ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
第40話 男の子なら、女の子を守るために、盾役(タンク)でしょ! いいとこ見せてモテモテじゃん!
第40話 男の子なら、女の子を守るために、盾役(タンク)でしょ! いいとこ見せてモテモテじゃん!
僕はネスコに連れられて狩り場まで来た。
そこは辺境から少し離れた広大な大地だった。
「ユウタ。お前には今日からここでレベルアップに勤しんでもらう」
「うん」
「まずは、一ヶ月でレベル90を目指してくれ」
「90! そんなの無理だよ……」
レベル90といえばタイチと同じレベルだ。
彼はそれこそ、そのレベルに到達するまでに、沢山の戦いを積んで来た。
彼が数年掛かって達した境地に、わずか一ヶ月で何て無理だ。
「神と私は、お前に越えられる試練しか与えない」
「そうは言っても……」
「ユウタ。お前レベルはいくつだ?」
「41」
「この狩り場に出てくるモンスターはレベル20から50くらいだから、今のお前には丁度いい」
辺りを見渡すと、それなりに強いモンスターがうろついている。
幸い、こちらの存在にはまだ気付いていない様だ。
「ネスコ。モンスターが単体で襲ってくるなら丁度いいかもしれない。だけど、今は僕とフィナだけのパーティだ。その状態で複数のモンスターに襲われたら、逃げるしかないよ。せめて、ネスコもパーティに入ってくれよ」
「ユウタ、あえて私がパーティから外れ、少人数で戦ってもらうのには理由がある」
パーティの人数が少なければ少ないほど、一人当たりに入る経験値は多くなる。
ネスコの思惑は分かる。
僕の成長を早めるためだ。
「経験値だけではない。ドロップされる素材も金も、お前とフィナの二人で山分けだ」
なるほど。
効率良く素材と金が手に入れば、守護者を呼び寄せるためのアイテムを生成出来るチャンスが増える。
ネスコはそこまで考えているのだろう。
「お前らにこれを渡しておこう」
ネスコは、僕とフィナにポシェットを手渡した。
腰に巻き付けることで、両手が自由になるから便利だ。
だが、飴玉くらいしか入らなそうだ。
「これがきっと役に立つ。では、頑張れよ。私は定期的に様子を見に来るから」
と言い、ネスコは踵を返す。
「あっ、ちょっと……」
「ユウタ。お前には数多くの救世主だけのスキルがある。それを駆使するのだ」
振り返り、そう言い残して、ネスコは去って行った。
◇
「ユウタ。頑張ろうねー!」
フィナが僕を元気づける様に、背中をバシッと叩く。
彼女はいつもドレスだが、今日から戦闘に参加するのでそれなりの装備をしていた。
ヒノキの棒に、皮の帽子、クロスアーマーという、まあ無いよりマシというレベルのものだが……
踊り子職が装備出来る武器や防具は、軽量のものばかりだ。
軽量の物は得てして、攻撃力や防御力において、重量のある物に劣る。
踊り子は軽やかに踊ることが職業なので、重い物に不向きなのだ。
この世界には、軽い物で魔防や特殊能力が秘められた物が存在する。
フィナでもそれらを装備出来るらしいが、今の段階で、そんなものは手元に無い。
「フィナ」
「なに?」
「君ってさ……」
早速、戦闘が始まった。
僕らに気付いたホブゴブリンが襲って来たのだ。
こいつらはゴブリンの上級版だ。
知能はゴブリンより上だし、集団で行動することにも慣れている。
奇怪なマスクを着け、その身をレザーアーマーに包み、バスタードソードと丸い盾を手にしている。
その数、3体。
「フィナ、下がってて」
「でも」
「大丈夫」
フィナが踊り以外に何が出来るか知らない。
だから、それを訊き出そうとした矢先に、襲われた。
僕は治癒魔法使いだが、この時、初めての盾役に挑戦しようと思った。
つづく
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