ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第99話 それぞれにお気に入りの武器が存在する。私の場合は小太刀とクナイ。
第99話 それぞれにお気に入りの武器が存在する。私の場合は小太刀とクナイ。
巨人デドリアーノの鞭攻撃を、タイチはバトルアクスの刃で防ぐ。
しなる鞭は時折、後衛で詠唱するセイラにも向かって飛んで来る。
「下がれ!」
私はセイラの前に立ち、鞭の先端を弾き飛ばす。
「ありがと、リンネ」
「うむ」
セイラに攻撃が及ぶ度に、詠唱が途切れる。
戦いが長期化する。
弾き返された鞭の先端は誰もが予測出来ない軌道を取る。
これがまた厄介だった。
「痛い!」
タイチの後頭部に当たる。
デドリアーノが扱いにくい鞭をあえて使うのは、前衛、後衛構わず攻撃したいからだろう。
鞭を扱う彼は戦いを楽しんでいるかの様だ。
各個人、性能を度外視しても使いたい武器というものはある。
私の場合、小太刀やクナイの類がそれで、攻撃力は大したこと無いが取り回しが良く複数回攻撃が可能なので気に入っている。
気に入った武器とは、そいつ自身であり、そいつの生き方だとも言える。
「ちくしょー! 終わらねえなあ!」
鞭の射程距離は長く、タイチはなかなかデドリアーノの懐に踏み込めない。
その間にも、タイチのHPは少しずつ削られて行く。
突如、
「
青白い光が彼を照らす。
タイチの攻撃力が二倍になった。
魔法を唱えたのはロドリゴ。
彼もまた付与術師だった。
「頑張ってください!」
ギルドが異なる彼は、援護という形でこの戦いに参戦してくれた。
ステータスを確認する。
デドリアーノよりもタイチの攻撃力の方が上回っていた。
タイチは戦士職であり元々攻撃力に特化しているうえに、バトルアクスという強力な武器を装備している。
元々の攻撃力が高いので二倍になれば、攻撃力がさほど高くない鞭を使うデドリアーノよりも勝る。
「おりゃあ!」
タイチは一気に巨人デドリアーノとの距離を詰めた。
鞭による攻撃を受けながらも、突進する。
多少のダメージはお構いなしに一気に勝負をつける気だろう。
跳ね上がった板をジャンプ台にして飛び上がる。
デドリアーノの頭上でバトルアクスを振り上げ、自身の落下と共に振り下ろす。
「……くっ、俺の真似すんじゃねー!」
デドリアーノは右手に鞭の柄を持ち、左手で鞭の先端を持った。
両腕を左右に広げることで鞭をピンと張り、それでバトルアクスでの攻撃を防ぐつもりの様だ。
ブチッ!
張りつめた鞭が、タイチの体重と重力がしっかり乗っかった一閃により、真っ二つにされる。
鞭が裂けた。
行き場を無くした張力が、デドリアーノの両腕を大きく左右に広げた。
彼は大きく胸を開いた状態、つまり無防備な形となる。
そこに鉄槌の様な重い一撃がのしかかる。
「ぐぎゃあ!」
真一文字に真っ二つに割れた胸から吹き出す血は、さながら間欠泉の様だった。
断末魔を上げるデドリアーノは地響きを立て地面に仰向けに倒れた。
巨人は崩れ落ちた。
タイチはマウントを取り、斧の柄の先端でその顔面を攻撃する。
HPがみるみる減って行く。
「やったぜ!」
大量の血を浴びながら、サムズアップしてくるタイチに私はこう言った。
「時間掛かったな」
「うるせえ」
ピキーン!
私の脳内に知らせを伝える通知音が響く。
フレンドリストに登録している者に何かあった時になる音だ。
私は目を閉じ、フレンドリストを確認する。
「ガイア……」
彼女の所属するギルドが
つづく
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