこたつ布団代わりに掛けた。
テーブルの上にお茶を準備して、みんなの準備が出来たら出発!
今日は南の森から更に南に進んで行く。何か採取する物がないか、鑑定を発動させてゆっくり飛ぶ。木を避ける時の操縦がちょっと難しい。
鑑定しても操縦で思考を持っていかれるから鑑定をあんまり見られない……。これは慣れるまで難しいな。
お茶を飲みながら飛ばすのは平気なのだけど、鑑定は難しいな。あっ! 鑑定スキルに文字も出して貰おう。そしたら読めるものね。
一旦止まってから、鑑定に文字も出るように思い浮かべて、鑑定を発動し直すと、視界に色々な文字が出始めた。まだ採取した事がない物は赤い表示が出るようにした。採取した事がある物は白い文字だ。
(よし、これで便利)
『ハル、大丈夫くま?』
「ごめんね、操縦に気を取られると鑑定が出来なかったから、鑑定の設定を変えたんだよ~」
『良かったぴょん』
『ハル、歩いてもいいぱんよ?』
「ふふ、ありがとうね。もう少し操縦してみてダメだったら歩くね」
また少し浮かせて操縦を始める。今度は視界に文字が見えるので、避けながらでも結構見る事が出来た。特にめぼしい物はないので、そのまま南へ進んで行く。上を飛んで少し先まで行ってもいいかもしれないね。
「ここら辺に良い物があんまりないから、上を飛んで少し先まで行こうか?」
『良いくま~』
『それで良いぴょん』
『良いぱん~』
飛ぶこたつを木の上まで浮かせて、少しスピードを出す。スピードを出すと、ひぃろ達が喜んでコロコロ転がるのが見ていて楽しい。こんなにまったり出来るなんて思わなかった、作って良かった~。
『あっ、ハル。この先少し下りてくま~』
「ん、分かったよ~」
ひぃろが何かを見つけたみたい。飛んでいても分かるだなんて、凄いなぁ。少し先にちょうど良い場所があったので降りて飛ぶこたつもアイテムボックスに仕舞う。
『ハル、ありがとくま~。この先に木の実がありそうなのくま』
「わぁ! それは嬉しいね。どんな木の実か楽しみだね~」
『いっぱい採るぴょん!』
『ぼくもがんばるぱん!』
「ふふ、みんな頼りにしてるね」
ひぃろ達が先をぽよんぽよん跳ねて案内してくれるから、ひぃろ達に続いて進んでみる。着いた先には、大きな木に青い大きな丸い実が沢山実っていた。
(これは何だろう?)
ブルベリの実:大きなブルベリの実を割ると中から地球で言うブルーベリーが出てきます
「わぁ! ブルベリの実だって。中から沢山出てくるのだって」
『美味しいくま?』
『食べられるぴょん?』
『食べたいぱん?』
「ふふ、食べられるよ。ジャムにしてもいいし、タルトにしても美味しいよ」
『ぱん?! ぼ、ぼく食べられちゃうぱん?!』
『食べちゃダメくまー!』
『ハル、ひどいぴょん!』
「ち、違うよ! タルトってケーキの種類があるんだよ。驚かせちゃったね、ごめんね」
『ぱん~、びっくりしたぱん~』
『良かったくま~』
『びっくりしたぴょん~』
誤解が解けて良かった……うちの子達に嫌われたら生きていけない……。みんなをむぎゅーっとしてから、ブルベリの実を採る事にした。
『がんばるくまー』
『がんばるぴょん!』
『がんばるぱん~』
「みんなお願いね」
みんなが落としてくれるので、私はせっせとアイテムボックスに仕舞っていく。
みんなが頑張ってくれたおかげで、沢山ブルベリの実がアイテムボックスに入る事になった。美味しいジャムも作りたい。スコーンやパンに付けて食べたいなぁ。
そろそろお昼ご飯にしようかな。今日のメニューはやっぱりブルベリジャムを作ってパンケーキにしよう! 生クリームとアイスも乗せちゃおうかな。
ブルベリの実とお砂糖を準備して、美味しいジャムになるように思い浮かべたら……。
「錬金!」
美味しそうなブルベリジャムが出来た。生クリームとアイスも錬金で作って、アイテムボックスに仕舞っておく。
土魔法で土台を作ってコンロを置き、パンケーキを作り始める。小麦粉、お砂糖、塩、ふわふわの実、卵、牛乳を混ぜて生地を作る。
フライパンにバターを溶かしてパンケーキを焼いていく。出来た物はお皿に乗せて、アイテムボックスに仕舞っていく。全部焼けたら、アイテムボックスから取り出して、盛り付けをする。
「今日はみんなが頑張ってくれたから、パンケーキの上に生クリームと、アイス! そして、ブルベリジャムをた~ぷりっ!」
『くまー!』
『ぴょん!』
『ぱんっ!』
(ふふ、みんなの反応がとても良いね)
飛ぶこたつのテーブルの上に、パンケーキとアイスティーをみんなの分をセットして、ご挨拶をして食べ始める。飛ぶこたつは木の上まで浮かせて、南へ飛ばしながら食べる。
『くま~、ブルベリジャムがパンケーキともクリームとも良く合うのくま~』
『ブルベリジャム美味しいぴょん! どれと一緒に食べても美味しいのぴょん』
『いっぱい採った甲斐があったぱん~。どれも美味しいのぱん』
「ふふ、みんなが頑張ってくれたから、美味しい物が沢山だね。それにこうして食べながら移動出来るのって素敵だね」
『また木の実とか美味しそうな物があったら教えるくま~』
「ありがとう、お願いね」
みんなで美味しくパンケーキを食べながら進んでいたら、もうフォンダの街へ着いてびっくりした。やっぱり直線で動けるのは違うのだね。
「よし、もう少しでフォンダンの街へ着いたから下りようね」
フォンダンの街の門の少し前で飛ぶこたつから降りる事にした。でも、門に着くと門番さんにびっくりされた。
「こんにちは、お願いします」
まずは、門番さんにギルドカードを渡して手続きをしてもらう。
「さっきのあれは何なんだ??」
「飛ぶトレントの木材を使った飛ぶテーブルなのですよ~」
「テーブルが飛ぶのか、なんだか凄すぎてよく分からんな。ギルドカードを返すな。ようこそ、フォンダンの街へ!」
「はい、ありがとうございます。フォンダンの街は初めてなのですが、お勧めの宿はありますか?」
「それだったら、リング亭がいいぞ」
「ありがとうございます、行ってみますね」
「気を付けてな」
まずは宿へ向かおう。ここフォンダンの街は王都から少し離れるからか人が少ない感じだ。ティリスの街よりも少ない気がする。少し歩くと、冒険者ギルドが見えてきた。この十字路を左に曲がると宿があるらしい。
十字路を曲がってみるとすぐにリング亭が見つかった。空いているといいなぁ。
「こんにちは、獣魔のスライムも一緒なのですが泊まれますか?」
「こんにちは、スライムだったら一緒に泊まって貰えるから大丈夫だよ。何泊するかい?」
「とりあえず3日お願いします。後、食事を2人前お願いしても良いですか?」
「あぁ、大丈夫だよ」
手続きをして貰い、鍵を受け取り部屋に向かう。部屋は2階の真ん中の部屋だったので、そこへ向かう。今日は一度部屋に入った後に夕食を食べて、部屋に入ってのんびりしよう。
みんなとむぎゅーっとして寝る。明日はフォンダンの街の周辺の依頼を見てみよう。
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