ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第63話 ステータスはバランスを考えて慎重にステ振りさせましょう。
第63話 ステータスはバランスを考えて慎重にステ振りさせましょう。
「てめぇ! どこのもんだ!?」
ミチヤスが声を荒げる。
今更な質問ではある。
彼にとってはそれどころでは無かったのだろうが。
「ステータスを見れば分かるだろ」
リンネはそれを冷静に受け止める。
「くっ……」
ミチヤスは顔をしかめた。
そして、こう呟いた。
「鉄騎同盟……」
懐かしい響きだ。
僕はそう思った。
「まだ存在していたのか……」
「失礼な」
リンネの手から手裏剣が放たれる。
それは彼の身体を正確に射抜いて行った。
「ぐくっ……これが俺の本当の実力だと思うなよ。これでも、ドワーフを殺したせいでレベルが10も下がったんだ。レベル62のお前なんか本来敵じゃねぇ」
ミチヤスは今、レベル72だった。
ネスコが言っていた。
亜人間、つまりNPCを殺した者は神からペナルティを受ける。
彼の場合、レベルが82から10減って、72になった。
やはり、彼がテルミンとユメルを殺したのか。
「負け惜しみか。仮にお前がレベル82だとしても、その極端に攻撃力だけに偏ったステ振りじゃ、私には勝てないよ」
「何!?」
プライドを傷付けられたのか、唸り声を上げる。
リンネに身体ごと突進する。
「これから死ぬお前に忠告しても仕方がないが、あえて言おう……」
彼女は猛牛の様な突進を難なくかわした。
ミチヤスは勢い余って、大木に激突した。
倒れたミチヤスに近寄り、続きを口にする。
「良く考えて
リンネがクナイで十字を切った。
◇
戦士ミチヤスは、リンネとの戦いで死んだ。
それは一方的な戦いだった。
「リンネ……ありがとう」
僕は彼女に頭を下げた。
彼女は視線を前に向けたまま、小さく頷いた。
お互い訊きたいことは沢山ある。
だが、お互い何だか照れくさくて、どちらが先に話すか、牽制しあっているかの様だ。
「ユウタ。成長したな」
リンネが僕の方を向いて、そう言った。
黒くてツヤのある髪がなびいた。
僕と目が合うと、彼女の顔は自然と少しほころんだ。
「あ、ああ……鉄騎同盟をクビになってから色々あってね……」
ネスコにはまだ身近な者以外に、救世主であることを言うなと釘を刺されていた。
「ユウタ。お前も気を付けろよ」
「え?」
「お前、レベル56だろ。60からは、パラメータを各ステータスに自由に設定出来るようになる」
代表的なステータスは、攻撃力、防御力、賢さ、運、HP、MP、素早さといったものだ。
リンネ曰く、
レベル59まではレベルアップの度に、各ステータスにはランダムにパラメータが割り当てられる。
それは職業により異なる。
例えば、戦士職なら攻撃力と守備力とHPに多くのパラメータが割当たるし、魔法使いなら賢さとMPに大きく割り当てられる。
だが、レベル60からは与えられたパラメータを自分で自由に各ステータスに割り当てることが出来るらしい。
「ミチヤスみたいにセンスが悪い奴だと、攻撃力ばかりにステ振りし過ぎて、他が疎かになる。もう少しバランスを考えれば、私に寝首をかかれることは無かった」
ミチヤスなりのポリシーがあって攻撃力に特化した
彼が素早さや、賢さなどのパラメータに値を割いていれば、死ぬことは無かったかもしれない。
そうは言っても、後の祭りだ。
彼の場合、戦士としてのプライドから攻撃力だけは誰にも負けたくなかったのだろう。
リンネとはもっと肝心なことを話すべきなのに。
それを避ける様に、こんな当たり障りの無い話になってしまった。(こういう話も大事ではあるが)
「ありがとう。リンネ」
「うむ」
そうだ。
行かなきゃ。
「リンネ、僕はこれからあの洞穴の中に行く」
「ほう」
言うべきかどうか迷ったが、ハッキリ言った方がいいと思った。
「僕の大切な人が囚われてるんだ」
つづく
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