第52話 飛ぶトレントの討伐依頼
メルヴィユの街に到着した。門番さんにギルドカードを渡して、手続きをして貰う。
「こんにちは、お願いします」
「こんにちは。おぉ、小さいのにBランクなのか!?」
「獣魔達がいるおかげですよ~」
「それでも凄いなぁ。おっと、カード返すな」
「ここの街は初めてなのですが、お勧めの宿はありますか?」
「だったら、この先まっすぐ行くとクラン亭という宿があるから、そこがお勧めかな」
「ありがとうございます、行ってみますね」
「ようこそ、メルヴィユの街へ!」
ギルドカードを仕舞い、街の中へ入る。まっすぐ行って、まずは宿を探そう。メルヴィユの街もとても綺麗な街並みだった。王都よりは少し人が少な目で、ブレストの街くらいな感じだ。
ひぃろ達は下でぽよんぽよんすると危ないので、私の両肩とフードに居て貰っている。キョロキョロと回りを見ながら歩いていたら、クラン亭という宿屋を見つけた。
「こんにちは、獣魔のスライムも一緒なのですが、泊まれますか?」
「こんにちは、可愛いお嬢さんに可愛い獣魔だね。空いてるから大丈夫だよ。何泊するかい?」
「とりあえず3日でお願いします。後食事を3人前にして貰っていいですか?」
「大丈夫だよ。ここに名前を書いてもらって良いかい?」
「はい、よろしくお願いします」
「ハルちゃんにひぃろ、ベリー、タルトだね。私はロレーヌだよ、よろしくね」
手続きをして貰い、鍵を受け取る。お部屋は2階の一番奥のお部屋だそうだ。早速お部屋に入ってみんなにクリーンをして少し休憩をする。
ひぃろ達とベッドでゴロゴロとして遊んでいたら、いつの間にかみんな寝てたみたいだ。起きたら夕方だった。旅の途中でもちゃんと休んでいるのにやっぱり疲れるのだね。
ひぃろ達を起こして、お夕飯を食べに行く。ロレーヌさんがお夕飯を運んで来てくれた。今日のお夕飯は、ボアのステーキ、スープ、サラダ、パンだった。
みんなでご挨拶をして、食べ始める。
『ボアのステーキ美味しいくま~』
『どれも美味しいぴょん』
『ぼくもどれも好きぱん~』
「どれも美味しいね~」
ロレーヌさんにご挨拶をして、部屋に戻る。
「明日は周辺の依頼を受けてみようか。どんな依頼があるかなぁ」
『楽しみくま~』
『びりびりするぴょん!』
『ぼくも色々探すぱん~』
「ふふ、みんな頼りになるからとっても助かるよ、いつもありがとう」
明日依頼を受けに行くから、今日は早く寝る事にした。でも、その前にひぃろ達をむぎゅむぎゅーっともふもふーっとしてゴロゴロして遊ぶ。なでなでも良いけど、たまにつんつんとするとぷるんっ! とするのもとても好きだ。
そして、やっぱり遊んでいたらそのままむぎゅーっとして寝ていた。
朝起きると珍しく、ベリーを抱っこしていた。ひぃろとタルトは足元の方に転がっていた。どんな寝相だったのかとても気になる……。
みんなを起こして、お出かけ準備をしてから食堂へ向かう。今日の朝ごはんはソーセージと目玉焼き、サラダ、パンだった。ソーセージが味はシンプルだけど、ジューシーでとても美味しい。
食事を終えると宿を出て、冒険者ギルドへ向かう。宿から近かったのですぐについた。中に入って受付に行く。
「おはようございます、この街は初めてなのですが、何かお勧めの依頼ありますか?」
「おはようございます。ギルドカードをお借りしても良いですか?」
冒険者ギルドのギルドカードを渡す。
「! B級冒険者のハルさんですね。私はクレアです、よろしくお願いしますね」
「後、獣魔のひぃろ、ベリー、タルトです。よろしくお願いします」
「B級でしたら、東の森で飛ぶトレントの討伐依頼がありますが、どうですか?」
「飛ぶトレント? 飛ぶかぼちゃみたいな?」
『同じように飛んでるくま』
『木が飛んでるぴょん』
『飛ぶトレントはちょっと危ない魔物ぱん』
タルトが危険だと言うので危ないんだろう。どうしようかなぁ……。でも、ちょっと見てみたい。木が飛ぶってどうやって飛んでいるんだろう?
『みんないるから多分大丈夫だぱん』
「うん、それなら行ってみようかな。ちょっと気になるし……」
「ふふ、相談して決めるくらい仲良しさんなのね~」
「はい。私の大事な家族なのです! それで、その飛ぶトレントの討伐行ってみます」
「分かったわ、処理するから少し待っていてね。でも危険もあるから気を付けてね」
「はい、ありがとうございます。行ってきます!」
クレアさんからギルドカードを返して貰って、冒険者ギルドを出た。まずは東門へ向かおう。東門を出て、森の中を進む。飛ぶトレントはもう少し先だそうだ。
しかし……本当に、どうやって飛んでいるんだろうなぁ。そしてどこから栄養を取っているのだろう? トレントって木だから、どうやって倒すのが良いのかなぁ。火は森の中じゃ使えないし……やっぱり切るのが良いのかな。
今日のお茶の時間は何のおやつにしようかなぁ。あっ、久しぶりにプリン食べたい。よし、今日のおやつは錬金でプリン作ろう~。
色々考えていたら、いつの間にかおやつの時間だ。ひぃろ達にお茶にしたいと言われたので、ささっとお茶の準備をする。そして、プリンも作る。材料は、砂糖、水、卵、牛乳だ。バニラビーンズ欲しいね。
「錬金!」
美味しそうなプリンが出来た。みんなの前に出してあげて、一緒に食べる。
『くま~! 甘くって柔らかくって、でもちょっとほろ苦くてこれはなにくま?』
「これはね、プリンっていうお菓子なんだよ。昔から好きなんだよね~」
『ハル、お茶とも良く合うし、これまた作って欲しいぴょん!』
『食べたら溶けてなくなっちゃうの不思議ぱん~』
「また今度作るね」
食べ終わって、お片付けをして先に進むと、ひぃろが飛ぶトレントがいたと教えてくれた。そっと見てみると、木が……木が……本当に飛んでる!
『ハル、危ないぱん!!』
「えっ? きゃーーーーー!!」
『『『ハル!』』』
突然、後ろに引っ張られた。そのままずりずりと引きずられて、持ち上げられた。お腹が苦しい……。何かと思ったら、トレントに捕まっている!
大変!まだみんなにシールドを掛けてない!!
「シ、シールドっ!!」
なんとかみんなにシールドは掛けられた。どうしようと思ったら、私の周りに壁が出来た。壁が出来た事でトレントもびっくりしたのか、振り回される。
「きゃぁっ!」
『ハル、危ないぱん!』
『アースアローくま!』
「きゃっ!」
いたた……突然落とされてびっくりした。
『ハル、大丈夫くま?!』
『ハル、大丈夫ぴょん?』
『ハル、怪我ないぱん?』
「うぅ、みんなありがとう。本当にびっくりしたよ」
少し動いたら、色々な所が痛かった……引きずられたからかな。
『ハル、ヒールぴょん!』
「ベリー、ありがとう。痛みが引いたよ」
『でも、一応ポーションも飲んでくま!』
『ハル、危険なの分かったのにごめんなのぱん』
「ううん、タルトのせいじゃないよ。大丈夫!」
ポーションをアイテムボックスから取り出して1本飲んでおく。
(うぅ、美味しくない。絶対改良しよう!)
全然魔法撃つ余裕がなかったな。ちょっと緊張感無さすぎたかな。やっぱりちゃんと、森の中に入る時にシールドしておかないとだね。
ふと気がつくと、ドロップ品があった。木材、討伐記録カードがドロップ品だった。木材何に使えるのだろう?
飛ぶトレントの木材:錬金素材。飛ぶ乗り物が作れます、移動が楽になりますよ
「えぇー!飛べるの?!」
『ハル、どうしたくま?』
「飛ぶトレントの木材で、空を飛べるような物が作れるみたいだよ。移動が楽になるって!」
『飛べるくま?!』
『それは良いぴょん!』
『ぼくも飛んでみたいぱん!』
「どんな物を作るかは帰ってからにしようね」
まずは、もう少し飛ぶトレントを狩ろう。私用の素材も欲しいからね。空を飛べる物作りたい!
「ひぃろ、まだ飛ぶトレントいるかな?」
『この先に2体いるくま』
「今度は気を付けてささっと倒そう!」
少し進むと、飛ぶトレントを見つけたので、強めのウィンドカッターを撃つ。
「ウィンドカッター!」
飛ぶトレントは二つに分かれるとぽふん! とアイテムをドロップした。もう1体にもウィンドカッターを撃つと討伐完了だ。
今度は大丈夫だったね。そろそろお昼ご飯にしようかな。場所を選んで貰ったら、椅子とテーブル、コンロを準備する。
「お昼何を食べようか~」
『お肉を挟んだパンがいいくま』
『ドーナが食べたいぴょん』
『あっ、ぼくはドーナとお肉を挟んだパンがいいぱん』
『ぼくもくまー!』
『私もぴょん!』
「ふふ、みんな同じだね。すぐに準備するね」
アイテムボックスの中から、ドーナと串肉を挟んだパンを出す。お茶はアイスティーにしようかな。準備が出来たら、ご挨拶をして食べ始める。アイテムボックスのおかげで美味しい物が沢山食べられて嬉しいなぁ。
お昼を食べたら、木材がまだ欲しいし、もう少し飛ぶトレントの討伐をしようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます