第49話 クラフティア国王に会う
緊張して、すごく早く目が覚めてしまった。まだ寝ているひぃろ達を眺めて、ちょっとほっこりしよう。
(ふふ、相変わらず寝相が楽しい事になっているけれど、可愛いなぁ)
寝ているひぃろ達は、いつもよりちょっと横にみょーんと伸びている感じで、見ていてちょっと楽しい。いつもはもっと丸っとしているのにね。
今日は朝から商業ギルドへ行かないとだ。ご飯を食べたらすぐに向かおう。まずは着替えて、今日はパンダフードを着てからひぃろ達を起こす。
「みんな、おはよう。そろそろ起きられるかな?」
『ハルおはようくま~』
『ハルおはようぴょん!』
『ハル、おはようぱん~』
みんなでささっとご飯を食べて、商業ギルドへ向かった。商業ギルドへ入ると、ギルマスの部屋に通された。
「おはようございます」
「おう、おはよう。少し待っててくれな。もうすぐ馬車が来ると思うから」
(おぉ! 馬車初めてだ。楽しみだなぁ)
少し待つと、馬車が着いたと知らせがあったので、ギルマスと一緒に馬車に乗って王城へ向かう。少しすると王城へ着いたので、ギルマスに続いて降りる。
まずは、調理場に連れて行かれた。
「初めまして、冒険者のハルと言います。よろしくお願いします」
「私はこの王城の料理長だ。今日は新しい調味料の使い方を教えて貰えるという事で、よろしく頼む。しかし、こんなに小さい子だとは思わなかったな」
(教えるって事だったの!? そ、それは知らなかった……)
「は、はい。よろしくお願いします」
テーブルの上には調味料がすでに並んでいた。
「この調味料は初めてだから、使い方がどうも難しくてな」
「えっと、今日は色々と調味料を使って作っていくので、他の使い方が分からない所はいつでも聞いて頂けたらと思います」
まずはお米を炊く準備をしてから、唐揚げの仕込みをしていく。今日の唐揚げは塩麹、ガーリ醤油味、ジーン味噌味で作っていく予定なので、それぞれタレを作ってココ肉を漬け込んでいく。
コロッケの準備もする。じゃがいもを茹でている間にパン粉と具材の準備をする。
オーク肉もスパイス塩とハーブ塩で味付けしてなじませておく。これで準備は終わったかな。
「これで下準備は終わりなので、お料理を仕上げていきますね」
「このパンの粉はなんで付けたんだ?」
「パン粉を付けて油で揚げるとカリっとして美味しいんですよ」
お米も説明しながら火にかけて炊いていく。後は、お料理も仕上げだけだ。
「今仕上げると冷めちゃう気がするのですが、大丈夫ですか?」
「あぁ、ハル。出来たらすぐに持って行くから大丈夫だ」
「えぇぇ!? も、もしかして、服もこのままですか?」
「あぁ」
そう言うギルマスに服は着替えるって言っていたのに~と文句を言えば、言ったら緊張するだろ? と答えられたらもう何も言えなかった。
「え~っと、では、仕上げしていきますね」
唐揚げはトロンの粉を使ってカリッと仕上げる。味が混ざらないように3種類をそれぞれお皿に分けて乗せた。
次はオークを焼いて、これもそれぞれ味毎に分けておく。
最後はコロッケを揚げたら完成!
全部出来たら、料理を運んでくれるメイドさん達とギルマスと一緒に国王様の所へ向かった。
(うぅ……緊張するなぁ)
先頭を歩くメイドさんがドアを開けてくれたので、ギルマスに続いて入っていく。どうしたら良いのか分からないので、ギルマスの後をついて行く。
(あの人が、国王様……?)
「お! これが例の調味料を使った食べ物か? 旨そうだな」
「まだ、ハルに挨拶済んでないだろうが!」
(ギルマス……どうしてそんなにフレンドリーなのでしょう?)
「おっと、そうだったな。あまりにも旨そうだったからついつい。はっはっは」
「え、えっと……」
あまりにもフレンドリーで国王様に見えなくて、なんて挨拶していいのか困っていたら、ギルマスが紹介してくれた。
「この子がハルだ。それと獣魔のスライムでひぃろ、ベリー、タルトだ。それとハル。こいつには適当で構わん」
(いやいや、適当はダメですよ?)
「俺がクラフティアの国王だ。俺も冒険者だったから、気楽に過ごしてくれて構わないぞ。人払いも済んでいるから気にするな」
「ハルです、よろしくお願いします」
「それで、食べて良いか?」
全員テーブルについて食べる事になった。国王様と一緒のテーブルで食べるとは思わなかった。ひぃろ達もテーブルに乗せて良いと言って貰えたので、クリーンを掛けてから乗せてあげて一緒に食べる。
「はい、新しい調味料で作ったお料理とご飯です。このコロッケにはこのソースを付けて食べるのがお勧めです」
とても気さくな王様でした。ギルマスさんと仲良しさんみたいだけれど、なんでだろう? 後で聞いてみようかな。
「うめぇぇぇぇ! この唐揚げ? さくっとじゅわっとして美味しいなぁ。あっ! しかもこっちもこっちも味が違う。それにコロッケもサクッとしてるのに中は柔らかくて、このソースとも凄い合う! そしてこのご飯も素朴な味なのに、おかずと合わせると止まらなくなるな!」
「良かったです。唐揚げは3種類味があります。オークのお肉もスパイス塩とハーブ塩の2種類あります」
「くぅ~! どれも旨いっ! やっぱり呼んで貰って良かったよ。新しい調味料はどう使って良いか料理長達も持て余していたみたいだからな」
「これで毎日のご飯が旨い料理になるって言いたいんだろう」
「ははっ、よく分かったな。さすがビスコだ」
「あの、お2人は一体?」
「あぁ、冒険者だったと言っただろう? ビスコと後冒険者ギルドのギルマスとパーティ組んでいたんだよ」
「えぇぇ!? そ、そんな繋がりでしたか」
まさかの国王様とギルマスさん達がパーティーを組んでいたとは思わなかった。だから仲良しさんだったのだね。
「ハル、デザートにアイスクリーム作ってくれるか?」
「ん~、結構味が濃い物が多かったので、シャーベットの方がさっぱりするかもですが、どうしましょう?」
「そうだな。じゃぁ、シャーベットで頼むな」
「その、しゃーべっとっていうのは何だ?」
ギルマスが見てれば分かると言って教えてあげないらしいので、魔法のアイスで氷を沢山出して、塩を沢山掛けた上に、オレン、レオン、砂糖を混ぜたボウルを乗せてくるくるとかき混ぜてシャーベットを作る。
その間も国王様は固まっていく様子にとても驚いていた。出来上がったら、みんなに配る。
「おぉ! 口の中がさっぱりするな! それに物凄く美味しい!」
「あんなに簡単な材料で作れるのが凄いだろう」
なぜかギルマスが得意気に言うのが、ちょっと楽しかった。
「さっき言っていたあいすくりーむ? も食べたみたいぞ!」
『ぼくも食べたいくまー』
『私もぴょん~』
『ぼくもぱん~』
そう言われたので、錬金で作って良ければすぐにお出しできるというと、ぜひそれで! と言われたので、ささっと錬金でアイスクリームを作って出してあげた。
「こっちはまた濃厚なクリームの味で美味しいなぁ」
「ハルの料理はどれも新しくて、しかも物凄い旨いんだ。だから国王のお前に会わせたんだ」
「なるほどな。ハルは旅の途中なんだったな。ハル、ギルドカードを貸してくれるか?」
「? はい、これです」
どうしてギルドカードを渡すのかよく分からないけれど、国王様の言う事なのでカードを渡した。
「これに、クラフティアの紋を付けて……よし、これで良い! ハル、ありがとうな。たまには俺の所にも美味しい物持ってきてくれると、もっと嬉しいがな」
「はい、美味しい物沢山見つけてきますね」
「ははっ、ありがとうな」
「それで、このギルドカードの紋章は何なのでしょう?」
「ハル、それがあるとクラフティア国王の後ろ盾があるって事だ。なんだ、知らなかったのか?」
「えぇぇ?! そ、そんな大事な事だったのですね!」
「まだ他の国にも行くのだろう? だったら安全の為に持っておけばいい。ハルの身元を保証してくれる」
「はい、ありがとうございます。他の国も見てみたかったのでとても助かります」
きっとギルマスはここまで考えてくれて、国王様に合わせてくれたのだろう。本当に人に恵まれているなと思う。後は、国王様にも美味しい物を食べさせてあげたかったのだろうなと思う。
その後は少しお話をしてから、馬車で宿まで送って貰った。
宿について部屋に戻ると、緊張したからか少しお昼寝していた。起きるとひぃろ達も側で寝ていた。
ひぃろ達を起こしてお夕飯を食べて、私はお風呂に入ってすっきりしてからお部屋でひぃろ達とお話をする。
「今日はなんだか色々あってドキドキだったね」
『ハルのお料理はどれも美味しくて、みんな喜んでいたから嬉しいくま~』
『ハルが楽しそうで嬉しいぴょん』
「でも、まさかクラフティアの紋章が付くとは思わなかったね」
『ハルが安全になって嬉しいぱん』
「明日は準備をして、明後日リンツに向かう事にしようか」
『分かったくま』
『分かったぴょん』
『分かったぱん~』
リンツまでは、クラフティアの南へずっと進むと、メルヴィユ、フォンダン、リンツの順だ。この最後のリンツが港町になる。ここに行って顆粒だしの材料を見つけてきたい。でも、途中のメルヴィユとフォンダンでも周辺で何か採れる物がないか確認して行こう。
王都を出る前に、治癒草と魔力回復草で中級ポーションを作って、冒険者ギルドに買い取りして貰おう。とりあえず、1本ずつ作ってみる。
中級ポーション★★★★★
良く出来た中級ポーション。重症でも治す事が出来る。通常の1.5倍の効果がある。
中級魔力回復ポーション★★★★★
良く出来た魔力回復ポーション。かなりの量の魔力が回復出来る。通常の1.5倍の効果がある。
星が5つのポーションが出来たので、30本ずつ作ってアイテムボックスに仕舞っておいた。
ひぃろ達をむぎゅむぎゅーっとして眠りに就く。
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