テスト
「なるほどね。二人は晴れて恋人同士、かつ避妊具も問題なく使えた、と。とりあえずは、おめでとう、かな。二人にとって初めて恋人ができたことと、無事に初めてを終えたことに」
翌日の夕方頃、俺とセリーナは、再びエミリアの店を訪れていた。そこで直近の顛末をざっと説明すると、エミリアから祝福の言葉。
念のため、スラミが人型になれることも伝えている。興味深そうだったが、今は特に追求してこなかった。
さておき、エミリアが続ける。
「私もその使い心地を自分の目で確かめてみたいんだがね? セリーナ、一回でいいから、恋人を私に貸してくれないか?」
「……そういうお試し感覚でラウルがエミリアを抱くのは嫌です」
「そうかぁ。でも、ラウルがスラミとするのはいいんだろ?」
「それは……ラウルとスラミはもともと深い仲ですから。ちゃんとした関係性があり、その上で責任を持ってのことなら、いいのかなとは思っています。遊び感覚で誰彼構わずというのは納得いきません。
それに、スラミとはそうやって関係を深めることで、より強い力を発揮するとも思います。冒険者をしているのですから、少しでも生存率を上げることならしておくべきかと……。
嫉妬がないとは言いませんが、その分はきっちりお返しをしていただきます」
「お返し、ね。ラウル、大変だなぁ。体は大切にしろよ? しすぎも体に悪いぞ?」
「……だねー」
エミリアがニヤニヤしながら俺を見る。どんなことでもあけっぴろげに話せるのは貴重だと思うが、全部知られるというのも考えものだ。この世界にもプライベートというものはあるはずなんだがな。
「じゃあ、妥協して、二人がしてるのを見せてくれないか?」
「それも嫌です」
「でも、スラミはずっと二人の交わりを見てたんだろう?」
「……それは、いちいち気にしても仕方ないと思いましたし、ラウル以外とはしゃべることもできないと思ってましたから。エミリアだと話は別です」
「じゃあ、ラウルが実際につけるところだけでも見せてくれ」
「……まぁ、それくらいなら」
「え? ありなの?」
セリーナの基準がよくわからない。いれないなら見るくらいはオッケー、と?
「わたくしだって、本当は見せたいとは思っていません。しかし、商品として売り出そうとしているものなら、本当に使えるものなのかは確認しなければなりません。わたくしとして妥協できるギリギリのラインです」
「そっか……。わかった。セリーナがそう言うなら、いいか」
話がまとまると、エミリアがにんまり笑顔で頷く。
「よし。なら、早速見せてくれ。どうせ誰も入ってこないし、ここでやろう」
「へ? ここで?」
「問題あるか?」
「……表では普通に商売やってるんだよね?」
表のお店とこの部屋は、扉一枚しか隔てていない。妙に緊張してしまう。
「サラーには、許可するまで入ってくるなと言ってある。サラーは私の奴隷ではないが、主従の契約を結んでいる。言い付けは必ず守る。問題ない」
「主従契約……。話は逸れるけど、それって防犯のため?」
「ああ、そうだ。本来なら魔法の力に頼らず信頼関係を結ぶべきだろうが、口で言うほど簡単なことではないからな。
それに。これはお互いのためでもあるんだ。私はサラーに安心して色んな仕事を任せられるし、サラーも魔が差すという心配がない。余計なトラブルを避けるいい方法なんだよ。商人ならこういうことはよくやっている。
……まぁ、悪用するやつもいるから、私とて全面的に賛成するやり方ではないがな。
そんなことより、早く見せてくれ」
「ああ……」
ここで脱ぐのか……と迷う。そこで、エミリアが俺を励ます。
「真面目な話、避妊具は世界的に切実な需要があるんだ。
夫婦の中には、性欲発散のために性行為は続けるが、子供が生まれても育てられなくて奴隷屋に売るという者もいる。それ以前に、生まれた直後に、邪魔だからと殺される赤子もいる。
あるいは、娼館でも、子供が宿れば強引に堕胎するという話もまだまだ多い。あと、おそらく避妊具は性病の予防にも繋がるだろう。多くの性病は教会で金を払えば治してもらえるが、高額だからと後回しにして、結局死んでしまうということも少なくない。多額の借金を作って、借金返済のためだけに生きているようなやつもいる。
ラウル。私がそれに目を付けたのは、金のためだけじゃない。それが、世界にある数多くの悲劇の芽を、事前に摘み取ってくれると思ったからでもある。
まぁ、商売上、まだ利権が絡まないし他のやつらの邪魔をしないから扱いやすいということもあるが、それは置いておく。
恥ずかしいことをさせているのは、申し訳なく思う。しかし、どうか力を貸してほしい。必ず、それに見合ったお礼をする」
エミリアの言葉が真摯過ぎて、俺はもうやるしかないという気持ちになる。
ただ、あまりに真面目な話になりすぎて、少々その気になりにくい。
「えっと……エミリアの意思はわかった。うん。それで……あの、セリーナ。こんな真面目な話をしているときになんだけど……おっぱい触らせて」
ふぅ、とセリーナも苦笑。
「わかりました。エミリア、わたくし達の営み自体は見なくても良いはずなので、後ろを向いてください」
「はいはい」
エミリアが後ろを向き、俺はセリーナと向き合う。
「……どうぞ」
セリーナは、ローブの前部分を開き、さらに、下のシャツと下着もはだけさせる。ちなみに、下着といってもブラジャーのようなしっかりしたものではなく、胸を支える布という感じのもの。チューブトップに近いか。色っぽくも華やかでもない。逆にそれがいい、とかどうでもいいことも思う。
先端は隠れているが、直接どうぞ、とのことらしい。俺は両手を伸ばしてその大きな膨らみを直に堪能する。
「……んっ」
肌は柔らかく、たゆんと中身の詰まった感じが手に馴染む。童貞を脱したばかりの俺は、触れただけでもうギンギンである。触るだけじゃなくて舐めたり吸ったりしたい。今の喘ぎをもっと聞きたい。
「その気になったらしてもいいぞ? それを私に見せてくれ」
エミリアが愉快そうに声をかけて来るが、セリーナは冷静。
「……見せないと言っているでしょう? ラウル、もういいんじゃないですか? 続きはまた帰ってからにしましょう」
「そだねー」
俺は手を離し、いきり立ったものを露出する。
「もういいですよ」
セリーナが着衣の乱れをささっと直し、エミリアに呼び掛ける。
「うん。……ほほー。なかなか立派じゃないか」
「そ、そうかな?」
女の子にこの状態を見られるって恥ずかしいな……。興奮してきたぞ?
「さ、つけてみてくれ。お礼に私が手でしてやろうか?」
「それはダメです。そういうのはわたくしがしますので」
「残念。私も最近してないから飢えてるんだけどなぁ」
「どこかで別の相手を見つけてください」
「なかなか探すのも大変でね。商人の女は敬遠されがちだ。さておき、この前見たときは男根型の避妊具だったが、今日は丸いな。それをどうするんだ?」
エミリアが、俺の手の中の避妊具を見て首を傾げる。
「これは、こうするんだ」
日本で見た避妊具は、びろんと伸びた部分を巻いて、硬貨のようにコンパクトに収納している。それを真似ているのだ。実際、この形がつけやすい。
エミリアの目の前で、くるくると輪の部分を下に引き伸ばしていく。それで、すっぽりと俺のものが覆われた。
「おお、なるほど。便利だな。しかし、その形にするのは手間ではないか?」
「その辺はスラミが素早くやってくれる。それに、この方がつけやすいし、きちんとした形ではまる。避妊効果も高まるんだ」
「なるほどなぁ。うんうん。いいね。セリーナ、ちょっとそれをいじってみてくれ。ちゃんと取れないようになっているか見たい」
「……少しだけですよ?」
セリーナが俺のものをくいくいといじる。いやいや、恋人に触ってもらえるってとても気持ちいいことなんだけど、人前だとめっちゃ恥ずかしい。
セリーナもすぐに止めて、エミリアを見る。
「こんなものです」
「うーん、悪く無さそうだが、もう少し激しく動かしてみたいな」
「……これ以上は、ちょっと」
「どうせもっと激しいのをやってんだろ?」
「それは、そうですが。ここでは……」
「うーん、仕方ない。装着してる感じはわかったし……。あ、そうだ。スラミ、ラウルのこれを型取りして、同じものを作ってくれないか? できれば同じくらいの硬さで。それにこの避妊具を取り付けて、私が自分のにいれて試す」
「……へ?」
「……え?」
エミリアは何を言っているのだろうか。
いや、意味はわかるんだけど、そんなことまでする? と困惑。
「セリーナ、これもダメか?」
「……もういいです。それくらいなら、好きにしてください」
「助かる。じゃ、早速頼むよ」
スラミも、ふるふるしながら俺を見る。
「……もう、なんでもやってくれ」
スラミが俺のものに纏わりつき、うねうねと蠢く。この感触は……いや、考えるのはよそう。
そして、しばらくするとスラミが俺の分身を作り出す。うわぁ、触りたくない。
視線をそらす俺。セリーナは神妙な顔で、エミリアだけが嬉々としている。
「おお、そっくりなのができるもんだな。うん、感触とか弾力もいい感じだ。あ、避妊具も一個くれ。で、これを……こう? うん? 上手くいかないな。こう……か? ああ、今度はいけた。うんうん。なるほど、いいじゃないか」
エミリアが満足げに俺の分身を眺める。なにこれすごく恥ずかしい。
「ふむふむ。眺めてると私まで興奮してきたな。ここで試していいか?」
「やめてください。奥に別の部屋があるでしょう?」
「仕方ないな。個室だと本気になってしまいそうだが、それもいいか。耐久力と確認したいし、ちょっと時間かかるだろうから、好きにしてていいぞ」
そう言って、エミリアがもう一つの部屋へと消えていった。
それから、時折漏れ聞こえる艶かしい声。まさか、本当に今からそういうことを始めるとは思わなかったよ。
「……なんだか、嫉妬してしまいますね。ラウル、あまりエミリアのことばかり考えないでください」
「あ、うん。ごめん」
「まだ時間はかかりそうですし……わたくし達も、しますか? ここでいれるの気が引けるので、それ以外で」
「……それは、喜んで」
セリーナが艶然と微笑む。一度体を許したからなのかわからないが、セリーナはとても積極的だ。男としては、とてもありがたい。
エミリアが戻ってくるまでは三十分ほどかかり、俺達はその間、お互いの体をひっそりと求め合った。
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