第50話 旅の準備

 昨日早めに寝たので、すっきり起きられた。今日は旅に出る準備をする。みんなにリンツへ行ってくることを言わないとなので、食材屋さん、冒険者ギルド、商業ギルドに行ってくる予定だ。


 まずは着替えて、食堂へ向かう。


「ステラさん、おはようございます」


「ハルちゃん達、おはよう。昨日はお疲れ様、ゆっくり休めたかしら?」


「はい、ぐっすりでした。昨日無事に終わったので、明日からリンツへ行ってこようと思っているんです。ただ、途中の街も色々見て回ろうと思うので、だいぶゆっくりになると思います」


「あら、そうなのね。旅の途中だって言っていたものね。でも帰ってくるのね?」


「はい、リンツが港町なので、顆粒だしの材料があると思うので、見に行きたいんです」


「まぁまぁ! それは楽しみね。のんびり楽しんでいらっしゃいね」


「また何か美味しい物見つけてきますね」


『美味しい物くまー!』

『美味しい物食べたいぴょん!』

『美味しい物ぱん~!』


「ふふ、ハルちゃんのおかげで、みんな食いしん坊さんね~」


『ハルのお料理美味しいのくま~』

『お菓子も好きぴょん!』

『どれも美味しいのぱん~』


 お菓子と聞いてステラさんが反応した。なので、ステラさんにクッキーと焼き菓子を出してあげた。


「ふふ、ハルちゃんありがとう。後でお茶と一緒に頂くわ」


 お話の後、ステラさんが朝ごはんを持ってきてくれたので、みんなで美味しく食べてから食材屋さんのメレさんの所へ向かう。


「メレさん、おはようございます」


「ハルさん達、おはようございます」


「明日から、リンツへ行ってきますね。街の周辺も見て回るので、少し時間が掛かると思います」


「明日からなのですね、それは寂しくなりますね。でも、ハルさんのおかげで、ジーンもガーリも大人気ですよ! また戻ってくるんですよね?」


「はい、リンツに顆粒だしの材料を見つけに行くので、また王都へ戻ってきますよ~」


「良かったです。楽しんで来て下さいね」


 ご挨拶を終えたら、少なくなっていた材料を補充しておいた。次は商業ギルドへ行こうかな。商業ギルドへ行ったら、受付のお姉さんにささっとギルマスの部屋へ案内された。


「こんにちは」


「おう、ハル。昨日はごくろうさん。それで、明日発つのか?」


「はい、明日からリンツへ行ってきます。ただ、途中の街の周辺も見て回るので少し時間が掛かると思います」


「おう、ゆっくりして来い。その間に色々進めとく予定だ」


「なんだか、全部お願いしてしまっていて大丈夫ですか?」


「こっちがお願いしたことだ。気にしなくていいぞ。ただ、今日時間があったら、粒の実の木を植えて貰いたいんだが、大丈夫か?」


「大丈夫です。場所が決まったのですね」


「国主導になったからな、早かったぞー」


「えぇぇ?! そ、そうなんですか?!」


 まさかの国主導になったとか、そんな大事になってしまったのですね。だから尚更、国の紋章が入ったのですね、納得しました。


「だったら、早速植えて来ますね。場所はどこら辺ですか?」


「あぁ、一緒に行くから大丈夫だ。馬車を呼ぶから少し待っててくれな」


 馬車で行くのですね~。どこら辺で育てるんだろう。少し待っていると馬車が来たので、ギルマスと一緒に粒の実を育てる場所へ向かう。

 向かった先は……えっ、なぜ王城に入っていくのでしょう?!


「ギ、ギルマス?? なぜ王城へ?!」


「あ? 王城の敷地内で育てるからな。これだったら盗まれたりしないだろう」


「た、確かにそうですが……まさかそこまで大事になるとは思いませんでした……なんだかすみません」


「ははは、気にするな。こっちは旨い物が食べられるようになるってみんな大喜びだ。色々手続きとかはこっちでやっておくから気にしなくていいぞ」


 そういって貰えるととても助かる。私も美味しい物が増えるのはとても嬉しい。


 王城の片隅かと思いきや、かなり広大な面積が粒の実の栽培地に指定されていた。大体の敷地の広さを聞いて、どうやって木を錬金するか考える。あんまり狭いと育たないかもしれない、だったら少し余裕を持たせて一気に錬金出来ないかな。


 粒の実を取り出して、この広い土地に少し余裕を持たせて木を植える事をよーく思い浮かべる。


「錬金!」


 錬金スキルを使うと、あちらこちらから粒の実の木が生えてきた。1本ずつ植えるとどれくらい時間がかかるかと、途方に暮れかけたけれど、一度の錬金で終わらせられて良かった。


 さすがにギルマスも驚いていた。


「相変わらず、規格外だな。まさか1回の錬金で終わらせるとはな」


「私も出来るとは思わなかったです」


『ハル、すごいくま~』

『さすがハルだぴょん』

『ハルは凄いのぱん』


「えへへ、ありがとう」


「これだけの粒の実の木がが実れば色々作れるし、ご飯も食べられるだろう。ハル、ありがとうな」


「いえいえ、お役に立てて良かったです」


 帰りの馬車の中で、冒険者ギルドに持っていったジーン糖が、とても評判が良かったと聞いた。出来たら定期的に欲しいと言うことなので、そちらもどこかに頼むらしい。そしてその利益も定期的に私の口座に振り込まれるそうだ。収入が凄い事になりそうな……と、ちょっとドキドキする。


 商業ギルドに着いたら後は、冒険者ギルドに行こう! と思ったら……


『ハル、お腹空いたくまー』

『私もぴょん』

『お腹空いたぱん』


「そうだったね、まだお昼食べてなかったね。何を食べようか」


『ドーナ食べたいくま!』

『私もぴょん!』

『ぼくもぱん!』


「じゃぁ、ドーナの屋台に行こうね」


 今日はドーナとオレンジュースにした。いつ食べてもドーナは甘くって、さくふわっとして美味しい。みんな大満足だった。ついでにおやつ用にドーナを30個買ってアイテムボックスに仕舞っておいた。


 食べ終わった後は、冒険者ギルドへ向かった。


「リルさん、こんにちは」


「あら、ハルちゃんこんにちは」


「明日からリンツの街に行ってくるので、当分の間いないので、ご挨拶に来ました」


「えぇー!? でも王都には帰ってくるのよね?」


「はい、もちろんです」


「良かったわ~。みんなに会えないのは寂しいもの」


 そんな風に言って貰えるのはとても嬉しい。ご挨拶を済ませて、買い取りカウンターでポーション類を買い取ってもらう。中級の星5ポーションなので、すごく驚かれた……初級でも驚かれたものね、そりゃびっくりするよね。

 他にも皮とか色々あったので、それも買い取ってもらった。お金に大分余裕が出来たので、リンツへ行っても沢山買えそうだ。


 冒険者ギルドを出た後は、宿に向かう。部屋に戻るとクリーンを掛けてから、ロールさんに渡す用と自分用に調味料を色々と作っておく。ロールさんのお料理はもう、お味噌もお醤油も全部使っているので、なくなるときっと困ってしまう。なので、予備を多めに渡す予定なのだ。


 錬金して、アイテムボックスの整理をしていたらお夕飯の時間になったので、食堂へ向かう。今日のお夕飯はボアステーキ、サラダ、スープ、パンだった。ボアステーキもお醤油を使ったタレだったので、美味しかった。 


「ステラさん、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです!」


「ふふ、良かったわ」


「それで、調味料を作っておいたのですが、どこに置いておけばいいですか?」


「えぇ?! ハルちゃん、いいの?」


「はい、もちろんです。私がいない間になくなっちゃうと困るだろうから……」


「ありがとうね。じゃぁ、こっちに出して貰っていいかしら」


 ステラさんに案内された場所に、ロールさん用に作った調味料を全部仕舞っておいた。あまりの多さにびっくりされたけれど、宿だからきっと沢山調味料も使うと思うのです


 部屋に戻ると、私はのんびりお風呂に入ってくる。次はいつ入れるか分からないので、のんびりまったりとお風呂に浸かった。お風呂を出てからはひぃろ達とベッドでゴロゴロしながら遊ぶ。


 もふもふ~っとむぎゅむぎゅ~っとなでなで~としながら、お話をする。


「明日からリンツに向かって旅に出るね。また途中で色々な物が採れるといいね。明日からもよろしくね」


『任せるくま!』

『任せてぴょん!』

『任せるぱん!』


「ふふ、みんなが頼りになるからとっても助かっているよ。ありがとうね」


 ひぃろ達は本当に頼りになるね。明日からはまた森の中を進んだりするから、今日は早めに休む事にした。ひぃろ達をむぎゅーっとしているとすぐ眠くなっちゃうのだけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る