第90話 100連ガチャでSSSクラスを引き当てるにはお金と運が必要!

<ガイアを守護者として召喚するのだ>


 通信の向こう側にいるネスコがそう言った。

 彼は自分の考えを述べた。


<守護者として召喚すれば生き返る>

「どうして?」

<守護者候補として召喚された者は、時空を越えて守護者降ろしのほこらに召喚される。そこまでは分かるな?>

「うん」


 初めて僕が降ろしたのは、アカヅキという乱暴な戦士だった。

 僕は彼の第一印象が悪かったので、断りを入れ、守護者を辞退してもらった。


<召喚された者は、ステータスが全回復した状態で召喚される>

「へぇ!」


 ネスコ曰く、

 元来、守護者降ろしのほこらは、人間達に迫害された亜人間達が辺境の森に作ったお守りの様なもの、だそうだ。

 出来た頃は、守護者降ろしのほこらとは呼ばれず、『亜人間を守るほこら』と呼ばれていた。

 だから人間にその存在は知られていない。

 この話は、世界が出来て間もない頃のこと、だそうだ。

 そして、数十年後、魔王がこの世界に降り立った。

 魔王の襲来と共に、こんな神話が人間と亜人間の間で伝わり始めた。


『救世主』は『守護者』を引き連れ魔王を倒す。


<祠が力を帯び始めたのもその頃だ>


 人間に命を助けられた恩があるネスコは、人間に協力したいと考えていた。

 彼は独自に祠が発する力が何なのか調べ、それが守護者を呼び寄せる力だと理解した。


<我々の祖先が、この世界に魔王が降り立つことを予測していた。そしてまた、魔王を倒す救世主が現れることを予測していた。祖先達は、我々を守るためにこの祠を作ったわけではない。この世界の全ての者を守るために祠を作り、そこに力を宿しておいたのだ>


 その力とは、

『救世主が守護者を呼び寄せることが出来る』

 というものだった。


<お前に呼ばれた守護者候補は、呼び出しを受けた時、瀕死の状態でも、時空を超えてこの祠に辿り着く過程で、全回復する。この祠はそういう力を持っている>

「つまり、僕がガイアを祠に降ろすことが出来れば、生き返らせることが出来るということだね」

<そうだ>


 通信の向こう側で、ネスコが大きく頷くのが分かる。

 そこで僕は疑問というか、不安がよぎった。

 守護者を呼ぶのはいいが、誰を呼ぶかは選べないはずだった。

 それこそ、望まない者が呼び出されたら……アカヅキの時みたいに気まずい思いをするかもしれない。

 僕は都合良くガイアを呼ぶことが出来るのだろうか。


つづく

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