ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第91話 バグが改修される前に、バグを利用した技で切り抜けろ!
第91話 バグが改修される前に、バグを利用した技で切り抜けろ!
<早くやるのだ! ユウタ! 早くガイアを守護者として召喚させなければ!>
通信の向こう側でネスコが焦っているのが分かる。
僕は彼が何故、急いでいるのか理解出来なかったので、こう問い掛けた。
「確実にガイアを召喚するために、しっかり準備した方がいいんじゃないか?」
<そんな暇は無い。蘇生魔法のバグが改修される前に、やってみるのが先決だ!>
「改修?」
<バグが神に報告され即時に改修されれば、ガイアは本当に死んでしまう。兎に角、急げ。まずはガイアの装備品を守護者降ろしの
ネスコの指示に従い、僕らはガイアの装備品を外すことにした。
生きている人間同士なら、所持品を渡し合うためには結婚していなければならない。
僕とガイアは結婚していないので、本来なら所持品の受け渡しは出来ない。
だが、死人の所持品を得ることに関しては、特に制約が無かった。
僕は、目を閉じたままHPが0から1に不定期に変わるガイアの前に膝まづいた。
僕の後ろで、セレスとウエンディ、そしてフィナが心配そうな雰囲気を漂わせる。
僕はガイアのHPが0になった時を見計らい、彼女の装備品、その一つ一つを丁寧にその身から取り外す。
聖なる錬金の杖、神官のサークレット、慈愛の腕輪、精白のブーツ。
レアな素材でなければ、生成出来ないものばかりだ。
難易度の高いクエストをクリアしなければ手に入らないものもある。
これだけの品を集めるのは大変なことだったろう。
床に並べられた品々を僕は眺め、ガイアという少女がいかに救世主になりたかったか、ということを思うと何だかすまない気持ちになって来た。
「ユウタさん、それは私達に任せてください」
ガイアのローブの胸元に手を掛けようとしたところで、セレスに呼び止められた。
「確かに……」
「ユウタ。デリカシーないね!」
フィナにまで注意される。
僕は家の外に出た。
「ユウタさん。いいですよ」
セレスに呼ばれ、再び家の中に入る。
ガイアはとりあえず布の服を着せられていた。
◇
ガイアの装備品一式を、守護者降ろしの
強い者、自らが望む者を守護者にしたければ、それ相応のアイテムやクエストを攻略する必要がある。
かつてネスコが僕にそう語った。
危険を冒してまで火竜の剣を手に入れたのは、強力な戦士職が必要だったからだ。
今回は僕の命を救ってくれたガイアを蘇らせるため、彼女の装備品を贄にし彼女を呼び寄せる。
それでも、確実に彼女を呼べるかどうか。
結局は気まぐれな神のランダム性によって決まる。
<ユウタさん! ガイアさんのHPが1になりました!>
ガイアの側にいるウエンディから通信が入る。
今、彼女は蘇生魔法のバグによって生かされた状態だ。
このタイミングで呼び寄せる。
僕は、祠に祈る。
「守護者よ。我に力を。共に魔王を倒すべく」
つづく
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