ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第55話 ドロップされた金銀財宝は、瀕死だったヒロインと生き残ったメンバーと救世主で山分け。レアアイテムは譲り合い。
第55話 ドロップされた金銀財宝は、瀕死だったヒロインと生き残ったメンバーと救世主で山分け。レアアイテムは譲り合い。
「いったいなぁ……もぅ……」
フィナの声が僕の耳に響いた。
生きてる!
彼女のHPは1だった。
本当にギリギリのところだった。
僕は嬉しくて思わず彼女の手を握り締めた。
「
セレスがフィナに治癒魔法を掛ける。
僕も泣いてる場合じゃないと思い、治癒魔法を掛ける。
フィナのHPがMAXに向かうとともに、火傷も治癒して行く。
「ありがとう」
完全にHPが回復したフィナは、僕の肩に手をつき、それを支えに立ち上がった。
フィナが膝まづく僕を見下ろす形になった。
そして、こう言った。
「すごく迷ったけど、私は自分の意志に従ったからね」
いつも笑顔であっけらかんとしている彼女が、いつになく真剣な表情だった。
僕は思わず、頭を下げた。
「ごめん。勝手なことして」
僕はフィナに頭が上がらない。
数秒、沈黙。
そして、彼女のソプラノが僕に降り注いだ。
「でも、ユウタのそういうところ、好きだけどね」
やっと笑顔になった。
「あの……ありがとうございます」
申し訳なさそうに、セレスともう一人、妖術師の女の子が僕とフィナに頭を下げる。
妖術師の女の子の方はウエンディという名前だった。
この世界において、戦いに苦戦している者を助けることは、たまにあることだった。
僕も鉄騎同盟にいた頃、行きずりのパーティに支援してもらったこともある。
ある意味お互い様だ。
今回の場合、セレスとウエンディは同じパーティのメンバーだが、戦闘に途中から参加したフィナと僕は支援者という立場になる。
経験値はパーティメンバーと支援者で山分けになる。
残念ながら、この世界を去った戦士、武闘家、侍の男の子達には何も恩恵は無い。
もちろんこれらも、戦闘に参加した者達で山分けである。
「ユウタさん。神官の剣です。どうぞ」
「えっ! これすっごいレアな武器だよね。セレスさんが貰いなよ。元々は君たちが
「いえいえ。私達、命を助けてもらったんです。ユウタさん達が良いアイテムを貰ってください」
セレスはそう言いながら、ウエンディの方を向いた。
ウエンディは、一瞬躊躇し、小さく頷いた。
彼女達は、それほどレアでもないアイテムばかり鞄の中に入れていた。
健気な彼女達がユメルやテルミンを殺したとは思えなかった。
だが、確認しなければならない。
「ねー、ねー、君達さぁ、どうやってここに来たの?」
僕が問い掛けようとしたことを、フィナが真顔で問い掛ける。
その表情にはセレスとウエンディに対しての警戒の色が浮かんでいる。
「えっと……。私達……」
「セレス、ダメだよ。ギルマスから知らない人には言うなって、言われてるじゃん」
口を開こうとするセレスを、ウエンディが遮った。
「だけど……ユウタさんとフィナさんは私達を助けてくれたんだよ」
セレスとウエンディの間に険悪な空気が流れた。
セレスは意を決した様にこう言った。
「私達、武器工房にある転移扉からここに来ました」
つづく
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