第11話 人助けをする
お昼ご飯を終えた私達は、ひぃろにサーチしてもらいながら、もう少しゴブリンの討伐をしていく。
何回かゴブリンに遭遇した後、ひぃろが急に止まった。
『ハル、どうしようくま……』
「どうしたの?」
『ゴブリンに連れ去られている人がいるくま!』
「えぇーー! 何人か分かる?」
『2人くま!』
さっきまでは戦っている感じだったらしいのが、今はゴブリンが運んでいる感じになっているらしい。これは急がないと大変な事になるね。
「よし、助けに行こう!」
全員にシールドを張って助けに向かう。
でも、意外とゴブリンが早くて追いつけない。どこに向かっているのだろうか……。もしかしてゴブリンの巣? それとも集落? どちらにしてもそこに着くまでに助け出したい。
急いでゴブリンの後を追う。
『ハル、だめくま!』
「ひぃろ?」
『ゴブリンがいっぱいいるくま』
間に合わなかったみたいだ。まずは、そっと窺ってみると、とても簡単な作りだけど、いくつも家が建っていた。
「これは……集落?」
『ハル、これは私達だけじゃ危ないぴょん』
「うん、でも連れ去られた人には時間がないよね。どうにか助けないと……。ひぃろ、他にも人がいるか、どこにいるか分かる?」
『ちょっと待ってくま』
そこだけ倒して救出出来たら良いのだけど……難しいだろうな。全部倒すにはエアーカッターだけじゃ厳しいかな。助け出せたら大きな魔法を撃ってもいいかも。どちらにしても村もこのままにしておけないし、火魔法使おうか。
『ハル、他にはいないくま。さっきの2人だけくま。場所は…なんだか大きなゴブリンがいる近くくま』
「それは、もしかしたらゴブリンキングかな……こんな集落だもの、いそうだよね」
「まずは急いで救出。それから殲滅しよう! ベリーは救出した人の回復をお願いね。ひぃろは土魔法で分断して貰って良いかな? それぞれにシールド張ってるから安心してね」
こっそり行こうかと思ったけど、悠長にはしていられないのでまずは救出することにした。
見張りに向かってエアーカッターを連発して救出開始!
「行こう! ひぃろ、2人の場所まで誘導お願い!」
『こっちくま!』
集落の中心に向かっていく。中心に向かう途中も沢山ゴブリンがいるので、エアーカッターを使って倒していく。途中でひぃろが、土魔法を使って分断してくれるから倒しやすい。
このまま救出までエアーカッターで倒せそうだ。
『ハル、もう少しくま!』
『ハル、あそこだぴょん!』
「よし、ベリー回復お願いね」
さすがに2人を運べない。12歳の姿じゃなくても難しいものね。ベリーの回復で、なんとか自力で動けると良いのだけど……。ちらっと鑑定も掛けると毒に侵されていた。
「ベリー、解毒もお願い!」
『ヒール! ヒール! キュア! キュア!』
その間に、私はゴブリンを倒していく。ひぃろは土魔法で分断してくれた後、土魔法で攻撃もしてくれている。目の前にはやっぱりゴブリンキングがいる。
『大丈夫ぴょん?』
「ん……ここは?」
『ゴブリンの集落くま、逃げるぴょん!』
「あっ……」
『怪我も毒も治したから、逃げてぴょん!』
「でも、あの子一人じゃ……」
「あんな小さい子が一人でなんて!」
『ぼくがいるから大丈夫くま』
『私が先導するから、集落の外に出るぴょん!』
私は2人にもシールドを張る。
「2人にもシールドを張ったから、集落の外の安全な所までまずは逃げて!」
その間もゴブリンを倒しながら、目はゴブリンキングから離さない。ゴブリンキングにもエアーカッターを放ってみたら腕で弾かれた!
どうやって倒そうかな。今の間にゴブリンは全部倒したけれど、ここからが問題。ゴブリンキングはやっぱり強いみたい。
「ひぃろ、近くにゴブリンはいる?」
『集落の端の方にまだいるけど、この周辺は全部倒したくま!』
「分かった、ありがとう。ひぃろも少し下がっててね」
『ハル、足止めするくま!』
「ん。助かるよ」
よし、さっきは見えていたから弾かれた。見えなきゃいけるかな。でもエアーカッターじゃちょっと心配だから水の力を借りよう。強めの回転を掛けたウォーターカッターを出してみよう!
ファイアアローを沢山だして、目くらましをする。
「ファイアアロー!」
強めの回転を掛けたウォーターカッターを心の中で思い浮かべて発動させる。ウォーターカッターはゴブリンキングの背後から放つ。
ゴブリンキングはファイアアローを弾いていて、気が付いていない。
!!!
ゴブリンキングの身体が光り、ぽんっとアイテムがドロップされた。
「倒せて良かった~」
『さすがハルくま!』
「ひぃろもお疲れ様。アイテムを収納してベリーを迎えに行こう」
『ハル、おつかれさまくま。こっちくま~』
ひぃろが先導して、ベリーの所へ連れて行ってくれる。集落の外に出た所に2人と一緒にベリーがいた。
「ベリー、ありがとう。お疲れ様」
『ハル、おつかれさまぴょん。怪我はないぴょん?』
「うん、大丈夫だよ。ありがとうね」
2人もベリーも無事で良かった。
「大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございました。怪我も治してくれてありがとう」
「うん、ありがとうございます。まさかゴブリンに攫われるなんて思わなかったわ」
「うんうん、本当に間に合って良かったです。あ! 私はハルと言います。こっちは私の獣魔でひぃろとベリーです」
「私はD級冒険者のミントです」
「私もD級冒険者のローズよ」
「これからどうしましょう? この集落、壊しておいた方がいいですかね?」
「え~っと、ゴブリンキングを倒したのだったら、一度ギルドに戻って相談でも良いと思いますよ」
「分かりました、じゃぁ街に戻りましょう。あ、お腹空いたりしてませんか?」
と、聞いたら2人のお腹がぐぅ~っと鳴ったのが聞こえた。
「まだ集落の中にゴブリンがいるみたいなので、少し離れてからお茶にしましょうか。街まで一緒に行くってことで良い……ですよね?」
「うん、お願いしてもいいですか?」
「えぇ、やっぱりちょっと怖いからお願いしたいわ」
「じゃぁ、ひぃろ。お昼食べた所辺りで少し休憩しよう。案内お願いしてもいいかな?」
『任せてくま~』
また2人がぽよんぽよん跳ねて先導してくれるので、のんびり着いていく。
私が何も警戒しないで歩いているのを見たミントさん達がびっくりしている。
「えっ? 敵とか、大丈夫なの?」
「可愛い……」
「ひぃろがサーチしてくれているので、魔物がいたら教えてくれます。なので大丈夫ですよ」
『ハル、ゴブリン3体くま』
「了解、ありがとう」
エアーカッターでさくっと倒して先に進む。1回の戦闘で広場に辿り着けた。
「早い……」
「凄いわ……」
少し進むとお昼にご飯を食べた場所に着いた。ここなら少し安心して休めるかな。
「ここら辺で休憩しましょう。食べる物大丈夫ですか?」
「あっ! 取られてる」
「えっ? そういえば、私もないわ」
「あ、じゃぁ私の出すから大丈夫ですよ~。ひぃろとベリーはどうする? おやつにする?」
『ぼくはクッキーがいいくま。ベリーもクッキー美味しいくまよ?』
『クッキーが何か分からないけど、ひぃろが美味しいっていうなら、それにするぴょん!』
2人にはパンに串肉を挟んで出してあげて、私達はクッキーを出した。全員にアプルウォーターも出してあげて準備完了!
「まだあるから、いくつでもどうぞ。いただきます」
「ありがとう。いただきます」
「有り難く頂くわ。いただきます」
『いただきますくま~』
『いただきますぴょん』
『こ、これは美味しいぴょん! もっと食べていいぴょん?』
「もちろん。沢山食べてね」
「これ、とっても美味しいです!」
「こんな美味しいパン、初めてだわ。パンに挟んでいるのも、初めて見たわ」
みんな気に入ってくれたようで嬉しい。
ミントさんとローズさんも、クッキーが気になるようなので、2人にも出してあげた。
「さくさくしてて美味しい!」
「さくっとした食感とほんのり甘くて、いくらでも食べられそうなくらい美味しいわ」
「気に入って貰えて良かった」
みんなで美味しく食べた後は、街を目指そう。
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