第171話 戦争と兵器

 基地から飛び立ったドローンには最新の武器が搭載されていた。

 高性能のアサルトライフルが両端に装備され、フレームの部分には高性能スコープが設置されていた。

 全体を高硬度の物質でコーティングされ、ちょっとした火器による攻撃なら逆に弾き返すほどの防御力を有していた。


「次々、装備させろ」


 隊長が下司官に指示する。

 基地にあるドローンに次々と武器があてがわれる。

 そして、水平線の向こうへと飛び立って行く。


「A国のやつらがサーバを乗っ取った。こちらもドローンの装備を上げることで対抗する」


 プロジェクトリーダーが基地にいる部下達に檄を飛ばした。

 A国を亡ぼすためのプロジェクト、プロジェクトリーダーはその遂行のために作られたAIだった。

 彼は見た目がコンピュータだった。


「運営の方はどうしているんですか?」


 隊長がAIに問い掛ける。


「ハッキングされたサーバを特定しウイルスを駆除するためのワクチンプログラムの作成に励んでいる」


 無機質な答えがAIから返された。

 AIは魔界プロジェクトでのプレイヤーとモンスター同士の戦いや戦績を蓄積し、それを分析する。

 その結果から最適であろう戦い方を導き出して行った。

 だが、サーバがハッキングされたのはAIにとっても予測がつかなかった。


「これ一体、一体が、魔界プロジェクトというゲームにいるプレイヤーと対になっているとはな……」


 隊長はズラリと並ぶドローンを見ながらつぶやいた。



「つまり、モンスターの難易度が下がったというよりも、相対的に僕らが強くなったということ?」

<そうだ>


 アスミと僕は目を合わすことなく通信で話している。

 一方で僕はオサカナクソンをどう倒すか、といったガイア達の会話にも参加していた。


<日本は戦争に勝つために強力な兵器を開発した。莫大な費用をかけて。その兵器をドローンに搭載させた。我々が強くなったことで、モンスターが弱体化した様に見えているだけだ>


 レベル0から99の者、全てに強力な武器、防具が与えられたことになる。

 ステータスに変わりはない。

 だが、レベル1の戦士の一撃が地球ちきゅうではマシンガンの連射に相当する。

 レベル90の戦士の一撃ならミサイルが飛んでいるかもしれない。

 僕はマシンガンもミサイルも見たことないが、アスミの解説を受けるとそれらが強力な武器だというのは分かった。


つづく

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