第43話 お料理教室1

 早く寝たおかげですっきりと目覚めた。今日はお料理教室だけど、何を作ろうかな。でも、とりあえずは調味料を作る所からだね。


 まずは朝ごはんを食べてから考えよう。着替えをしてからみんなで食堂へ向かう。


「ステラさん、おはようございます。今日はよろしくお願いします」


「ハルちゃん達、おはよう。こちらこそお願いね」


 ステラさんが朝ご飯を運んで来てくれたので、みんなで美味しく朝ごはんを食べた。一旦部屋に戻り落ち着いてから商業ギルドへ向かう事にする。

 

 部屋を出る前に上着を着るのに、ちょっと困った……。フードどれから着たらいいかなぁ。選ばれなかった子がしょんぼりしちゃいそうで、悩んでしまった。上着を選べないでいると……。


『ハル、家族になった順番に着て欲しいんだぴょん』


『だから今日はくまフードだぱん』


『話し合って決めたのぴょん!』


「わぁ、みんなありがとう。どうしようか困っていたから助かったよ、ありがとうね」


 本当にうちの子達はみんな優しいなぁ。みんなのしょんぼりした顔を見たくなかったから、本当に良かった。嬉しくなって、にこにこしてみんなをなでなでしてから、くま耳付きフードを羽織った。


『ハル、可愛いぴょん!』


『ハル、可愛いぱん~』


 ひぃろはお揃いで照れている。可愛すぎる……。


「じゃぁ、そろそろ行こうか」


 ひぃろとベリーは肩に、タルトはフードに入って準備が出来てから、食堂へ向かう。


「ステラさん、お待たせしました」


「ハルちゃん、行きましょうか」


 ステラさんと商業ギルドへ向かっていると、ステラさんもフードに気が付いた。


「あら、はるちゃん。その上着のフード可愛いわね。ひぃろちゃんとお揃いなのね」


「そうなのですよ~。洋服屋のアリサさんに作って貰ったんです。うさ耳付きとパンダ耳付きもあるんですよ」


「ふふ、とっても似合っているし、可愛いわ。確かにアリサならすぐ作っちゃいそうね」


「はい、4日ほどで作ってくれたんです。うちの子達みんな大喜びでした」


 そんな話をしていたら、商業ギルドに着いた。メレさんと合流して、前回と同じ部屋に着くと、商業ギルドのギルマスのビスコさんもいた。挨拶を済ませて、まずは錬金ボックスを見て貰う事にした。


「調味料を作れる錬金ボックスが出来たので、まずは見て貰って良いですか?」


「はっ? 調味料が作れる?」

「錬金ボックス?」


「私は作ったの見たけれど、美味しかったわよ~」


 ステラさん、何かが違いますよ? アイテムボックスから錬金ボックスを取り出して、テーブルに乗せた。


「これが錬金ボックスか?」


「これで調味料が作れるんですか?」


「まずはやってみましょうか。まず蓋を開けて材料を入れます。今は麹を作るので、粒の実とお水を入れてこの麹ボタンを押します」


「ここに残り時間が出るので、0になったら蓋が開いてピーっと音がなります」


 タイマーが0になり、蓋が開いたので、中を見てみると瓶に入った麹が前回と同じく5本出来ていた。1本は甘酒を作る事にする。麹1本とお水を入れて、塩麹のボタンを押して、完成したらみんなに配っていく。


「これは甘酒っていう飲み物で、甘くって美味しいですよ。暑い時期は冷たく、寒い時期は温かくてしてジーンを絞って少し入れても美味しいです」


「酒?! ハルは飲んじゃダメだろう!」


「甘酒ってお酒の名前が入っているけれど、アルコールはないので子供でも大丈夫ですよ」


「ん~~、トロリと甘くてこれ美味しいですね~」


「これに塩が入ると、調味料として使えます。お肉が柔らかくなるし、美味しくなるんですよ」


「えぇぇ!? 調味料にもなっちゃうんですか?!」


「ほう、それは凄いな。これだけでも美味しいのに肉も柔らかくするのか」


「そして、麹はこれから作る調味料の要でもあるのです。実は、これから作る調味料全部に使うんですよ」


「なんだと?!」


「えぇぇぇ?!」


「ふふ、どれも美味しかったわ~」


「ちょっと、ステラさんずるいですよ~」


(ふふ、ステラさんとメレさん仲良しさんですね)


 作る調味料が沢山あるので、さくっと作っちゃいましょう! 材料を入れて、次々と調味料を作っていく。途中でギルマスとメレさんが驚きすぎて茫然としてましたが、突っ走ってしまいましょう。


 まずは、調味料が出来ないと次に進まないので、ギルマスとメレさんを置き去りに全部調味料が出来ました。


「というように、この錬金ボックスで調味料をこれだけ作れます」


「ハル、ちょっと待て、待ってくれ!」


「はい、ギルマス何でしょう?」


「調味料からどうしてこうなった?! 錬金ボックスってどうやって作ったんだ?」


「私はまだ旅に出る予定なので、私がいなくても調味料を作れるように考えたら、錬金ボックスを作る事になりました。後、錬金ボックスは私が作りましたよ。木材と魔石で作れるので、魔石も取りに行ってきました~」


『ぼく達がんばったくま~』


「そうだよね~、みんな頑張ってくれたんだよね」


『いっぱい倒したぴょん』

『楽しかったぱん』


「ハルさん、突っ込み所が多すぎてもう……」


「じゃぁ、これはこの街に置いて行ってくれるって事か?」


「はい、そのつもりですよ」


「これは……影響が大きすぎるな……。ハル、この調味料は一度王へ献上させて貰うぞ。そしてこの錬金ボックスは商業ギルドが管理して、調味料を街に卸していく事にする! メレ、悪いがそれで良いか?」


「それが良さそうですね、うちは卸して貰えれば問題ないですよ」


 なんだか大事になって来た気がする……。まぁ、でも確かにやりすぎ感は否めない。でも、美味しい物を皆に食べて貰いたかったし、仕方ない。味を知っているのに食べられない気持ちは、私がきっと一番良く分かっているのだもの。同じ気持ちにさせたくなかった。


「ハルには、商業ギルドから責任持って毎月支払いをする事を約束しよう」


「えぇ?!」


「当たり前だろう。これはハルの功績だからな、支払いは義務だ。商業ギルドでお金を下ろせるようになるからな」


「は、はい、分かりました」


「ギルマス、まずは調味料の使い方を教えてもらいましょうよ! あっ、ハルさん。後、粒の実の炊き方も教えてください」


「はい、大丈夫ですよ」


 粒の実を取り出して、計量カップがないから教えにくい……。木材が余っているので、計量カップをサクッと錬金。お米用とお水用を作った。


「ハル……またか」


「えへ、錬金スキル便利ですよね~」


「普通そんな使い方しないからな?!」


 そうだったのか……、知らなかった。錬金スキル何でも出来て便利なんだけどなぁ。


「こっちの少し小さい方が粒の実用、こっちはお水用です。粒の実を入れたらお水で洗ってから、同じ杯数だけお水を入れます。30分程このまま置いてから、お鍋に蓋をして炊いて行きますね」


 その間に他のお料理の仕込みをしてしまおう。今日は唐揚げの食べ比べにしようかな。塩麹、醤油、味噌味の唐揚げと、甘辛の唐揚げにしよう!


 醤油味にはガーリ、味噌味にはジーンを入れよう、塩麹はそのまま漬けておく。甘辛唐揚げはトロンの実の粉を付けて揚げてから味を絡ませるので、先に揚げていこうかな。


 まずはトロンの粉を付けたのを揚げていく。揚がったら醤油、砂糖、酢で作ったタレに絡ませる。他の味もトロンの粉を付けてどんどん揚げていく。


 ちょうどご飯も炊けたので、唐揚げだけしかないけれど、味見しちゃおう


『美味しそうくま、早く食べたいくま~』

『美味しそうぴょん』

『美味しそうぱん、お腹空いたぱん』


「待っていてね、取り分けるからね」


 テーブルに全員分取り分けて準備をして、みんなで食べ始める。


「ん~! どれも美味しいっ!」


「本当にどれも旨いな。味もそれぞれこんなに違うのに、どれも旨いんだよなぁ」


「ハルちゃん、唐揚げってこんなに種類があるのね。凄いわ~」


『ハル、美味しいくま!』


『どれも美味しいぴょん! でもこの酸っぱいのまた作って欲しいぴょん』


『ハル、全部美味しいぱん。もっと食べたいぱん』


「良かった、でも他にもまだ作るからもう少し待っててね」


 次は何を作ろうかな。

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