ルーの番
色々と準備を終えたら、俺は単独でルー達の利用する宿に乗り込んだ。
セリーナ達には昨夜利用した宿に行ってもらっているわけだが、あの三人が上手くやれるのかは少々心配なところ。リナリスが暴走してなければいいけど……。こんな心配をする資格も俺にはないかもしれないが……。
さておき。
「まずはあたしで、次がメア。二人ずつで一通り終わったら、三人でやっちゃおう!」
ルーが無邪気な笑顔で宣言する。今からそういう行為をする雰囲気が微塵もない。
ルーにとっては、性行為は男女で行う秘密の遊び、というくらいの認識なんだろうか。俺からすると少し異質に感じるが、じっくり恋愛なんてできない、旅する冒険者としては案外普通なのかもしれない。
「……わかった。えっと、ちなみに、普通に三人とも部屋にいるけど、他の二人は、俺とルーがするのを見てるの?」
この宿は、特に高級というわけではなく、一般的で質素な一室だ。十畳ほどの一間にベッドが三つ並んでいるだけで、仕切りになるものもない。
「うん。見てるよ。何か問題ある? 見られてたらできない?」
「……いやー、俺はいいけどね。ある意味興奮しちゃうかも」
「なら問題なし。まぁ、一般的には、二人きりでしかしないもんね。あたし達だってそういうことの方が多いよ? でも、あたし達って運命共同体だし、お互いに全部見せ合っちゃうことも多いんだよ」
「そっか……」
「フィラだけは、恥ずかしがりだからあんまり見せてくれないけどね? でも、お互い見せ合っちゃった方が絆は深まると思うよ。
とにかく、あたしとラウルがしてる間、あとの二人は見てるし、各自で勝手に始めてるよ」
「……了解」
この辺の神経は、俺にはよくわからん。でも、今日に限っては、この三人に奉仕する娼夫のような立場。三人の希望を叶えよう。ある意味、お互いにエロ動画を提供しているという状況なのかもしれない。それはそれで、お互いに興奮するのだろう。フィラなんかは、もしかしたら、誰かと交わるより他人のを観て一人でする方が好みなのかもしれない。
「じゃ、状況がわかったところで、始めよっか?」
ルーが抱きついてきて、ちゅうちょなく俺にキスをする。俺はそれに応えた。
セリーナとするときは情熱的なものになるけれど、ルーのキスはあくまで遊びに誘われているような感覚。舌を絡めてくるのだが、うっとりするとかはなく、楽しい雰囲気になる。
か細い体を抱きしめて、ルーのキスに応え続ける。激しいけど、俺に対する気遣いも感じた。
キスが落ち着いたら、ルーが何かの遊びを楽しむように俺の服をはぎ取る。
「ふむふむ。なかなかいいもの持ってるじゃないの」
正面にしゃがみ込んで、ルーが至近距離でオレを見つめる。それも恥ずかしいが、メアとフィラがちょっと離れたところでこちらを観察しているのも非常に気になる。
「あはは。見られただけで反応しちゃってるじゃん。ラウル、さては変態だね?」
「変態じゃない男なんて、世界の一パーセント以下だろうよ」
「かもね。そしてあたし達も変態だっ」
ルーが立ち上がり、さぁどうぞ、と脱ぎやすいように両手を軽く広げる。鎧を脱がすって、興奮するようなしないような、やっぱりするな。
ルーのことも産まれたときの姿にして、その前に膝をつき、まだ未成熟な体を見上げる。男としてあの部分はどうしても気になってしまうのだ。
「女のそこ、何にもないのになんで見たがるのかな?」
「何もないことはない」
「陰毛が好きなの?」
「そうではない。女には理解できないものがあるのだ」
「なんか口調変わってない? 研究者っぽいよ?」
「かもな」
ささやかな膨らみの先に、ルーのニマニマ笑顔がある。どこまでも、恥じらいなどとは無縁の性行為だな。
「見てるだけじゃつまらないよ。ちゃんとしよ?」
「そうだな。うん」
ルーを先にベッドに寝かせ、俺はその上に覆い被さる。キスをしながら胸を優しく撫でる。
「ん、んん……っ。はぁ……。んっ。あっ、んん……っ。ふぅっ……」
俺達が始めたら、他の二人がごそごそと衣服を脱ぎ始める。メアを脱がせる楽しみがなくなっちゃうかな、なんて頭の片隅で思った。
「ラウル、力加減、上手……。でも、あたしはもうちょっと刺激に強いから、少し強めでもいいよ?」
「そうなのか……。わかった」
「そう、そう……そういう感じ……んっ」
「痛かったら言ってくれ」
「ん。大丈、夫っ」
行為が進むうち、俺達以外の湿った音が聞こえ始める。それぞれ勝手に始めているらしい。本当に、AVにでも出演している気分だよ。
合間に、ようやくトロンし始めたルーが言う。
「……ラウル、あたし達のワガママに付き合ってくれてありがとう。思ってたよりもずっと優しくて、大切にされてる気持ちになれて、あたし、幸せ」
「そうか? でも、これくらいなら誰でもできるだろ?」
「そんなことないよー。男の人っていつも乱暴なんだから。性欲に負けて激しくしすぎちゃうこともあるし」
「そうか……。ごめんな」
「ラウルのせいじゃないから、いいよ。そんなのと違って、ラウルは、ちゃんと女の子の声を聞けるんだね。それに、女の子からすると、この人にならこんな恥ずかしいことも言っちゃおう、って思える雰囲気もある」
「そっかー。自分ではわからないもんだけどな」
「なんだろ……リナリスが、ラウルを気に入っちゃった理由、わかるかも。ベッドの上で、剥き出しの優しさに触れちゃったら……キュンとしちゃうよね」
ルーが、俺に深いキスをする。ただの戯れじゃなく、情熱が織り交ぜられているように感じた。
キスを終えて、ルーが俺を抱きしめながら、囁く。
「ねぇ、ラウルを、好きになってもいいかな?」
「それ、許可がいるの?」
「だって、ラウルはセリーナが好きなんでしょ? あたしは、それでもいい。セリーナに向ける気持ちの半分とか、四分の一とかでも、あたしに向けてくれたら嬉しいかな」
「……俺、そんなに器用に色んな女を愛せる気がしないよ」
「じゃあ、好きになったらダメ?」
「ダメなんて言えるわけないだろ。わかった。もし、ルーが俺を求めるなら、気持ちに応えられるように頑張る」
「本当? 嬉しいなぁ。じゃあ、ちゃんと生きて帰ってこられたら……」
「ストップ。それ以上は言うな」
「なんで?」
「……なんか、不吉だ」
死亡フラグ、という言葉はもちろんこの世界にはない。だが、とにかくそれに類似する行為なんてされると、俺としては非常に不安になる。
「なんも約束はしない。だから、なんでもないみたいに戦場に行って、なんでもないみたいに、また帰ってきてくれ」
「ん。わかった。それじゃあ……もう、大丈夫だよ。来て」
避妊具は、もちろん事前に用意している。
俺は、ルーのサファイアのような瞳に導かれるようにして、その華奢な体に俺の先端を埋めた。
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