第47話 商業ギルドと新しい錬金ボックス
さすがに昨日は疲れていたからか、今朝はゆっくり寝てしまったみたいだ。起きたらひぃろ達がもう起きていた。
「みんな、おはよう」
『ハル、おはようくま。今日はぼくと一緒くま~』
『ハル、おはようぴょん』
『ハル、おはようぱん』
(あれ? ネコ耳フードもあった気がするけれど……)
「そ、そうだね、今日はくま耳フードにしようね」
今日は少しメレさんの所に行ってみようかな。お出汁に使えそうな物がないか聞いてみよう。そういえば、地図を見てみようかな。
地図を広げてみる。今は王都クラフティアで、東の方へ向かうとベニエの街、北東へ向かうと隣の国のランタール王国、南に行くと、メルヴィユ、フォンダン……
「あっ! フォンダンの次のリンツが港町だ!」
『くま?』
『ぴょん?』
『ぱん?』
(久しぶりのコロンを見たけど、何度見てもかわいいな~)
「お出汁の材料はこのリンツに行ったらありそうだね。商業ギルドのギルマスさんにもお話を聞いてみようか。じゃぁ、今日はメレさんの所と商業ギルドに行こうか。後は錬金ボックスを作ろうと思うんだけど、どうかな?」
『良いくま~』
『大丈夫ぴょん』
『良いぱん~』
今日の予定が決まったので、お着換えをしてくま耳フードを着てから、みんなで食堂へ向かう。
「ステラさん、おはようございます」
「ハルちゃん達、おはよう」
ステラさんが朝ごはんを持ってきてくれたので、みんなで美味しく食べる。今日の朝ご飯はスープとパンにハーブ塩で焼いたオーク肉が挟んであった。今日もとっても美味しかった。
宿を出て、まずは食材屋のメレさんの所へ向かおう。
「メレさん、おはようございます」
「ハルさん達、おはようございます」
ひぃろ達は私から降りてぽよんぽよんしている。
「欲しい物があるのですが、王都で海産物ってどんな物がありますか?」
「海産物ですか……王都から海が遠いのでなかなか入ってこないんですよね」
「乾燥させている物もないですか?」
「そうですね~。聞いたことないですね」
「やっぱりリンツまで行かないと難しいですね」
「海産物だったらやっぱりリンツですね~、港町ですからね」
やっぱり海産物はここ王都ではなかなか手に入らないみたいで残念だ。販路がないか、商業ギルドのギルマスにも聞いてみよう。
「メレさん、ありがとうございました。今日錬金ボックス作る予定ですよ~。また新しい調味料が出来る予定です」
「わぁ、ハルさん素敵です。またお料理教室ですね! いつにするかギルマスに相談してから、ロール亭にお知らせしますね」
「はい、お願いします」
メレさんと別れてから、商業ギルドへ向かう。ギルマスにいきなり会えるだろうか……とちょっと不安にもなるけれど、行ってみよう。
商業ギルドに着いたので、ドアを開けて受付のお姉さんに聞いてみる。
「こんにちは。あの、ハルと言います。ギルマスにお会いしたいのですが、大丈夫ですか?」
「こんにちは。ハルさんですね。カードを拝見してもよろしいですか?」
ギルドカードを渡すと、とてもびっくりされた。そしてお待ち下さいと急いでどこかに行ってしまった。
少し待っていると、受付のお姉さんが帰ってきて、案内してくれると言うのでお姉さんの後に付いて行く。廊下の先の一番奥の部屋に着くと、ギルマスの部屋だったみたいで、奥の机で仕事をしているギルマスのビスコさんがいた。
「ギルマスさん、こんにちは。お忙しい所すみません」
「おう、ハル。依頼ありがとうな。それで今日はどうした?」
ギルマスに海産物が欲しい事、販路があるかどうかを聞いてみた。結果はどちらも今の王都では手に入らないという事だった。顆粒だしを作るのに欲しいんだけどなぁ。
「海産物を一体何に使うんだ?」
「お味噌汁にダズの煮汁を入れたら美味しくなりましたよね? それと同じように、海産物で出汁という美味しい味の素が出るんです。それを使うと色々な物が美味しくなります!」
『美味しいくま?』
『美味しいのぴょん?』
『美味しいのぱん?』
コロリンと転がるひぃろ達。
(可愛いなぁ~)
「ほう……それはぜひ手に入れないといけないな」
「海産物を手に入れたら、次に作る錬金ボックスで、乾燥したお出汁の素を作れるようにしようと思っているんです」
「何!? その素を使うとどうなるんだ?」
「お水に溶けるので、スープとかお味噌汁を作るときに、その素を入れるだけで美味しくなります」
「なんだって?!」
ギルマスは考え込んでしまった。お出汁が作れると良いよね~、お味噌汁が美味しくなるんだよ。とっても大事だよね。
「旅の途中だったので、一度リンツの街へ行って来ようかと思ってます」
「そういえば、旅の途中なんだよな。でも、少し待って貰ってもいいか?」
「何かありましたか?」
「この新しい調味料の数が多いのと、影響があまりにも大きいから、国王に献上したんだよ、レシピと一緒に。そうしたら、一度ハルに会いたいって事になってな」
「えぇぇぇぇ?! わ、私が国王様に会うとか……む、無理ですよ?!」
「個人的に会うだけだから問題はないと思うぞ。ついでに美味しい物が食べたいってだけだ」
「えぇぇ! そ、それこそ私の料理とか良いんですか?!」
「それは問題ない! ハルだからな」
「いやいやいや……ってなんで私だからなんですか、もう!」
「そりゃ信用してるからな。依頼の達成度、貢献度、料理教室でのハルの態度、獣魔達のハルへの態度。どれを取っても信頼度が上がるだけだからな」
「そ、そんなに信用されると照れちゃいますね」
私につられてか、ひぃろ達もなぜか照れている。私が国王様にお会いするとかどうしたら良いんだろうか。
「あっ、でも何を着ていったら良いのですか?」
「それなら、気にしなくていい。着替えさせられるかもだしな。それと、明後日の朝にここに来てくれ」
「も、もしかして、明後日なんですか?」
「あぁ」
ギルマス……そんな簡単に言われても困りますよ。国王様に普通は合わないんですよ? そして何を作ったら良いのだろうか……。
ギルマスに相談をして、唐揚げ(塩麹、醤油、味噌)3種類、オークのスパイス焼き、ハーブ焼き、ご飯になった。ご飯はおにぎりにしてもいい気がするな。
作るのは王城で作るのだって。王城の厨房とか入って良いのかな。うぅ……胃が痛くなりそうだ。帰ったらひぃろ達に癒して貰おう。
「後、これから宿に戻ったら錬金ボックス作る予定なのですが、ケチャップ、ソース、コンソメ、出汁を作れるようにしようと思うのですが、前回の錬金ボックスと同じ感じで良いですか?」
「あぁ、それで頼む。後、その錬金ボックスも国王が見たいと言っていたからよろしくな」
「は、はい」
なんだか大変な事になったけれど、美味しい物食べたいし、食べて貰いたいから頑張ろう。
明日はお料理教室になりそうだ。ケチャップとソースの味見をしたいらしい。
商業ギルドを出て、宿に向かう。宿の裏で錬金させて貰う。木材をカットして持ってくれば良かった……。アイテムボックスから出す時に半分だけ! とお願いしたら半分だけ出すことに成功した。神様とても助かります、ありがとうございます。
作るのは、ケチャップ、ソース、コンソメ、顆粒だしが作れるようにボタンを配置して、出来上がったら、音が鳴って、蓋が開く、タイマー付き。うーん……
「錬金!」
無事に出来たようだ。明日のお料理教室で試そう。とりあえずもう1つずつ作ってアイテムボックスに仕舞っておいた。
部屋に戻るとみんなにクリーンを掛けてのんびりする。緊張したので、ひぃろ達ともふもふーっとむぎゅむぎゅーっとなでなでーっとして癒される事にした。
(何回もふもふむぎゅむぎゅしても、気持ちいいし癒されるなぁ)
お夕飯を食べに食堂へ行くと、ステラさんに明日お料理教室になったと教えて貰った。明日も一緒に行く事になった。
お夕飯はオークの酢豚風だった。とってもとっても美味しかったです。ただ、ご飯で食べたかった。
ロールさんのご飯が前から美味しかったのに、さらに美味しくなって最近大好評らしい。
ご飯を食べた後は、私はのんびりお風呂に浸かって、疲れを取ってからひぃろ達とむぎゅむぎゅして寝た。
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