第44話 お料理教室2

 次は何にしようかと考えていたら、ステラさんが味噌汁が飲みたいというので、お味噌汁を作る事にした。今日もお出汁がないので、豚汁風にすることにした。


 材料を準備して先に少し炒めてから煮ていく。昆布とか鰹節とかお出汁が欲しいなぁ。今度、地図を見てみよう。海に行きたい。


煮えたらお味噌を入れて出来上がり。全員に配って味見をする。


「これはなんだかホッとする味だな」


「そうですね。なんだかほっこりします」


「私もこのお味噌汁が気に入っちゃったのよね」


 お味噌汁も気に入って貰えて良かった。


「具を変えたら色々な種類が作れますよ~。後はお味噌じゃなくて、お醤油味でも作れます」


「なんだか色々作れて凄いな」


「味噌も醤油も万能ですよ~。だから欲しかったんですよね」


「確かにこんなに、美味しくて色々な物に使えるのを知っているのに手に入らないのは辛いですね」


「じゃあ、次はご飯と合わせましょうか」

 

 丼を作る事にする。今日は親子丼と焼いたオーク肉を乗せた豚丼にしよう。


 まずは、醤油、酒、砂糖、水で親子丼のつゆを作る。豚丼のタレは、味噌、醤油、ガーリ、ジーンでちょっとガッツリとした物にした。


「なんだかタレだけで旨そうだな」


「確かに」


「早く食べたいわ~」

『早く食べたいくま』

『食べたいぴょん!』

『お腹空いたぱん~』


 なんだか、ひぃろ達が増えた感じだ。タルトはさっきから食べていたのに、まだお腹空いているのね。


「ここからは簡単なので、自分でやってみますか?」


「えぇ!? 出来るかしら」


 小さめのお鍋につゆ、玉ねぎの薄切り、ココ肉を入れて、火が通ったら卵を流し入れて蓋をして火を止める。卵に火が通ってきたら、ご飯に掛けて完成!


「これだけなので、どうでしょう?」


「簡単そうだな」

「確かに簡単ですね」

「ちょっとやってみるわっ!」


 全員でやってみる事になった。コンロは3個あるので、同時に出来る。同時に作るので教えるのも簡単だ。やっぱり道具も多めに持っていると便利だね。


「温かいうちに食べちゃいますか」


 私の分はすでにひぃろ達の分も分けておいたので、それぞれの前に出してあげた。次もあるから少なめだけど、ひぃろ達は足りるかな?


 次のオーク焼き肉丼で、少し多めに作ってあげよう。


「こちらも簡単なので、自分でやりましょうか」


 薄く切ったオーク肉と玉ねぎを焼いていく。火が通ったらタレを絡めて、ご飯に乗せたら完成!簡単すぎたかな。


 皆が作っている間に、ひぃろ達の分を取り分けていく。


『ハル、食べたいくま~』

『早く食べたいぴょん!』

『お腹が空く匂いぱん~』


「多めに作ったから、ちょっと待っていてね」


 ひぃろ達の分を準備していたら、みんな出来たみたい。美味しく食べましょう。


「うめぇぇ! あんなに簡単だったのに、何でこんなに深い味なんだ?!」


「美味しいぃぃ! お腹が結構いっぱいだったのに、食べられちゃいます」


「ハルちゃん、美味しいわ!」


「ロールさんにタレの作り方伝えておきますね~」


「ハルちゃん、素敵!」


『ハル、おかわりくま!』

『私もぴょん!』

『ぼくもぱん!』


 ひぃろ達の分をもう一度作ってあげる。ガーリとジーンが入っているから進むよね~。しかもオークの豚バラ肉はかなり美味しいし!


 食後のデザートは何にしようかな。サッパリしたものにしたいよね。オレンとレオンで、さっぱりシャーベットにしようかな。今日は自分で作ろうかな。


 大きめのお鍋に魔法のアイスで細かい氷をたくさん出す。そこに塩を多めに入れて、その上にボウルに入れたオレンとレオンの果汁を置いて、混ぜながら凍らせていく。


「これはアイスクリームか?」


「近いけれど、これは果汁を凍らせたシャーベットですね。今日はサッパリとオレンとレオンにしました。クリームが入らないので、口の中もサッパリしますよ」


「ほう、それはいいな」


「美味しそうだわ」


「美味しそうです」


 混ぜていると果汁が凍ってきた。シャーベットの固さになるまでもう少し混ぜ続ける。


「こんな風に変わっていくんですね、面白いです」


 出来上がったら、お皿に盛って完成。お茶は温かいのをいれる事にした。全部冷たいとお腹痛くなりそうだしね。


「はい、食後のデザートとお茶をどうぞ」


「おぉ、酸味があってサッパリするな」


「その後のお茶がホッとしますね」


「美味しいわ~」


「アイスクリームも同じように作るのか?」


「そうですよ。アイスクリームは卵、牛乳、砂糖でしたが、シャーベットは果汁がメインですね。甘さが足りない時はお砂糖を足します」


「ハルさんは、色々な調理方法を知っていて凄いです。まだまだきっと他にも沢山作れるんですよね」


「うーん、他にも色々作れますが、後は応用が多いとは思いますよ」


「そうだ、ハル。ギルドカードを借りてもいいか? 商業ギルドにも登録済ませるからな」


 冒険者ギルドのギルドカードをギルマスに渡すと、受付の人に渡しに行った。私は行かなくていいのだろうか?


「毎月、振り込まれるから、たまに確認してくれ」


「は、はい」


「それで、他にも何かあったりするか?」


 他に……えーっと、ソースとか……ケチャップとか……コンソメとか?


「あるんだな。先に全部言ってくれた方が楽だぞ」


「えーっと……さっき作ったお酢を使った調味料と、スープが美味しくなる素があります。本当はお味噌汁が美味しくなる出汁も欲しいんですけど、海の方に行かないと多分ないかなと思います」


「いっぱいあるな……」


「いっぱいですね」


「ハルちゃん、それ知らないわ!」


 作るのに結構時間が掛かるけど、それも錬金ボックス作った方が良さそうかな? それか自分で作れるようにするかどっちが良いかなぁ。


「えーっと、聞いてもいいですか? 錬金ボックスにするか、作り方を教える方が良いかどっちにしましょう?」


「どう違うんだ?」


「錬金ボックスだと1~2分くらいで出来ると思います。作ると、1時間以上掛かります」


「錬金ボックスで頼む。簡単に作れれば、職員でも出来るし、孤児院とかに仕事を振ってもいいしな」


「それはいい考えですね、ハルさん、錬金ボックスでお願いしたいです」


「魔石もあるし、木材があれば……あっ! もしかしたら木材がないかも? タルルの木が良いって教えて貰えって、ある分だけ買ったんですが、残りがそんなにないので足りないです」


「タルルの木か……ちょっと待っててな。今うちの者に聞きに行かせる」


 そう言うとギルマスのビスコさんは部屋を出て行った。タルルの木材さえあれば魔石はあるし、いくつか作れるはず。出来たら2個ずつくらいあれば便利だよね。


「タルルの木ってどこら辺に生えているんですか?」


「タルルの木はどこかなぁ。北の山な気がしますけど……」


「ギルマスに聞いてみたらいいんじゃないかしら?」


 メレさんとステラさんの言うように、ギルマスが帰ってきたら聞いてみよう。足りないようだったら採ってくればくれば良さそうだ。


「今、在庫状況を聞きに行かせたら、タルルの木材は今ないらしい」


「だったら、タルルの木材を採ってくるので、どこに生えているか聞いても大丈夫ですか?」


「生えているのは北の山だが、すぐには使えないぞ?」


「そこは錬金スキルがあるから大丈夫ですよ」


「なるほどな。だったら冒険者ギルドに指名依頼を出しておくから受けて貰っていいか?」


「はい、早速明日行ってきますね。錬金ボックスはいくつあればいいですか?」


「出来たら2個ずつは欲しいな。後は今、粒の実の栽培地を探しているから待ってくれな」


「はい、分かりました。2個ずつ作っておきますね。栽培地は決まったら粒の実の木を植えるので、お願いします。」


 依頼を受ける事にして、今日はお開きになった。ステラさんと一緒にロール亭に帰る。ロールさんに今日のお料理とタレのレシピを教えてから、部屋に戻った。部屋に入ってからクリーンを掛けてひぃろ達とのんびりする。


『今日のお料理どれも美味しかったくま~、今度お外でも作ってくま~』


『どれも美味しかったぴょん。豚丼もまた食べたいぴょん』


『もっといっぱい食べたかったぱん~。また作って欲しいぱん』


「うん、また依頼受けた時とか旅の途中で作るね。今度はいっぱい作るね」


 みんなで仲良くお夕飯を食べてから早めに寝る事にした。明日は北の山へタルルの木材を採りに行く予定だ。

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