魔法使いの子育て奮闘記 番外編 ～世界一の魔法使いになって子づくり頑張ろう～

第4話 ココのアルジ

(オナカヘッタ)

　最初に思ったのはその気持ち。

　あったかくてむぎゅっとしたところにいたのに、なんだか急に外に出たくなってあばれてみたの、そしたらちょっと寒くて、でも広くて緑がいっぱいなところにいたの。

　何だか嬉しくて、空を飛んでみたくなったの。お尻から糸が出るからそれを使って飛んでみた。

　風がびゅうっと吹いて、私の体が浮いたの。

　これが飛んでるってこと？　凄く気持ちがいいの。でもお腹空いてたのに、たくさん飛んだら動けなくなっちゃたの。動いたからもっとお腹が空いて、疲れちゃった。

　それで休んでたらあったかいキラキラしたものが近づいて来たの。人間？　本能が　”人間”　って言ってる。気を付けろって。

　でも、怖くないの、不思議、あったかいの。その人間がもっと近づいてきたらすごくいい気持ちの魔法をくれた。癒し？　なんだって。キラキラ体が輝いたの。とっても素敵。とっても美味しいの。

　その子は美味しい物沢山くれた。お腹もいっぱいになった。あんなに疲れてたのに、その子が元気にしてくれた。

　一緒にお家に来るか聞かれたの、お家って分からないけど、この子のことは好き。綺麗であったかくて、とっても美味しいから。

　本能がこれが　”アルジ”　だよって教えてくれた。アルジって守るものなんだって。本能が　”大事”　なんだよって教えてくれた。

　アルジは名前もくれた　”ココ”　だって。とっても素敵な名前。だって、アルジがココって呼ぶとあったかくなるから。

(ワタシ、ココ、アナタ、アルジ、マモル)

　アルジのそばに行って、誓ったの守るって。大切で、大好きな物は守るんだって、本能が言ってる。

　アルジのお家に行ったら、人間が沢山いたの。何か沢山言ってるけど、アルジにみんな似ていて、あったかくて美味しそう。ココは銀蜘蛛なんだって。大きくなるんだって。

　アルジが家族は食べちゃダメよって教えてくれた。

　そうか、家族は食べちゃダメなんだ。

　ココはまた賢くなったの。アルジを守るなら賢くならないとダメだってマトが言ったの。

　だからアルジと一緒にお勉強頑張るの。魔法も覚えてアルジを守るの。頑張るとマトが美味しい物くれるの。だから、マトも好き。

　アダはココが一人でお家をお散歩してるところみるといつも撫でるの。アダの魔力もおいしい。撫でられると魔力貰えるの、本能が喜んでる。

　オルガもココを撫でる。美味しい。アリナはココの事最初撫でてくれなかった。ココが嫌いみたい。だけど今は好きなんだって、アルジと同じ色のリボンつけてくれる。可愛い似合ってるって。アリナも美味しい。

　アルジのお母さん、アルジにとっても似ててキラキラしてる。ココを撫でるとアルジと同じ味、とっても美味しいの。みんな家族。ココの家族。食べちゃダメ。魔力くれるから美味しいの分かる。だから食べなくても大丈夫なの。

　アルジと森に行ったの。馬がいた。いい匂い。美味しそう。だけど知らない人間居たから、馬の味見出来なかった。残念。

　他人のものは食べちゃダメ。アルジが教えてくれた。

　お家にも馬がいたのとっても美味しそう。

　だけど、家族だからココは食べないよ。そう馬に伝えたら、ココを乗せてくれた。

　あったかくていい匂い。家族っていい匂いなの。ココはどんどん賢くなるの。アルジをそろそろ守れるかな？

　ある日ね、本能に起こされの。森が呼んでるって。

　ココが起きると森がざわざわしてた。遠くに何かいるって、本能が言ってるの。でもお家の中だとココうまく感じられない。

　大変なこと、ココ一人じゃ無理だから、アルジ起こしたよ。

　アルジはカッコイイの、すぐに森に入った。魔法使ってビュンビュン飛ばす。アルジの肩に捕まってココはお仕事したよ。アルジに場所教えたの。ココはアルジ守ってる？　　

　森の中にいたのは人間だったの。アルジよりちょっと大きな人間。でも、ココが小さかった時みたいに弱ってるの。ココにも分かる。だって、魔力が消えそうだから。

　アルジはすぐにその人間助けたよ。ココの時と同じ。癒し上げたよ。アルジは素敵。カッコイイの。カッコイイは　”男前”　だって、マトが言ってた。だからアルジは男前。ココもそうなるの。

　その子をアルジがお家に連れて帰るって言ったよ。それって家族だよね。ココもお家に行ったから家族になった。この子も家族だね。

　帰り道アルジに道案内頼まれたの。行きも案内したけど帰りは近道しなきゃだからもっと大変。

ココはアルジ守る。頑張るよ。

　初めてのお仕事とっても疲れたの。アルジもマトとアダ見たら疲れて眠っちゃった。

　ココも一緒に寝たよ。アルジの隣はあったかいの。

　森の子はすぐ元気になったよ。

　アルジに名前貰ったの。もしかして、この子はココと一緒？　ココと一緒にアルジ守る為に森で拾ったのかも。

　森の子は　”セオ”　っていうの、家族だって。やっぱりセオもいい匂い。美味しそう。

　セオがねココの事綺麗って、アルジに似てるって褒めてくれたの。ココ、アルジみたいにあんなにキラキラしてるの？　ココの魔力もおいしいのかな？　自分の魔力は味見できないから。分からないや。

　セオの魔力は美味しいの。セオはアルジと一緒に毎日ココを撫でて、魔力くれるの。だからとっても好き。それにセオもアルジの事大好きだから、ココと同じなの。やっぱり似てる。

　もしかしたら、セオは本当はココと同じ銀蜘蛛なのかもしれないよ。だって、森にいたし、アルジも一緒だし。アルジの事絶対に守るって言ったから。同じ、嬉しいね。アルジ大好き。同じだね。

　マトにセオの事話したよ。おやつくれたから教えてあげたの。セオはココの事、綺麗って言ったよって教えてあげた。

(マト、セオ、ココ、キレイ、イッタ)

「おっ、なんだって、セオに褒められたのか？　ココはセオに気に入られたんだな」

(ココ、キレイ、カワイイ)

「なんだ、そんなこと言われたのか、あいつココに惚れてんだな」

　マトはガハハハッて笑ったよ。”惚れてる”　って何？　ココ惚れてるって分からない。美味しいに近いのかな？　大人になったら分かるのかな？

　アリナに会ったよ、ココにクッキー内緒でくれたよ。アリナもココに惚れてるの？

(アリナ、ココ、スキ、アリナ、ココ、ホレテル？)

「まぁ！　ココったら、そんな言葉どこで習ったのですか？　ふふふ……アリナはココの事大好きですけど、惚れてるはちょっと違いますわ。そうですね……惚れてるは恋しているということです。

　ココに男の子が好きって言ったら惚れてるってことですわね。でも、ココは可愛いのですから、簡単に許しては駄目ですよ。お嬢様が許可された男性とお付き合いしてくださいませね」

　アリナの言葉難しいよ。ココにはもっと分からなくなったよ。セオは男の子だからココに恋してるの？　よく分からない。じゃあ、アルジにも恋してるの？　惚れてるの？　難しい。まだ勉強足りないみたい。アルジ守るためにもっと頑張るよ。

　セオにね、アルジ一緒に守ろうねって、アルジに内緒で話したよ。セオ、絶対に守るよって言ってた。やっぱりセオもアルジの事好きなんだね。だから、教えてあげたの。ココは家族だからね。

(セオ、アルジ、スキ、セオ、アルジ、ホレテル)

　セオはココのお尻みたいに真っ赤になったよ。やっぱりセオは銀蜘蛛なのかも。だって、ココと似てるもの。

(セオ、アルジスキ、セオ、コイシテル)

　セオはココをぎゅっとしたよ。やっぱり真っ赤だったよ。それにいつもよりあったかいの。不思議ー。

　セオにアルジには言っちゃだめって言われたよ。何でだろう？　アルジ喜ぶのに。だってココはアルジに好きって言われると嬉しいから。心があったかくなるんだよ。

　それもセオに教えてあげたらね、アルジには自分で言いたいんだって、だからココが言っちゃダメなんだって。ココ分かったよ。だって。ココもアルジに好きって言われるのが一番嬉しいから。

　やっぱりセオはココと同じ。似てるんだね。

　夜はアルジとセオとココで寝るの、お布団はふかふかで気持ちいいの。ココはこの時間が大好き。だってね、アルジがずっと撫でてくれるの。とっても優しくて気持ちいの。ココはね、いつかすっごく大きくなるんだって。アルジより、マトやアダよりもずっとずっと大きくなるの。

　だから、アルジをずっと守るよ。それでアルジを大事にするんだ。だって今ココは、アルジにとっても大事にされてるから。

　ココは幸せだから、アルジも幸せにするんだ。ココは頑張るよ。ココはアルジの家族だからね！