ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第70話 私が本当の救世主。そうでなければこの世界の方が間違えている。
第70話 私が本当の救世主。そうでなければこの世界の方が間違えている。
私は地球に戻るために、ゲームであるこの世界で必死にモンスターと戦う人間を見て育った。
大祖先様とその仲間。
その遺志を受け継いだ私の両親とその仲間。
生まれた時から私は、彼らの期待を受けて育った。
その期待に応えるために私はレベルアップに励んだ。
危険なクエストをこなし、レアなスキルを身に付けた。
仲間を集め、ギルドを大きくした。
そして、自分が救世主であると信じる様になった。
いつしか、右胸にはあざが浮き上がり、能力の高い者から発するオーラを感じ取る様になった。
だが、それらは姫に言わせれば偽物。
この世界の救世主の定義とは異なるものだった。
姫は私にユウタの支援を依頼した。
その理由は単純だった。
私が救世主を目指し、魔王を倒そうとしていたからだ。
なるほど、ユウタと私は同じ目的を共にした同士という訳か。
だが、どうしたことだろう。
私はまだ見ぬユウタに対して嫉妬心を抱いていた。
救世主であること、それが私のアイデンティティだった。
それがかの者によって奪われた。
姫の城から出た時、通信が入った。
〈ガイア様〉
「ロドリゴか」
〈リンネさんがギルドホールを抜け出しました〉
「ふむ。何処へ向かっている?」
〈辺境へ向かっています〉
「そのまま後をつけろ」
◇
そして今。
リンネは辺境の狩り場から戻り、私は姫の城から戻って来て、ギルドホールの執務室で向かい合っている。
「リンネ、あなたにギルドでの初仕事を与える」
リンネは頷いた。
「ユウタを、暗殺するのです」
「何故?」
「彼は救世主に相応しくない。私が救世主であるべきなのです」
「嫌だと言ったら?」
「私がユウタを殺すまで」
しばし、沈黙。
私はリンネに無言の圧力をかけた。
ユウタに味方すれば、お前も殺すと。
◇
ゲリュオンに追い掛けれたリンネは、僕達の前に戻って来ることは無かった。
そして、いつまでも森にいるのは危険だと判断した僕達は、やむなくリンネを追うことも待つこともやめ、森を出た。
「森の中にあんなに恐ろしいモンスターがいたなんて……」
セレスが肩を震わせる。
「僕のギルドのギルドマスターが森には近づくなって言ってた。強力なモンスターがいるからって……」
「あれほどのモンスターなら、ミチヤス達も殺されてたでしょうね」
レベル80台のモンスターがうろつく様な場所に、レベル50から60台が居を構えるなんで無謀なことだ。
無知とは恐ろしい。
B.B.B倶楽部の拠点は破壊出来たが、今後のことが心配だ。
リンネは無事なのか。
ミチヤスを殺したことで、彼女はDEATHの連中から命を狙われるのではないか。
そして、この辺境にミチヤスの様な人間がまた来るのではないか。
「早く強くならなきゃ」
僕は誓った。
僕はセレス、ウエンディ、そしてフィナに目をやった。
そして、この場にはいないリンネやネスコのことを思った。
強くなって、皆を守りたい。
その為なら、魔王だろうが何だろうが戦ってやる。
つづく
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