2

※注意※

現在の時事問題に近い表現があります。苦手な方、敏感な方は見ない方がいいかも知れません。ご了承ください。






王子軍は無事王都に着くと、ロクサスはリアムとラシャドを伴って真っ先に国王に謁見を求めた。これを受けた王は直ぐに王子たちに会いたいと、その日のうちにお目どおりが叶った。

神殿よりさらに大きな扉の前に立って王子が声を張る。

「父上、失礼します」

王子が言うと、従者が扉を開く。

国王は玉座に座りながら息子──ロクサスを見て破顔した。

「おお、帰ったか。 久しぶりだな、息子よ!」

眩しい程の笑顔は王子とよく似ている。さすが親子だと思うラシャドだったが、はっと我に返り、直ぐに膝を折ってこの謁見に感謝を述べた。

「ルシタル国王陛下、この度の突然の謁見、お許し頂きありがとうございます。 お目にかかれて光栄です」

深々と頭を垂れる彼に、国王は優しく声をかけた。

「そうかしこまるな。 我が盟友の騎士だったそうだな」

「盟友?」

王子が割って入る。

国王は酷く悲しそうに顔を歪めた。

「サタグル侯爵は私の大事な友人の一人だったのだ。 訃報の書簡は既に届いている。本当に驚いた。だが、その騎士が、君がこの国に来て報せてくれたのは誠にありがたいことだ……」

国王は目を潤ませている。

「は、こちらこそありがたいお言葉です。 しかし、我が主とルシタル王国陛下がご友人とは初耳でした」

国王はラシャドに向き直る。

「何せかなり昔の付き合いだったからな。 今では年に一度手紙が届けば良い方であった。 随分会ってなかったからな」

一息ついて、こんなことならもう一度顔を見ておくべきだったと付け加えた。国王は天を仰いだ。亡き友人を天に見たのかもしれない。

「父上、残念なのは最もですが、ラシャドは別の要件を伝えに来たようなのです。 聞いて頂けますか?」

「ああ、そうだな」

王子がせっつくと、国王も頷いた。

「ナード大陸で何があったのだ?」

ラシャドは国王をしっかりと見て言った。

「はい。我がナード大陸はご存知の通り同盟国の集まりでした。 しかし、最近になってその同盟の約束が破られ始めたのです」

「なんだと?」

国王は座っていた体を少し前のめりにして身を乗り出す。王子もリアムも先が気になるらしく、黙ってラシャドの顔を見て聞き入っている。

「おかしくなったのはつい最近でした。 白い装束の者達が大陸を出入りした後から、同盟は崩れ始めました」

これに反応したのは王子だ。

「白装束!? もしかして、この間の港の奴らか!?」

リアムも驚いている。ラシャドが頷いた。

「そうです」

「件の、ロクサスが狙われたという報告の事か」

国王が尋ねる。

「はい。恐らくではありますが、白い兵士や魔道士の集団が関係していると考えられます」

リアムは考える形になって、顎に手を添えた。

「奴ら……殿下を狙っているような口ぶりでした。ナード大陸に続いて、ルシタル王国も混乱に陥れる気なのでしょうか?」

ラシャドが頷く。

「そうかも知れません。 この危機を、我が主はルシタル国王陛下に伝えよと、最期の言葉でした」

ラシャドは締めくくる。その拳は微かに震えている。

「そうか……」

国王は呟くと、小さく祈りの言葉を吐いた。亡き友への祈りだった。

「でも、そうと分かれば簡単だ。 リアムに作戦を立ててもらって白い軍団がこの地に入り込まないよう気を付けておこう」

ロクサスが提案する。リアムも首を縦に振った。

「そうですね」

「うむ、そうだな」

そこで国王ははたと思い出したように言った。

「そういえば、後日リアムに会いたいという異世界の者が来るのであったな」

「えっ?」

リアムが意外そうな顔になる。



異世界──この大きな“世界”には、次元を超えて幾つもの異世界が存在している。薬学に優れた世界、海底に住む民族の世界、ドラゴンが統治する世界など様々だ。

次元を超えた先にある世界を異世界という。異世界へは基本的に、『次元の扉』を開き、『界廊』という通路を通って行く。『次元の扉』を通るには身分証となり、かつ異世界への通行エネルギーを持つ『異世界間通行手形』が必要で、それを持っているのは異世界間移動を仕事にしている者と、特権階級の人間だけであった。

更に、文明が近い世界同士でなければ世界間の行き来は出来ない。界廊は複雑に絡み合っていて、遠くに異世界が見えていてもそこには道が通じていないなんてことは良くある話だ。

簡単に例えると、原始時代のような場所に最新の技術を持った世界の者が干渉するのは不可能なのだ。

逆もまた然りである。



リアムが驚く。

「え、僕に、ですか?」

こんなことは生まれて初めてだった。

リアムは赤毛である。この国では赤毛は不吉の象徴として忌み嫌われているのだ。

リアムには家族もなく、一人でいた所を王子に保護された。

そんな自分に会いたがるなんて誰だろう、と少し不安になる。

「ああ、もしかしたらリアムの血縁かもしれないとも言っていた。 リアム、会ってみてくれ」

「え!? あ、はい! 承知致しました」

自分の血縁かもしれない、と聞いてリアムはびっくりしてしまったが、何とかぺこりとお辞儀をした。


その日の謁見はそれで終わり、王子とリアムはラシャドを客間へ案内してから会議室へ行くと、王子ロクサスと軍師リアムを筆頭に白い装束の者は徹底的に調べあげてから国内へ通す事を決める軍議を行ったのである。

そこには近衛兵団団長のアリア・ルーベルクの姿もあった。

アリアは侯爵家の娘ながら武術と戦術を学び、女ながらに実力で近衛兵団団長の座に着いた強者である。

スラッとした身体に、凛々しい顔つき。長い青髪に金の羽根の髪飾り、鎧や剣にも羽根のモチーフがあしらわれている。羽根の紋章は近衛兵団だけに許された紋章だ。

近衛兵団にはアリアに憧れる騎士は男女問わず多くいるというのも納得が行く。

「では殿下、今日の夜から早速国境付近の出入りを厳重に、ですね」

近衛兵団団長は王子に確認をとりながら地図を指さしていた。

「そうだな。あとリアムも言った通り、ナード大陸からまた何か来るかもしれない。こっちも厳重に頼む」

「かしこまりました」

「アリア殿、いつもありがとうございます」

リアムがアリアに声を掛ける。

近衛兵団長はにこりと笑った。

「いいえ、リアムの指示はいつも的確だわ。 流石天才軍師ね」

そう言うとアリアはリアムの赤毛を優しく撫でた。この人は赤毛を嫌わない。リアムは心地よさそうにしながらも顔を少し赤く染めた。

「いえ、僕は天才なんかじゃないですよ」

リアムが答える。

「謙遜なんてしなくていいのよ、リアム。 本気の私をボードゲームで打ち負かす事ができるのは、少なくともこの城内では貴方一人だけなのよ?」

これにはちょっと照れたリアムが、小さくありがとうございますと言った。

「そうだぞ、リアム。 俺がお前を軍師にしたのはその頭脳があるからだ。 もっと自信を持て!」

今度は王子がリアムの赤毛をかき混ぜた。やはり照れているのか顔を赤くして、でも嫌がらない、小さな軍師だった。


次の日、ロクサスとリアムは再び謁見の間に居た。国王が会ってみて欲しいという人物と会うためである。リアムに会いたいと言う人は、リアムがこの城に来てから十年、今までに一人も居なかった。自分に会いたいと言ってくる人はどんな人だろうと、何だか落ち着かない様子のリアムに、上から声が降ってくる。

「どんな人だろうな!」

ロクサスが言うと、リアムはちょっとだけ嬉しそうに答えた。

「そうですね、本当に僕の血縁だと嬉しいですけど……」

リアムは十年前、ロクサスが九歳の頃視察に出た時にスラム街で拾ってきた孤児だった。リアムの父親はリアムが幼い頃に死別、母親は行方を眩ませた。天涯孤独のリアムに血縁かもしれない人物が現れる。しかも国王を通して、異世界から。リアムは楽しみで仕方なかった。血の繋がった家族が会いに来てくれるかもしれないのである。

少ししてから謁見の間の扉がノックされた。国王が入れ、と言うと重たい音を立てて扉が開く。

入ってきたのは長身の男性だった。リアムには及ばないが、長い美しい赤髪を頭の高いところで結わえている。異世界の装束なのか、シンプルな深緑色の漢服を纏った、どこか優雅な雰囲気の人である。

赤毛の男性は膝を折って国王に丁重に感謝を述べた。

「この度の謁見、誠に感謝致します」

そしてリアムを見てびっくりした。リアムの両肩を掴んで目を見開いている。

「お前は……! ルーベン兄上の子か……!?」

「父を知っているんですか!?」

思わず聞き返したリアムだった。

「おお、神よ、感謝致します。 私はずっとルーベン兄上を探していました。 まさかこんなに可愛い子供がいるとは……! よく似ている」

リアムも目を潤ませた。

「はい、ルーベンは僕の父の名です。 父はルーベン・レイトリア。 僕はリアムと言います」

「リアム! いい名前だ。 母親は?」

これにはリアムはちょっと悲しい顔になった。

「母は僕を置いて何処かに行ってしまいました。この国の人間だと言うのだけは分かりますけど、それ以上のことは」

そう言って首を横に振る。そして聞き返す。

「あなたは?」

すると赤毛の男性は、ああ、と言って名乗った。

「私はルーベン・レイトリアの弟、レジー・レイトリア。名乗るのが遅れてすまなかった。

ずっとルーベン兄上を探していたが、リアム、君に会えて良かった」

レジーも目を潤ませている。

「リアム、良かったな!」

王子も一緒に喜んでいた。リアムには異世界にちゃんと血縁がいたのだ。その事実が自分の事のように嬉しいようだ。

ここで王子が入ってきて漸く我に返ったレジーは、慌てて国王と王子に詫びた。

「申し訳ありません、お見苦しい所を。 つい興奮してしまいまして……」

国王は太く笑った。

「何を遠慮することがあるか。 感動の瞬間に立ち会えて私も嬉しい」

「ありがとうございます」

レジーは感謝を述べ、しかしそれから一気に暗い顔つきになった。

「実はご相談があるのです、陛下。 この子……リアムが本当に私の血縁ならば、この子には不思議な力があるのはご存知でしょうか?」

「不思議な力?」

王子が尋ねる。

「はい。能力というか、体質というか。 これまで、この子が怪我をして、直ぐに治るような事はありませんでしたか?」

ロクサスは記憶を遡った。

数年前、王子はリアムの誕生日に片耳ピアスを贈った。リアムはとても喜んで、早速右耳にピアス穴を開けようとしたのだが、右耳のピアス穴は瞬く間に塞がってしまったのだ。リアムがどうしても付けたいと言うので何度か試したが、何度やっても結果は同じだった。結局ピアスはノンホールタイプに変えて付ける事にした。

その事を王子がレジーに伝えると、間違いないと言って手を打った。

「この能力は我が一族に代々伝わる能力なのです。傷を負っても直ぐに治り、また最初の子供は、一滴の血で万病を治す力があると言われています」

「そんな凄い力がリアムに!?」

王子が驚いている横で、リアムも驚いていた。

「僕の血が……?」

レジーが続ける。

「そうです。 ルーベン兄上もそうでした。 そして兄上の……ルーベンの一番目の子供ならば、リアムにも神の力が与えられている筈です。

私たちの国では万病を治す力を持つ者は神の子として崇められて来ました。 リアム……いえ、リアム様。 今すぐに私たちの世界へお戻りください。私たちの世界、フェアスは今大変な事になっているのです」

「大変なこととは?」

国王が尋ねる。

レジーの表情が曇った。

「はい……今、我が世界フェアスでは大変な疫病が蔓延しております。 一刻を争う事態です。毎日感染が広がり、重症患者から死人が出る日も少なくありません。 リアム様の血が必要なのです」

「それは大変だ!」

ロクサスが言った。リアムも慌てた。

「ぼ、僕でお役に立てるなら……!」

「国王様、どうかリアム様を我が国にお返しください。 勿論謝礼は致しますので……」

これにはロクサスが瞬時に反応した。

「返す?」

リアムも同様に戸惑っていた。

「はい、ロクサス王子。 元々リアム様は我が国の神子であらせられるお方です。 しかもフェアスは現在混乱状態……どうしてもリアム様のお力が必要なのです」

「え、と、一時的では駄目なのですか?」

リアムが問う。レジーは首を横に振った。

「駄目です。 リアム様は我らが神子……我が世界の神より賜った力の持ち主なのですから」

リアムは困ってしまった。国王、それに王子には大きな恩がある。自分がもう少し大人になったら、成人したらもっと役に立ちたいと思っている。

「もうこの世界、レクシアには帰って来られないということですか?」

リアムが悲しそうな声で問う。レジーが答える。

「リアム様、貴方様は私たちの世界の神子なのです。 それがどうして他の世界に居続けられましょうか」

これにリアムは本当に困ってしまった。

自分のもうひとつの故郷に帰りたい気持ち、この世界でロクサス達と共に在りたい気持ちが、リアムの中で戦っていた。

その葛藤を知ってか、リアムの後ろから王子がリアムの左肩に手を添える。

「リアム」

はっとなってリアムは王子を振り返った。助けて欲しいと目で訴えかけられた王子は、ひとつの提案をする。

「すまない、リアムにも事情がある。 リアムはこの国の人間でもあるんだ。 どうか時間をくれないか」

これにレジーは渋い顔をした。

「しかし……」

「必ずお力になります。 でも、リアムの想いも尊重して欲しいのです」

王子は真剣な顔つきになっていた。

「……分かりました」

仕方なくレジーは引き下がった。

その後、レジーは国王に深く礼を言い、謁見の間を後にした。

王子とリアムも少ししてから謁見の間を出たが、やはりリアムの表情は晴れない。

王子は何とかしてやりたかったが、今は何も言えなかった。

王子はリアムに部屋に送り届けられると、そのまま床に着いてどうするべきかを考えていた。しかしその日は眠気に負けて、従者に寝る準備を整えて貰うと、直ぐに眠りについてしまった。


翌朝、リアムの部屋を王子が訪ねると、そこは窓が開きっぱなしになっていた。リアムらしくもない。

「入るぞー」

誰もいないからいいや、と自分で扉を開け、声をかけながら室内に入ってみるも、返事がない。どうやら出かけているようだ。

王子は自ら窓を閉めた後、レジーの部屋も訪ねて見たが、レジーも同様に居なくなっていた。

もしかしたらリアムがレジーにこの国を案内しているのかもしれない。王子は少し待つことにした。

しかし、昼になっても現れない二人に王子は違感を覚えた。リアムは無断で居なくなったりしない子だし、城を出るには許可が必要である。念の為城の入出書類を見てみたが、リアムの名前もレジーの名前もなかった。やはり城内にいるのかと思い色んな人に聞いて回ってみたが、この国でも珍しい赤髪の二人組を今日見た者は居なかったのである。

王子はおかしいと思い始め、近衛兵団長アリアに相談すると、アリアも難しい顔になった。

「この城からこっそり抜けられる場所は確かにあるけど……リアムがそれを使う理由がないわ」

同じく難しい顔の王子は顎に手をやり考え込んだ。

「だよな……俺はともかくリアムはちゃんとした手続きを踏んでから出るはずだ」

一応自覚のある王子に、アリアは口元を手で隠しながら少し笑って言った。

「夜になったら部屋に戻るのではありませんか? 赤髪を見られるのが嫌で隠していただけかも知れませんし」

「うーん」

赤い色はこの国では嫌われる色だ。実際リアムも赤髪で生まれ疎まれていた。

リアムの母親は彼の父の死後、リアムと二人で暮らすスラム街でリアムに対する嫌がらせが母親にまで及び、それで子供を置いて逃げ出したらしいという話を本人から聞いた事がある。

そして、赤髪への差別はスラム街や城下町に限ったことではない。城内でもリアムの赤髪を嫌がらないのは国王や王子、騎士団長と女官長など、一部の人だけだった。

以前、リアムは髪を染めたいと王子に伝えた。王子は止めはしないが、その髪の色も好きだと伝えると、リアムは染めるのをやめたようだった。

王子はリアムに絶対に赤髪への差別は無くすと誓い、それを聞いたリアムも嬉しそうにしていた。

「ご心配ですか?」

アリアが問う。

「ああ……」

「では、私も裏庭の辺りを探してみます。城内は広いですから。 きっと夜には帰ってきますよ」

王子はそれで一応納得し、アリアは持ち場に戻りつつ、リアムとレジーを探した。

陽が傾きはじめていた。

夜になると、さすがに夕飯の席には着くだろうと、王子は自分の食事もそこそこに食堂へ向かった。しかし、いつも王子の隣にいる赤毛の従者はやはり見当たらなかった。

──嫌な予感がする。

ロクサスは直感的にそう思い、国王に相談することにした。

国王は自室に居たが、ロクサスは兵士を黙らせて無造作に扉を開いた。

「父上! いらっしゃいますか!」

ロクサスが大きな声で問いかけると、部屋の右奥からすこし酔った国王が顔を出した。

「ん? なんだロクサス。 部屋まで訪ねてきてくれるとは珍しいな。 酒でも飲むか?」

呑気な国王の問に、ロクサスは切羽詰まったような声で答えた。

「大変です。 リアムとレジーがどこにも見当たりません。 城を出た記録もないのに、城の何処にも居ないのです」

これに国王は笑って返した。

「なに、城は広い。 どこかで入れ違いにでもなったのだろう。 もう部屋に戻っとるかもしれんぞ」

ロクサスは首を振った。

「いえ、何度も部屋を確認しましたが、本当に居ないのです。 アリア団長にも確認して貰っていますが、やはりあの二人の姿が見当たらないのです」

これには国王も不思議な顔になった。

確かに自室に一日中戻らないのはおかしい。

例えば剣の稽古に勤しむ者ならば、外で鍛錬していてなかなか部屋に戻らないのも頷けるが、夕食時には必ず食堂へ行くし、休むなら自室で休むだろう。

それに、そもそもリアムはそういうタイプではない。

外に出ると言ってもせいぜい木陰で本を読んだり、中庭を散歩するくらいである。それ以外は大体部屋にいて戦術の勉強をしたりボードゲームをしているし、四六時中王子の傍にいるような子なのだ。それが王子に朝の挨拶もなしに居なくなるのはやはりおかしい。

「父上、レジー殿は?」

国王は考える形になったが、首を振った。

「私には会いには来ていない。 特に面会の要請もなかったな」

国王と王子は顔を見合わせて、これはただ事ではなさそうだと、お互い目で確認しあった。

城の軍師と来賓が消えたとなると一大事だ。城の兵士に命じて城も街も、田舎の村まで全部探した。

しかし、リアムもレジー見つからないまま一週間が過ぎた。


そして捜索から八日目、ようやく捜索に出ていた兵士から目撃情報があがった。

なんと、赤毛らしき男性が深くフードを被り、同じく赤毛の従者を数名伴って大きな荷物を抱え、『異界の扉』を通ったという目撃証言が出てきたのだ。

「やられた!!」

思わず王子は叫んだ。

レジーは良い返事をしないリアムに不服そうだった。リアムがレジーによって攫われたのは明白だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る