第100話 あなたが新しいギルドマスターです

「え!? どういうことだ?」

「ガイア様、どうして……」

地球アースはどうなるんだ……」

「トラ猫協同組合ってどこのギルドだ?」


 通知を受け取った地球アースのギルドメンバーやガイアとフレンド関係にある者は皆、一様に驚きを隠せないでいた。


 五大ギルドのギルドマスターが、ギルドを移籍する。


 前代未聞の事態だ。

 私は二重に驚いていた。

 ガイアがギルドマスターを辞めたこと。

 そして、ユウタと同じギルドに入ったこと。

 不意討ちに来たDEATHの残党が、放心状態になった地球アースのメンバーに襲い掛かる。


「皆! 戦うのをやめるな!」


 ロドリゴの声に皆、我に返る。


「リンネ? どういうことだ? お前、ガイアと仲いいだろ?」


 タイチが困惑気味に問い掛けて来る。


「分からん……」


 私は首を傾げた。

 ガイアはユウタと手を組んだのだろうか。

 この地球アースというギルドはどうなるのか。


「皆、落ち着け。ガイア様から何らかの通知があるはずだ」


 彼、ロドリゴは地球アースのギルドホールで門番をしている男だ。

 いつも笑っているかの様な細い目をした優しそうなこの男は、皆から慕われているらしい。

 DEATHを鎮圧した地球アースのメンバー達は、ロドリゴを中心に一か所に集まった。


「大祖先様を呼びましょう」


 誰かが言った。

 その時、ガイアからの通信が皆に一斉に届いた。


<皆、よく聞いてください>


 凛とした声に、皆、固唾をのむ。


<まずはDEATHからの急襲を凌ぎきったこと、ありがとうございます。やつらが攻めて来たのは私達との思想の違いからです。それが今回、救世主が現れたことで表面化しました>


 思想の違い。

 魔王を倒すか、倒さないか。

 その違いだろう。

 つまり、ゲームをクリアしたいか、ゲームをずっと続けていたいかのどちらか、か。


「ガイア様が救世主ではないのですか?」


 ロドリゴが問い掛ける。


<私はもう救世主ではありません>


 その強い言葉。

 通信の向こうで、彼女がかぶりを振っている姿が見えるかの様だ。

 彼女を救世主と信じ切って地球アースに入ったメンバーもいるだろう。

 あちこちから、ため息が聞こえる。


<私は守護者として救世主に仕えることにしました>


 一同がざわめく。


「このギルドは一体どうなるのですか!?」


 誰かが叫んだ。


<地球アースのメンバーとその傘下のギルドメンバーの中から、新しいギルドマスターを私が指名します>


 一同、更にざわついた。


<誰が指名されても皆はその者に従ってください。地球アースは魔王を倒すことを目標に集ったのです。救世主を支援し戦うために新しいギルドマスターの元、一枚岩になって下さい>


 大きく頷く者もいれば、不服そうな顔をしている者もいる。


「いったい誰を?」


 ロドリゴが問い掛ける。

 ガイアが応える。


<リンネ、あなたにお願いします。ユウタを支えてあげて下さい>


つづく

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