ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第89話 パッチにバグがあるので、新しいパッチをダウンロードしてください。
第89話 パッチにバグがあるので、新しいパッチをダウンロードしてください。
瀕死のユウタが光に包まれた。
その光を間近で浴びた私は、瀕死のダメージを負った。
たまらず、飛び退いた。
黒いローブを着た幼い妖術師が、逃すまいと魔法を掛ける。
たいした魔法ではないが、今のHP100の私ならこの程度でも死んでしまう。
身をよじらせ炎の玉を何とか避ける。
「くうっ……」
自分でも恥ずかしくなるくらいの苦しい悲鳴が出る。
「待て! マリアン!」
叫ぶユウタを無視して私は退却した。
◇
あれが救世主という者なのか。
戦いの最中でも、仲間のことを救おうとし、それに呼応するように神が新たな力を授ける。
この世界は救世主のためにあり、我々は、それを補佐するためだけにしか存在していないのかもしれない。
いかに救世主を魔王の元に導くか、それが我々の使命であり役どころなのだろう。
仮に私が強くなったとしても、ユウタには勝てない。
そう思った。
だが、奴には消えてもらわなければならない。
「ふぅ……」
回想から抜け出した私は、立ち上がるとある人物に通信を飛ばした。
◇
僕はHPが0になったガイアをじっと見ていた。
彼女は自分が救世主だと信じていた。
だが、選ばれたのは僕で、結果的に僕は彼女を深く傷つけてしまった。
僕でなく彼女が選ばれればよかったのに……
そう思った。
僕は彼女を蘇生させるため、蘇生魔法を詠唱していた。
「ユウタ!」
フィナに背中を叩かれ、我に返る。
「ガイアはユウタのために蘇生魔法を使って死んでくれたんだよ! それをユウタが蘇生魔法を唱えて死んだら、ガイアのしたことが意味ないじゃん!」
確かに。
僕は我を失っていた。
だが、彼女には生き返って欲しかった。
「ユウタさん!」
セレスがガイアのステータスを見る様に促した。
HPが0から1へと不規則に変化している。
「どういうことだ?」
ネスコに問い合わせる。
その際、ガイアのことも話した。
<新しく追加された魔法だからまだ不具合があるのかもしれない。つまり、バグ……ガイアはもしかしたら生き返るかもしれない>
「その方法は?」
<……分からん>
僕はずっこけた。
希望は見えたが、依然として状況は変わらない。
ガイアは目を閉じたままだ。
HPが1の時は生きているのだろうが、すぐ0になる。
僕は1の時治癒魔法を掛けて見たが、回復はしなかった。
そうこうしている内に、ネスコから通信が来た。
<ユウタ。ガイアを復活させる方法が分かったぞ>
つづく
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